第1章⁑出逢い編
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私は日向くんに向けて、寿命のフラスコの水が増えるよう念を込めていた。
日向くんもなにか異変を感じてるのか、様子を伺いなすがままにとりあえずなってくれた。
部屋が暗くてわからなかったけど、ところどころ怪我して血もついていた。
治癒のアリスをあとで施そうと思ったとき、
乃木くんが部屋に入ってきた。
「棗…いる?……!!棗!!どうしたの?」
「…ルカ、」
「それに、園生まで…」
『ちょっと、待ってね…』
よし、とりあえずフラスコの液体が3分の2に増えた。
全回復はどうしてもできないみたいだ。
でも、少しは気分が良くなる様子で、日向くんの苦しそうな咳が聞こえなくなった。
『あとは外傷、みせて』
擦り傷やら切り傷でたくさんの怪我を、アリスで治癒していく。
「…すごい。これが園生のアリス…」
「…ルカ、心配すんな」
「なんで、なんで棗ばかりこんな目に…っ!!」
「今は、今は我慢するしかないんだ、今は…」
「棗が笑わないなら、俺も笑わない…」
「早く、大人になりたい」
2人の悲痛な気持ちを聞くだけで、過去に何かあったんだなと察することができた。
日向くんの目からも涙がでていたので、バツが悪そうに私に一言、サンキュと短く小さく発した。
「俺からも、ありがとう。棗を治してくれて…」
お礼を言われることではない。
要にぃと重ねて、勝手に部屋に上がり勝手にアリスの形をみて、知って、動揺して勝手にやっただけだ。
『ごめん、勝手に』
「…お前、本当に治癒のアリスか?」
『…そうだよ』
「俺にはそうは見えなかった」
断定する棗くんに、ごまかしはできない。
そう思った私は、棗くんのアリスの形については乃木くんの前では伏せて話した。
『アリスを使うことによって失うエネルギーを見ること、そして補うことができる』
おそらく、棗くんは寿命のことだとわかってるだろう。ただ乃木くんにそれを知られたくないと私が察し、言い方を変えたこともきっとわかってる。
「つくづくお前は…」
「でもなんで、学園やみんなには内緒にしてるんだ?」
『んー、このアリスについて私も曖昧で、どこまでできるのか、探り中なのと…
学園のこと、信用してないから、私』
そう乃木くんの質問に答えると、
2人は顔を見合わせてフッと少し微笑んだ。
「なんだか似てるな、俺たち…ね、棗?」
「まぁ、そうだな。他の奴らより幾分かマシだ」
日向くんはきっと、危険能力系だから、
学園の外へ任務をさせられてるんだろう。
この話も、翼たちから聞いた話ではある。
だから心半分に聞いてしまったんだけれど。
実際に傷ついた日向くんを見てしまった。
『これからも、怪我したり体調悪くなったらいつでも頼っていいからね。パートナーだし。乃木くんも』
あ、治癒にお金は取らないよー?と、少しおどけて話してみた。
「棗でいい」
「俺も、ルカでいいよ。…えっと、紬?」
『なにそれ、学園不信用同盟?…よろしくね、棗、ルカ』
「あぁ…つか、タカハシがなんだってなんか言ってなかったか?」
『あ、そうだった!』
こうして私の秘密も2人にバレ、
棗の隠したいことも私にバレ。
パートナーの2人と少し歩み寄ることができた。
