第1章⁑出逢い編
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そして要にぃは入院生活になった。
『寂しいね、ベア』
こくんと無表情で頷く、要にぃが初めてつくったこの子は、北の森の小屋で要にぃの退院を心待ちにしていた。
病院へお見舞いに行ったときにも見えたフラスコの液体はまだ4分の1のままだった。
アリスを使うたび、寿命が縮む…
戻ることは、おそらくない。
要にぃが寝ている間、
水が増えないフラスコを見つめながら、
どうか、これ以上減りませんように。
なんなら、増えますように…と祈ってみた。
「きてたのか、紬」
『っ!…バカ翼だぁ』
学園本部への騒動を起こしたことで、翼は罰則印をつけられ寮でしばらく謹慎されていた。
バカにつける薬はないもん、バカ翼…
「あれ、にぃにーって、可愛く呼んでくんないの?」
『…呼ばないっ!学園に直談判しに騒動起こすなんて、思わなかった!バカ!アホ!ハゲ!』
「“ハゲ?”まぁまぁ、おかげで要も、病院で安静できることになったんだし、なんつーの?終わりよければ全てよし、てな」
もちろん兄のためにしてくれたこと、
怒ってくれたこと、
本当に感謝してるし、嬉しかった。
けれどーーーーー。
『翼が、目つけられちゃったじゃん…』
学園がおかしいことにはA組の時から気づいてた。
届かない両親から、私たちからの手紙。
理由も明かされない私の星階級の高さ。
私のアリスに、何か、誰かが期待している…?
利用するつもりなのだと。
最初は治癒のアリスで、病院とかでこき使われるくらいに思っていたけれど。
何か様子が違うと。気づいていた。
だから、わたしは能力別クラスで公にはアリスの研究をせず、1人で密かにしてきたのだ。
そう、簡単にいうと、目をつけられないために。
なのに今回の件で、私と兄の大切な友人…
翼が目をつけられ、呪いの罰則印をつけられてしまった。
止めたかったのに、不甲斐ない。
「俺は別に優等生でも元々ねーし、素行も良いほうじゃねぇしな。授業もサボるし、だからよ
気にすんなよ、
紬が気にすることない」
『…カッコつけめ…。…ありがとう』
きっと、要にぃも翼の無鉄砲さに呆れながらも、本心では嬉しいはずだから。
ね、要にぃ…
『…えっ!?』
「!?どした?要の方見て驚いて、なにかあったか?」
『フラスコの…水が…
増えてる、半分まで…!!!』
「はぁ!?なんで…」
そして私は翼と話す前に、フラスコの水…要するに寿命が増えれば良いのにと祈ったことを伝えた。
『よかった、私のアリス、アリスの形にも作用する…』
「…チートだなこりゃ。まじで紬、フラスコが見えることも、それに変化をもたらすことも、他言しないことだな。悪用される。
要みたいに…」
私はもちろん言うつもりはない。
けれど、治癒という言葉ではこのアリスは表現することは難しくなってきた。
周りには治癒のアリスのまま通すけれど、
このチカラは…
“再生…?”
このアリスは秘密にするつもりだった。
本当に、兄と翼だけが知ってる私のチカラのはずだったのに。
すぐにこの秘密を共有する相手が増えてしまった。
