SS(呪夢)
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同級生の誕生日を知ったのはその当日。そいつは入学当初から頑なで、なぜか自分の誕生日を教えてくれなかったのだ。本人以外のルートで知らされた私たちは慌てて準備を始めた。前の月に硝子を祝っていたから、五条を省く、ということがしづらかった。
判明したのが当日な上、任務終わりだったせいでケーキ屋には行きづらく、近場のスーパーでカットケーキにチョコプレート、チョコペンと、とりあえず誕生日感が出るものを準備。なぜか私がチョコペンを持たされ、歪んだ線でメッセージを書いた。それでも五条は喜んで、その場しのぎのケーキをすぐに食べてしまった。
――どうしてこんな事を思い出していたのか。その理由は目の前にある。仕事が終わり、職員寮の共有スペースに来たのだが、五条が大きな箱からホールケーキを取り出している現場に鉢合わせたからだ。
思わず見たスマホのロック画面の日付は12月7日。そういえば五条の誕生日だった。1人でホールケーキを食べるつもりなのか。……やりかねないか。
自分はあまり関係ないからと気配を消しつつ後ろを通っていこうとした。最近あまり関わってないから、気付いたとしても声は掛けてこないだろう。忙しさの度合いが天と地の差くらいあるから、私には同期である意識すらほぼない。
「ちょっとナマエ〜? 僕に1人で誕生会させるつもり?」
「……私が付き合わないといけない感じ?」
「他いないじゃん」
生徒辺りに祝われてそうな感じはするのに。そんな私の物言いたげな目から察したのか、今日は朝から丸1日仕事だったと五条はぼやく。嫌がらせのように仕事が重なっていったらしい。かわいそうに。
ここを無視して帰れば面倒なことになるのは目に見えている。誕生日くらいは祝ってあげよう。
「で? 私はどうすればいい?」
ケーキの近くにある椅子に座り、祝う側とは思えないような台詞を五条に投げかけた。それもどこ吹く風というような感じで向こうは無視。そして私からは見えなかった小さい箱を開けて中身を皿へ取り出す。まっさらなチョコプレートだ。ご丁寧にチョコペンまで横に添えてきた。
「書いてよ」
「なんで店で書いてもらわなかったの? 書くけどさ」
「悟くんおめでとう♡ でいいよ」
「馬鹿じゃん」
チョコペンを手に取り、文字の配置をどうするかなんとなく考えてみる。五条が言った通りに書くつもりはない。プレートには元から「Happy Birthday」と字が入っている。悩むほどもなかった。久々のチョコペンと格闘しながらも「五条 おめでとう」と書く。色々言われる前にホールケーキの中央へ乗せ、向かい側にケーキを回した。
「修正は受け付けないから」
「――ナマエって割とちゃんとやってくれるよね」
「適当にやった後のこと考えながら動いてるから。五条めんどくさいじゃん」
思っていたことを包み隠さずに言った途端に下手な泣き真似を始める。メソメソしている大男の姿はちょっと見苦しい。
それはそれとして、いい感じに書けてるように見える。五条を放置してケーキだけの写真を撮れば、主役も写してよと一言。仕方ないのでプレートが見えるようケーキの位置を調整してやる。
「撮るからなんかポーズとりな」
3、2、とカウントダウンをする。五条はいざ振られるといい感じのポーズがとれないらしい。なんとも言えない角度のピースを添えた五条になった。
「消して! もっと良くできるから」
「別に誰に見せるものでもないでしょ。撮り直すの面倒だからこれで」
よく見れば表情も微妙。この素材で平均点以下の写真になるのは逆に私の才能かも。これは硝子なら見せても良さそう。他の人は五条の沽券に関わるから見せないでおくか。
気付けば五条はケーキを切っていて、私の前には1切れのケーキが置かれていた。時間帯を考えていない量だ。五条基準だとこれくらいになるんだろう。
「付き合ってくれたお礼ね」
「今日と明日で食べる。ありがと」
「……ここで食べていかない?」
皿を持ち上げたまま固まる私。いくら五条でもここで3分の2以上あるケーキを1人で食べるのは酷か。人通りもなければ外の音だってあまり聞こえてこない。しんどいな。
「来年からは仲良い人呼びなよ」
「その仲良い人、気付いたらなんか減ってるし、残ってるのはスケジュール合わないの」
「かわいそうに」
適当に流しつつ食べたチョコケーキは、どこかほろ苦い味が強かった。
判明したのが当日な上、任務終わりだったせいでケーキ屋には行きづらく、近場のスーパーでカットケーキにチョコプレート、チョコペンと、とりあえず誕生日感が出るものを準備。なぜか私がチョコペンを持たされ、歪んだ線でメッセージを書いた。それでも五条は喜んで、その場しのぎのケーキをすぐに食べてしまった。
――どうしてこんな事を思い出していたのか。その理由は目の前にある。仕事が終わり、職員寮の共有スペースに来たのだが、五条が大きな箱からホールケーキを取り出している現場に鉢合わせたからだ。
思わず見たスマホのロック画面の日付は12月7日。そういえば五条の誕生日だった。1人でホールケーキを食べるつもりなのか。……やりかねないか。
自分はあまり関係ないからと気配を消しつつ後ろを通っていこうとした。最近あまり関わってないから、気付いたとしても声は掛けてこないだろう。忙しさの度合いが天と地の差くらいあるから、私には同期である意識すらほぼない。
「ちょっとナマエ〜? 僕に1人で誕生会させるつもり?」
「……私が付き合わないといけない感じ?」
「他いないじゃん」
生徒辺りに祝われてそうな感じはするのに。そんな私の物言いたげな目から察したのか、今日は朝から丸1日仕事だったと五条はぼやく。嫌がらせのように仕事が重なっていったらしい。かわいそうに。
ここを無視して帰れば面倒なことになるのは目に見えている。誕生日くらいは祝ってあげよう。
「で? 私はどうすればいい?」
ケーキの近くにある椅子に座り、祝う側とは思えないような台詞を五条に投げかけた。それもどこ吹く風というような感じで向こうは無視。そして私からは見えなかった小さい箱を開けて中身を皿へ取り出す。まっさらなチョコプレートだ。ご丁寧にチョコペンまで横に添えてきた。
「書いてよ」
「なんで店で書いてもらわなかったの? 書くけどさ」
「悟くんおめでとう♡ でいいよ」
「馬鹿じゃん」
チョコペンを手に取り、文字の配置をどうするかなんとなく考えてみる。五条が言った通りに書くつもりはない。プレートには元から「Happy Birthday」と字が入っている。悩むほどもなかった。久々のチョコペンと格闘しながらも「五条 おめでとう」と書く。色々言われる前にホールケーキの中央へ乗せ、向かい側にケーキを回した。
「修正は受け付けないから」
「――ナマエって割とちゃんとやってくれるよね」
「適当にやった後のこと考えながら動いてるから。五条めんどくさいじゃん」
思っていたことを包み隠さずに言った途端に下手な泣き真似を始める。メソメソしている大男の姿はちょっと見苦しい。
それはそれとして、いい感じに書けてるように見える。五条を放置してケーキだけの写真を撮れば、主役も写してよと一言。仕方ないのでプレートが見えるようケーキの位置を調整してやる。
「撮るからなんかポーズとりな」
3、2、とカウントダウンをする。五条はいざ振られるといい感じのポーズがとれないらしい。なんとも言えない角度のピースを添えた五条になった。
「消して! もっと良くできるから」
「別に誰に見せるものでもないでしょ。撮り直すの面倒だからこれで」
よく見れば表情も微妙。この素材で平均点以下の写真になるのは逆に私の才能かも。これは硝子なら見せても良さそう。他の人は五条の沽券に関わるから見せないでおくか。
気付けば五条はケーキを切っていて、私の前には1切れのケーキが置かれていた。時間帯を考えていない量だ。五条基準だとこれくらいになるんだろう。
「付き合ってくれたお礼ね」
「今日と明日で食べる。ありがと」
「……ここで食べていかない?」
皿を持ち上げたまま固まる私。いくら五条でもここで3分の2以上あるケーキを1人で食べるのは酷か。人通りもなければ外の音だってあまり聞こえてこない。しんどいな。
「来年からは仲良い人呼びなよ」
「その仲良い人、気付いたらなんか減ってるし、残ってるのはスケジュール合わないの」
「かわいそうに」
適当に流しつつ食べたチョコケーキは、どこかほろ苦い味が強かった。