〜彼女の日常〜
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「今度のバスケ部の午後休みにデートしないか?」
『あ…ちょっと待ってね…次の土曜午後の休みに何もないか(征十郎さんに)確認してみるね』
田中くんの誘いを保留にしていた。いつも午後の休みは征十郎さんの習い事や勉学に付き添ったりしている、おそらく次の休みもそうなるだろうと思っていたが…
「たまには彼氏とデートした方がいいんじゃないか?」
この征十郎さんの一言で、手持ち無沙汰になったわたしはせっかくなので人生初デートに出かけることになった。
少しだけ、寂しいと言う気持ちを抱きながらも、その理由に気づかないでいた。
土曜日の練習中、午後のデートの話に一軍レギュラーのみんなは興味があるのかたくさん質問された。
「赤ちんと帰らないで田中と帰るんでしょ?」
「帰るのも初めてなのにデートするなんていきなり難易度高くないっスカ!?」
「どこ行くつもりなのー?」
『お○場の室内遊園地いく予定だよ』
「まぁたしかにあそこなら午後からでも楽しめそうっスけど…オレと行って欲しかったっス〜!!」
「小春さん、遊園地とか行ったことなさそうですよね」
赤司と生まれた時から一緒にいる桜木は、赤司家と密につながっているはずだ、遊園地に行ったことなさそうだ。
「小春も俺もないよ、俺も行ったことないのに、先越すなんて生意気だな」
『危険がないか確かめてからぜひみんなで行きましょうよ』
なんでも乗り物で人によっては苦手なひともいるらしい。赤司がそんなものに臆するわけないのだが、念のため下調べしてから行こうという桜木は、やはり赤司に忠実だ。
「桜木さん!最初は何乗ろうか??」
『初めてだから何がなんだか…無難に1番人気のからにする?』
田中と桜木はお台○の室内遊園地、ジョイ○リスに来ていた。周りからみたらほんわかした可愛らしいカップルだが…
「ちょ、距離近くないっすか!?」
「田中くんぐいぐいいってるね!」
派手なキセキの世代と幻のシックスマン、諜報マネージャーが跡をつけてきていること以外は何も変ではない。
「赤ちん直視できないからって遠すぎでしょ〜」
「こんなに弱ってる赤司は見たことないのだよ」
「…小春…カップルみたいなことして…」
デートは順調に、並んでいる時も普段話さない二人は話すネタも多く、話が尽きることがなかった。
「桜木さん大丈夫!?初めてにしては刺激強すぎたかな!?」
『う、うん…大丈夫…少し休めば…』
小春が絶叫が苦手というのは少し誤算ではあったが…
「あ、じゃあオレ飲み物買ってくるよ!」
『そんな、悪いよ…』
いいから座ってて、と彼は飲み物を買いに行った。
「ふむ、なかなかスマートなやつなのだよ」
「あんなん誰でも出来ることっスよ…はぁー今すぐ連れ戻したいっ!!」
「赤ちーん、すでに飲み物買ってあるのに渡せないのつらいねー?」
「いつ買ったんですか…小春さんの好きな飲み物じゃないですかそれ」
「オレは常に誰よりも先に小春のことがわかるからな」
「「「…エンペラーアイで未来よんだ?」」」
その後も田中と小春のデートは続き、田中も桃井や緑間の調査通り、“普通にいいひと”で、がっつくこともなく、やましいこともなく、紳士的な態度で小春をエスコートしていた。
みんなも後をつけ、各々楽しみながら田中を警戒しているが、田中が普通にいいひとなので、警戒心も緩み、安心するメンバーもいればモヤモヤとした嫉妬心をもつメンバーもいた。
「なんか…みてると辛くなってきたっス…」
「それきっと赤司くんも同じ気持ちですよ」
「…あんな風に普通のカップルにみえても…。それでもアイツの1番は、赤司なんだろ」
「…小春は家のしがらみに縛られず、田中のような普通の男と幸せになった方がいいのかもしれないな」
「え、ちょ、赤司くん!?」
まさかの食い下がりの赤司に、桃井や紫原をはじめ、みんなが驚いた様子で彼をみる。
優しい眼差しと、赤司家という名家を背負う彼の、複雑な気持ちの表情が読み取れた。
「赤ちんらしくないんじゃない?」
「…いや、もしかしたらオレのエゴだったのかもしれないと、思っただけだよ」
ーーーーずっとそばにいてほしい。
オレが小春を好きな気持ちは、ただの押し付けで、赤司家に縛ることになる、彼女の重荷になる…。なら、いっそオレが諦めた方が…。
そんな考えになるくらい、田中のことを羨ましく思った。
オレが人を羨ましいと思うなんて……。
「…オレは赤司っちが羨ましいって思ってるっスよ、ずっと」
そんなキセキたちの思いの中、田中と小春は相性チェックの診断コーナーをしたり、夕方には屋内遊園地を出て、大きな観覧車へと向かった。