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『第15章』特訓と再確認







WC3日目
2日間で全ての学校が試合をこなし、50校から32校に絞られた。
ここからは全校会場に集結。


対戦する中宮南はタイプ的にちょっと誠凛とは相性が悪いチーム。
なので、今回はオール2年生編成で臨む事に。



だがいつもよりも先輩たちの様子がおかしい。
いつもなら入っている日向先輩がシュートを決め切れず、伊月先輩もボールが手についていない様子。


逆に中宮南は順調に点を入れていく。


(おそらく桐皇に勝ったことにより、100%の力が出し切れていないんだ)



自信と慢心は紙一重ーーー。
今回の誠凛の一番の敵は己自身。



呆然と試合を見ていたリコさんにタイムアウトを取るよう助言するテツヤくん。


指示を出そうとしたリコの言葉を遮り、日向が話し始める。


「俺らが目指してるのはここだ!」


対戦表の頂点、決勝の部分を指さす。



「日本一が軽いものの筈ないだろう!」



各校が各都道府県の選抜で、負けた学校の思いを背負って出て来てて。それは頭の中でわかっていた筈なのに。


「つーわけで、監督、景気イイのを一発頼むわ」


リコさんはか弱いのにーと言いつつ、笑顔でヤル気満々だ。


「オレたちもいつでも出れますんで!」


「ここでおまえらに頼らなきゃ勝てないようじゃ、日本一なんて言う資格ねーだろ!」


いつでも出れますと言った火神くんにそう言ってチョップする日向先輩。


「頼りになる先輩ってイイもんだな」


『……そうだねっ』


それからはいつもの誠凛らしさを取り戻し、ヒヤヒヤな展開ながら勝利する。当然、キセキの世代を有する各校も順当に勝ち残った。


(征十郎は出てないみたい…)


「赤司くんはまだ今回の試合出てないみたいですね」


『っテツヤくん!びっくりしたぁ…今同じこと思ってたところだったから…』


「昨日赤司くんと会ったんですよね?何もなかったですか?」


昨日征十郎と夜を過ごしたあと、家に帰ったのは夜明け前だった。
征十郎に送ってもらい、連絡を入れていたから泪が安心して寝ている間に家に帰宅した。
あんまり寝てないから、試合に影響出ないかなと心配していたが、取り越し苦労だったみたいだ。征十郎はおそらくキセキの世代との試合以外出ることはなさそうだ。



征十郎が出なくても、洛山は強い。



『お互いの、近況報告しただけだよ…』



そうですか、と安心したようにテツヤくんも特にそれ以上は聞いてこなかった。






そして3回戦。森園北に対し、1年生コンビを投入し誠凛も勝ち進んでいき、準々決勝進出を決めた。



だが、同じ3回戦でその場にいた者たちは異様な光景を目にする事となった。



なぜなら、ここまでむっくん率いる陽泉は、無失点で勝ち進んでいるのであった。




「雫ちゃん、このあと学校で陽泉のスカウティングするけど…黒子くんと火神くんは別で特訓しているけれどどうする?」


『そうですね…スカウティングはリコさんいれば問題ないと思いますし、テツヤくんのシュート練習の様子見てきます』




むっくんを倒すためにも、テツヤくんのシュート力が必須なのは確かだ。






青峰の下での彼の特訓は続いており、なんとか10本中7本決められるようになった。
さつきも来ていて、試合ぶりに顔を合わせることになった。


「赤司くんとは会った?」


『うん、開会式のあとと、そのあと別で会ったよ』


「…大ちゃんから開会式のこと聞いたけど、変わってなかったみたいだね。…大ちゃんの告白は聞いたの?」


私はピーチティーを飲んでいたが、さつきの唐突の青峰の話でむせた。


『ごほっ、…知ってたの?さつき』


「幼なじみだもん、見てればわかるよ?中学からあいつは、雫に惹かれてたもの」


“でも雫はさ…きーちゃんでも大ちゃんでもなく……ずっと赤司くんを想ってきたもんね”



「私もテツくんと頑張るね!…テツくーーーん」


そしてテツヤくんに抱きつきにいった。そしてどうして短時間でシュートを決められるようになったのか?それをさつきに問われ、青峰は改めて考えているようだ。


テツヤくんの場合、パスに特化させた副作用みたいなものだった。


(テツに今のスタイルを教えたのは赤司だ アイツはこの事に気付かなかったのか?それともワザと?)

「青峰君、ありがとうございました」


改めてテツヤくんに頭を下げられテレる青峰はむっくんの強さを改めて口にした。


(礼を言いてえのはこっちの方だ…)



「次会う時は敵としてだ」


そして青峰は負けんなよと、小さな声でエールを私たちに送った。








“負けんなよテツ、雫”







そして明日は陽泉と4回戦を迎える。





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