『第1章』入学と入部
「早く、キセキの世代と戦いてぇ」
『…火神くん』
「黒子に言われた瞬殺されるっていうのが、むしろワクワクしてたまんねえぜ!」
そしてオレ試合に出たいって主将に行ってくる!と、日向先輩のところへ向かった。
「え?お前は試合にはまだ出れねーよ?」
「俺の何がいけないんスか!」
「まだ、『仮入部』だから」
そしてはやく試合に出たいという想いはテツヤくんも同じだった。
リコさんのところへ火神くんよりひと足先に本入部届けをもらったみたい。
「ただし、受け取るのは月曜日・朝8時40分に屋上にて集合!雫ちゃんは大丈夫よ、その日の部活前に個人的に受け取るわ」
そして月曜、私は全校朝礼に出るため並んでいたが、テツヤくんは屋上に向かった。
さて、リコさんは何をするんだろうか…?
そしていきなり大きな声が全校生徒が見守る中響いた。
「1-B 5番 火神大我 !『キセキの世代』を倒して日本一になる!!!」
キセキの世代を倒すなんて、誰が思うだろうか…
そんなこと考えるひとは、和成と私とテツヤくんくらいだと思っていた。
久しぶりに心がわくわく踊るように高まった。
私も、やるべきことをしなければーーーーーー。
他の一年生も、高い目標を宣言していて、誠凛に来て良かったと1人噛み締めていた。
どうやら先生乱入してきたみたいで、結局、楽しみにしていたテツヤくんの宣言は聞かなかっ
た。
「未遂だったにもかかわらず、怒られてしまいました」
『河原くんの長かったしね、誠凛バスケ部は面白いなぁ…』
「…明日の朝、少し早く来ることできますか?協力して欲しいことがあるんです」
『もちろん、テツヤくんに対しては惜しみなく協力しますよ』
放課後、いつものようにマジバに寄って話していたら、火神くんと会った。
「オレ、店変えようかな…」
『そんなに嫌なの?』
「マネージャーじゃなくて、こいつが心臓に悪いんだよ!」
「もともといたのは僕ですよ火神くん」
そしていつものように大量のバーガーを食べる火神くん。
「つーかよぉ、お前キセキの世代の5人も一目置いていた幻の6人目だったんだろ?どうして、他の奴らと同じように強豪校に行かなかったんだ?」
火神くんはとても鋭いひとみたいだ。
テツヤくんに最近抱いていた疑問を彼にぶつけていた。
「お前がバスケやるには、なんか理由があるんじゃないのか?」
「ボクがいた帝光バスケ部は強かったのですが、そこには唯一無二の基本理念がありました。それは…“勝つことが全て”。だから、チームワークなんてものはなかったんです。個人の技術があれば、勝つことができる、そんなチームで
した」
「僕は、チーム一丸となってバスケをしたい」
「僕が君の影になって、そして君とこのバスケ部を日本一にしたいと思いました」
「なに言ったんだよ…したい、じゃなくて、する、だろ」
『…すっかりもう影と光だね、2人とも』
「で、同じ帝光中のマネージャーのあんたも同じ考えってことか」
『…ほとんどそうだよ、私も私の信じるチームプレーでキセキの世代を倒したいと思っている…そして…』
(征十郎を……呼び戻すんだ…)
私はネックレスを握りしめた。
「…そして…?なんだよーーーー」
「火神くん、雫さんはマネージャーですが、マネージャーとかあんたとかお前とかで呼ぶのは失礼ですよ」
どうやらテツヤくんは話を逸らしてくれたみたいだ。
「あ!?なんだよ、、、まぁ確かにこれから長い付き合いになることだしな、なんて呼べばいい?俺アメリカ育ちだから堅っ苦しいのニガテなんだよ」
『藍澤でも、雫でもどうとでも呼んでくださいな』
「あぁ、よろしくな、雫…と、黒子!」
こうして3人で、誓いを立てた。
次の日、オレが教室へ入ると窓を外をみんな見ていて騒がしくなっていた。
何事かと思って、窓から外を見ると…校庭に石灰で「日本一にします」と書かれている。
まさか…黒子か?黒子をみると、教室で本を読んでいる黒子の制服の袖には、石灰が付いていた。雫の紺のセーターにも白い石灰がついていて、オレはこの2人と頑張ろうと思った。
「これはこれで面白いから、アリかな?」
今年こそ、日本一に……。