〜彼女の日常〜
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「ずっと可愛いと思ってました!オレと付き合ってください!」
中庭にて告白されているのは、背景の葉桜が似合うふわっとした帝光中でも1.2を争う美少女だった。この光景は珍しくない。彼女が彼氏いない時は、週に何回も告白される。“条件つき”で付き合える男子生徒もいれば、その条件が気に食わなくて付き合えずに終わる者も多い。
『ありがとうございます。…そして噂で聞いているとは思いますが、お付き合いするにあたって、あなたが1番になることは死ぬまでないですがそれでもいいんですか?
…私の1番は赤司征十郎くんなので。
彼に呼ばれたら私は真っ先にそちらに行きますし、優先順位は常に彼が1番ですけど…それでもいいんですか?』
そうーーーーーー。彼女は赤司家に仕えている桜木小春。彼女の優先順位は赤司征十郎の次に自分。彼氏はかなり重要ではないのだ。
ただ彼女は好きではなくてもそれでもいいと思っている相手とはお付き合いをする。なぜなら恋愛とは何か?を知りたいからだ。相手を好きになったらそれはそれで嬉しい発見だと思っているし、1番は赤司征十郎であることを忘れないでくれれば問題ない。
「噂で聞いてます!でもいつかはオレが1番になることなくはないよね!?」
『ないと思います』
「でも0%ではないでしょ?」
『いえ、0%です』
相手は項垂れている。まさか1%も自分が彼女の1番になれる可能性がないなんて。
でも桜木さんは可愛い、付き合いたい。
ここまで言われても付き合いたいと言う人は、隣に桜木小春を置きたいか、彼女と付き合えばあーんなことやこんなことをこんな美女とできるのでは?という淡い期待がある。なんせ彼女は断ってはいない。現に付き合った男も何人かいる。……なぜか1ヶ月足らずで別れることが多いが。
「それでもいいです!桜木さんとお付き合いしたいです!」
『…ありがとうございます、よろしくお願いします。田中くん』
「え、本当に!?オレ桜木さんの彼氏ってことでいいんだよね!?」
『はい、私は田中くんの彼女です』
「やったぁぁぁ、嬉しい!ありがとう!」
そしてスキップで4組のサッカー部のエース、田中くんは教室へ戻っていった。
食堂に戻ると、キセキの世代と呼ばれるみんなが一部ニヤニヤ、一部不機嫌な表情で待っていた。
「小春ーっ!どうだった?田中くんと付き合うの!?」
田中くんと同じクラスの桃井さつきは興味深々で聞いてきた。
「うん、1番じゃなくてもいいって言ってくれたし、優しそうだったし、真剣に伝えてくれたから付き合うことになったよ」
「えぇーーー付き合ったんっスか!?なんでオレはダメなのに……」
『涼太くんは冗談で言うし、それにファンの子が怖いもん』
「1番じゃねえ彼氏の立場がどんだけ辛いか知らねーから付き合えんだよ、その田中ってやつもどうせすぐ別れるだろ」
「小春さんは真剣さが伝われば基本的に振りませんからね…その条件さえ飲めば」
「オレそれでもいいって言ってるのにぃぃ」
「ばっかだなお前、口だけだっつーのんなの」
「サッカー部の田中は確かエースで、勉強もそこそこ、悪い噂もない素行の良い生徒なのだよ、付き合っても問題ないだろう」
「…ミドリン私みたいにいつも調べ尽くしてるよね…」
「当たり前なのだよ」
「こはちんは赤ちんいる限り普通の恋はできないんじゃない〜?……あ、赤ちんおかえり〜」
そこに生徒会から戻ってきた、絶対的1番である赤司征十郎が戻ってきた。
『征十郎さん、お昼はしっかり食べましたか?』
「あぁ…告白を受けたのか?」
『ちゃんと栄養バランス考えて食べましたか?告白受けましたよ』
「和食のA定食だ。どこのどいつだ桃井」
「うちのクラスのサッカー部の田中くんだよ、チャラチャラしてないし、いい人だと思うよ」
『和食のA定食だと、お豆腐がついてたからきっとそれにつられて征十郎さんは選んだんだ…単純だ…』
「うるさいぞ小春、まったくすぐに告白を受けるな、好きでもないのに付き合うからすぐに別れることになるんだ」
『そんなことない、私から振ってないもの。今日はこの後体育なのでいつもより5分前に戻りましょう』
「お前がほかの男ごときにフラれるのがムカつくんだ。わかっている」
「2人とも会話2つ同時に行うのやめましょうよ、聞いてて難しいです」
「本当こはちんの献身っぷりはすごいよね〜秘書さんみたい〜」
「小春っち、田中と別れたらオレと付き合って欲しいっス!」
「だから赤司いる時点でやめろって言ってるだろーが」
「オレは赤司っちに献身的な小春っちを含め好きなんっス!」
『涼太くんは優しいなぁ!でも田中くんもきっと優しいから大丈夫だよ』
「優しいで片付けられたっス…」
「きーちゃん場所と真剣さが足りないんだよ…」
「挨拶のようにしか聞こえないのだよ」
みんながわいわい話している中、黒子と赤司はみんなに聞こえないように話していた。
「…で、赤司くんはまたすぐ別れさせるんですか?」
「人聞き悪いことを言うな黒子…勝手に向こうが別れたいと言うだけだ」
「小春さんかわいそうに…恋に憧れてるらしいですよ?」
「…オレに恋すればいいだろう」
「…まぁ赤司くんもかわいそうな立場だと思いますけどね」
赤司くんは紛れもなく小春さんが好きだ。そしてそれは彼女も同じはずなのに、彼女は恐れ多いとその恋心を認めようとしない。好きと言う気持ち自体を知らないように見えるが……。
『あ、征十郎さん、そろそろ着替えに行きますよ』
「…はぁ…」
『⁉︎お疲れですか?体育見学しますか?』
「そんなことするわけないだろう。いいから行くぞ」
そして2人は食堂を去っていった。
「オレが普通の恋を教えてあげるのにぃぃ」
「赤司くんには徹底的に敬語ですよね」
「またどうせすぐ別れるでしょ〜相手もかわいそうだけど仕方ないよね〜」
「ちょっと田中くんに協力してあげようかな私」
「んなことしたらさつきが赤司に殺されんぞ」
「毎回なぜ小春がフラれるのかわからんのだよ」
「え、ミドリン気づかないの…まぁ普段とあんまり変わらないから鈍感なミドリンは気づかないか」
「鈍感なわけないだろう」
「赤司のマークが普段からあんのに、さらにヒートアップするかんなぁ」
「彼氏なんて名前だけの立場で、中身はスッカスカっスよね」
「まるで黄瀬くんみたいですね」
「ひどいっスよ黒子っち〜〜!!」
そして予鈴がなり、この日のお昼を終えたのであった。