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『第15章』特訓と再確認







そして次の日、アレックスさんも一緒に誠凛チームは他の高校の試合をみていた。



「選手1人1人も粒揃いじゃないの!」


感心しながら観ているアレックスさんが目を付けたのは大仁多校の小林選手。



全校でも有名な高身長PGだ。でも今日の試合の相手は…。


「相手はなんてったって緑間のいる秀徳だからな」


その後に出てきた緑間を見てアレックスは息を飲む。


そしてやはりと言ったところか、秀徳は大仁田高校に勝利を決めた。


『小林選手も強いですけど、秀徳のPGは和成だしね…』




「それにしてもキセキの世代の試合は何度見ても肝が冷えるぜ…」


『何言ってるんですか、すでに3人と試合していますし、うちに心強いテツヤくんだっているじゃないですか』


「優秀なマネージャーもいるしね!」


「うちにはエース火神もいるからな!」


「そうよ、わかりきってることじゃない!これから明日からの試合のスカウティングするわよ!」


みんなでそれぞれ試合の感想を話し、リコが喝を入れると、突然、アレックスは火神を次の試合まで借りたいと言い出す。真剣な彼女の表情に許可を。



「あれは確かに化け物だ」



話には聞いていた「キセキの世代」を目の当たりにしたアレックスは、火神にまだ教えていない事があるのでそれを叩き込むと。


キセキの世代の1人・紫原と、その化け物と同格にまで成長している氷室の2人。
今の火神には最悪な組み合わせ。


「1日2日でどこまで出来るかわからんが、おまえにはまだ教え残してる事がある」


このままではフェアじゃないと火神にコーチすると言う。



そしてわたしもテツヤくんと約束通り、青峰を呼び出していた。


「青峰君、ボクにシュートを教えて下さい」


景虎がリコと2人っきりの際に言った黒子の「壁」こそシュートだった。だから、景虎がコーチについてくれた頃から密かに練習はしていたのだ。


「いずれバニシングドライブは使えなくなる」


木吉が指摘した通り、今までは数回もしくは青峰が破ってくれたおかげでボロが出なかった。
だが、敵が黒子のシュート率の低さを見破りヘルプに出てこなかったら・・・黒子自らシュートを打たなくてはならなくなる。


「ドライブで切り込むって事は自分で決める力があって初めて本当の脅威になる」


オーバーフロウのような種明かし技はあくまで切り札。乱発は出来ない。この先、勝ち続けていく為には黒子のシュート率を上げるのは必要不可欠だったのだ。


「教えるなんて一っ言も言ってねえだろうがっ!」


「なんでですか?」


『やっぱり息ピッタリだよねあなたたち…』


「…昨日雫には言ったんだがよ…。寝てねえんだよ」


ヘトヘトなのに、ずっと忘れていた感じ…久々に味わったがやはり苦くて…


「最悪の夜だったぜ」


でも、だからこそ今はバスケがしたいと言う青峰。


「しょうがねえから付き合ってやるよ、雫にも話さなきゃいけねえことあるしな」


『わたしあと30分くらいで向かわなきゃいけないところあるの』


「じゃあボクは軽くアップしてるので、その間に話しておいてください。…青峰くん、ファイトです」


「うるせーよテツ」


そしてテツヤくんを置いて、少し離れたところのベンチに移動した。













「バスケがしたくてたまらねえ」


青峰は私と二人になると、またポツリとバスケへの想いを呟いた。


『火神くんとの試合、本当に楽しそうにバスケしてたね、やっと見れたよ、青峰の笑顔』


「…んでもって、オレはお前が好きだわ」


『…ん?うん、私も好きだよ?』


「ちげーよ、さつきや他の奴らとは違う好きだっつってんだよ」


それは、征十郎とわたしが付き合ったときよような、あの時の感情の好きだと…?


『青峰は、私のこと特別に好きだというの?』


涼太くんのような…純粋な気持ちをわたしに向けているというの?いつから……?


「いつからとかなんで今言うとか思ってんだろうな。…いつからとかわかんねえよ、いつのまにか…赤司とお前が付き合う前からだな、たぶん」


『私は…征十郎と…』


「お前が赤司のこと好きなのも知ってる。その逆も、黄瀬がお前のこと好きなのもな」


『私は青峰のバスケが大好き、楽しそうに、無邪気に型にハマらないスタイルの青峰のバスケが好きだよ…青峰のことも、大切だと思ってる』


「オレが言いたかっただけなんだよ、長かったこの感情を、抑えるより吐き出しちまったほうが楽だと思った」




お前が好きだと言ってくれたプレーをできるオレになった今、伝えてもいいんじゃねえかと自惚れたんだよ。





『…ありがとう、青峰…好きになってくれて、伝えてくれて、ありがとう』


「オレはお前が好きだと思う相手と幸せになれればいいと思ってる、その相手がオレであってほしいとも思っている。黄瀬でも赤司でもな」






そして青峰は寄りかかるように屈みながら、片手でを抱き寄せた。






「こう近づくのも、あの時ぶりだな」



“…っすまねえ、俺はもう…お前が好きだって言ってくれていた、楽しいバスケをできねえ”



あの雨の日。青峰が絶望した日。




「雫…、雫……勝てよ、オレらの分も、ぜってぇ勝てよ」


『勝つよ、誠凛は強い、日本一になるよ』


「…そうだな…。そのために、テツにシュート教えてくっか」


そして青峰は私から離れた。


『…フォーレスシュートとかはまだ早いからね?』


「馬鹿か、教えるもんでもねぇよ…、時間だろ?じゃあな雫、明日からも暇ならここ来いよ」





そして青峰はテツヤくんの元へ戻っていった。
青峰の香りが残る自分の体と、冷たい風を少し感じていたけれど、征十郎のホテルへと向かわなければとその場を立った。









「青峰くん、雫さんに伝えられました?」


「あ?…まぁな…。赤司倒すんだろ?シュート見てやるよ」


「…雫さんを赤司くんの元へはいかせません。必ず倒して日本一になります」



そして今日からシュートの特訓を始めた。





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