〜彼女の日常〜
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“助けて……”
その言葉が届いたのか、入り口から勢いよく扉が開いた。
田中くんを置いて戻ってきた仲間かと思われたが、そこにいたのは見慣れたカラフルな頭たちだった。
「小春!無事か!?」
「小春っち!!」
『涼太くん!大輝くん!!』
そしてわたしの近くに立っていた男が膝から崩れ落ちたと同時に、私の肩によく知った手が触れた。
「小春、間に合ってよかったよ」
『……』
「小春?どこか痛むのか?」
『せ、征ちゃぁぁぁん怖かったよーーーー!!!!』
「「小春(っち)!?」」
「よしよし、怖かったな、もう安心していい。田中も無事だ」
「ど、どういうことっすか!?え、小春っちのキャラが…」
「もともと小春さんは甘えたさんですよ、虫とかお化けとか怖がりですし、赤司くんにもあぁいうかんじです」
「テツ、田中のところ行けたか?」
「はい、確保しましたよ……見張りも紫原くんのおかげで難なくクリアです」
「全然大したことなかったし〜」
3人しかいなかった黒スーツの男たちは、あっという間にみんなによってお縄についた。
バスケ選手たるもの、暴力は一切振るっておらず、拘束しただけだが、真ちゃんが警察を呼んでくれたおかげですぐに引き渡すことができた。
その間わたしは安心したのも束の間、警察に事情聴取されることになり、気を確かに戻さなければならなかった。が、震えが止まらずうまく動かなかった。
(こんなんじゃ、征十郎さんのこと守れない…むしろ守ってもらってしまった)
自分を叱咤し、立ち上がろうとすると、そっと肩に手をおかれた。安心する征十郎さんの手だ。
「無理はするな、気張る必要なんかないよ。小春は女なんだから。守られてればいい」
その言葉にわたしはポロポロと涙が溢れてしまった。
『うぅ…本当はすごく怖かった…!!』
しくしくと赤司の胸で泣く彼女は、本当にいつも淡々としている彼女なのか?
「こはちん、よほど怖かったんだろうね〜」
「え、ま、かわっ!!可愛すぎっスよ、、、ずるい代わってほしいっス!!」
「…テツ、お前知ってたのか」
「知ってますよ、人間観察が僕の趣味ですからね…。本当は寂しがりやの甘えたさんですよ…そして赤司くんが大好きなんですよ、彼女は」
「…あとは警察に任せてさっさと小春と田中を休ませるのだよ」
「あぁ、そうだね…」
後に聞いた話だと、桃井の情報収集のおかげでここの場所がわかったという。相手が3人だけで、武器も飛び道具もなさそうだったので乗り込めたという。
そして調査によると赤司家の事業拡大により、影響を受けたライバル会社が裏社会とつながっていて、この3人は行動に出たという。
要するにただその会社に依頼されただけだということだ。そんな会社は早々に裏がバレ自己的に潰れていくだろうと踏んでいる。
そして日曜はお互い念のため部活動を休み、月曜から登校を再開したのである。
『本当に巻き込んでごめんね…?怪我、大丈夫?』
「全然大したことなかったよ!俺の方こそ、何もできずごめんね……」
そして田中は気絶したと思われていたが、紫原たちに救出された際目覚めていた。
そして赤司に泣きついていた彼女をみていたのであった。
(俺じゃあそこまで、君の感情を引き出してあげれないな…1番にもなれそうにないし…)
それでもいいと思っていた。
でも、あんな風に女の子として泣き崩れ、甘えるのはきっと赤司や大切な仲間たちだけなのだろう。
俺にはきっと、すがってくれない。
「桜木さん…別れようか」
「結局1か月と4日で別れてしまいましたね」
「田中じゃあこはちんを守ることできないと思うし〜、いいんじゃない?別れてさぁ」
「…人事を尽くしていれば、もっと長く付き合えかもしれないがな」
「それでも別れる結果には変わらねーだろ」
「もうっ!ちょっとは小春の傷心を慰めてあげてよね!!みんなあっさりしすぎ!…というかきーちゃんは満面の笑みすぎ!!」
「いや、だって、、、へへへっ、やっぱ小春っちはオレと付き合うべきなんすよ!」
『…やっぱり怖がらせちゃったのかなぁぁ』
「田中も自分の不甲斐なさを実感したんだろう、小春が病むことはないさ」
「…まさかとは思いますけど、赤司くんが仕組んだ事件ではないですよね?」
「まさか、そこまでするように見えるか?」
(((見える……)))
『…彼氏作ると傷つけたりしてしまうかもしれないし…それに…デートしてわかったことがあるの』
「えっ!!なに!?なにわかったの??」
小春は田中と過ごして、みんなといる時間の方が自分がたくさん笑顔になれていること、そして征十郎といない時間は彼を気にしてしまって仕方がないことに気がついたのであった。
『…彼氏より、みんなといる時間を大切にしたいなって思った!』
桃井は自分の作戦がうまくいったことにガッツポーズし、みんながよくやったと桃井を担いだのであった。
そして彼女の日常に、少し変化が生まれたのであった。
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