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『第15章』特訓と再確認





試合が終わり、選手たちが着替えに行ったはずなのに控え室に向かったはずのリコさんが戻ってこない。
片付けを終えたベンチメンバーと向かってみると、どうやら中ではみんなが熟睡してしまっているらしい。


『起こすのもたしかにかわいそうですね』


「なかなか起きなそうだわ…そうだ、雫ちゃん他のところがどうなっているか、結果見に行きつつ偵察行ってきてくれるかしら?誰か一緒に付き添ってくれる?」


『わかりました!』


「あ、じゃあ俺いきますよ!」

「「オレも!」」


そして1年トリオと他のチームの偵察に行くことにした。









『やっぱ海常と秀徳かなー、勝つとはおもうけれど、どのくらいチーム力が上がってるかが気になるなぁ』


「やっぱ当たり前だけど、キセキの世代がいるチームは初戦だし勝ち上がってるよな」


「雫ちゃんからみたらキセキの世代で誰が一番強い?」


『えー、、、ポジションも違うし、1on1より3on3の方がやってたし、わからないなぁ…』


あのときはみんな笑顔で楽しくバスケしてたな…。


「フリは全員みたんだろ?キセキの主将どうだった?」


そう河原くんがフリくんに尋ねると、フリくんは思い出したかのように震えはじめた。


「キセキの世代の主将はまじでおっかなかった……オレ当分ハサミ見れない…」


「でも、雫ちゃんって確かその洛山のキャプテンと……?」


『まぁ色々あったけど…フリくんと火神くんにとったら初対面であれはキツいよね』


「陽泉のひともデカくてゆるかったよな」


「みんなキャラ濃いよなー、マネージャーの桃井さんは美人だし」


「そう考えると帝光中ってほんと凄かっただな…全員揃ってたってことだもんな」


『…!あれ…』


「どうしたの雫ちゃん?」


『…なんだか知ってる人に似ているプレーをする人がいて…ここからだと遠くてわからないけれど』


「えーと今あそこのコートは…黒い方だと福田総合っていう静岡のチームみたいだな」


『…福田総合…』







プルルルルルル





「あ、カントクから!みんな起きたみたいだから、戻ってこいってさ!」


『あ、うん…戻ろうか』









やっと起きたレギュラー陣。
小金井先輩の提案にリコさんがノッた形で、祝勝会しようという事に。
しかし、外食ではお金がかかる…どうしようか?と頭を悩ませていた。


「あの…俺んち、こっから近いんすけど」


という火神くんの一言で、彼の家に来た。大きいマンション、そして中もとても広い。


「お前ここに1人で住んでんの!?」


「いや、まぁ、親父と住む予定だったんすけど…」


「火神君って嫌な奴だったんですね…僕、もう影辞めます」


『えっ、まさかの?』


そこでわたしの携帯がなった。電話みたいだ。


『ちょっと外で話してくる』


そして一度火神くんの家の外にでた。


「て、雫ちゃんいっちゃったけど…リコは?」


「食材持ってキッチンに行きました」


「「「!!??」」」


「夏合宿のあれ忘れたのかよ!?」


「おまたせー!できたわよ!」


「「「できちゃったよ…!!」」」


「「「見た目は普通だ…!!」」」


「い、いただきます」


「まて伊月…。黒子くーん、まず一口食べてごらんよ」


「…笑顔がとてつもなく怖いんですけど」


そして黒子が鍋から取り出したものはバナナだった。どうやらカントクはデザートを全てちゃんこ鍋に入れたらしい。


「まぁ、気にすんなよ日向 他は普通みたいだし」


といいつつ、鍋から出てきたのはいちご、他にもみかんやキウイだったが、しかし、意外に美味かった。


ひとしきり食べ終わると火神はベランダに。すると、それより前にいた黒子に驚く


「クッソ!久しぶりだな、この感じ」


2人が初めて出会った頃を思い出した。


「今日はありがとうございました」


こんな風にみんなとご飯を食べていて感じたと。



「火神君に会えて、本当によかった。そして雫さんも同じことを思っていると思います」




しかし、WCはまだ始まったばかり。しかも、誠凛はこの試合で手の内のほとんどを晒してしまった。


「この先、今日より厳しい戦いが続く筈だ」


「だったら・・・強くなるしか無いですね」


話していると黒子はそのまま倒れてしまって…よく見れば、室内も全員死んでいるようだ。カントクの料理は時間差で効いて来る毒のようなものだった。そして火神の身にも・・・倒れる直前目に入ったのは“プロテイン”だった。













『もしもし?…青峰?』


「おう……今外か?」


『あ、うん。祝勝会しようって、今火神くんの家にみんなできているんだ』


「初戦勝っただけでずいぶん余裕じゃねーか」


『桐皇相手だもん、仕方ないよね…、青峰が電話なんて珍しいじゃない、どうしたの?』


「……今日の試合が頭にちらついてなんもできやしねぇ」


今日オレは久しぶりに敗北を思い出した。頭はガンガンするわ、気持ち悪い気分で最悪だ。なのに練習したくて、いつもよりバスケがしたくて仕方ねえ…


『青峰が今日バスケ楽しそうにしてて、敵なのにベンチで泣いてしまったよ…それくらいわたしも嬉しいのと、苦しいのと、胸がいっぱいだった』



“ そ、そうだよ!青峰のバスケが好き、そんなつまんなそうにプレーしてる姿なんか見たくないんだからね”




「お前の行動、いや、お前とテツの決断は正しかったってことだよな。結局お前らのバスケに負けた。その差はオレらが忘れちまったもんなんだもんな」


『テツくんは青峰がまた笑ってバスケしているところが見たいって言ってた。だから、すごく今嬉しい気持ちでいっぱいだと思うよ』


「……お前もか?」


違うか、お前はオレより、赤司が一番の望みのはずだもんな。


『当たり前じゃん、だって青峰のファンって言ったでしょ?バスケ部のマネージャーやる動機になった青峰のプレーなんだから、また笑顔でやる姿みれて嬉しいに決まってるじゃない』


「……そうかよ。…雫、オレお前に言わなきゃなんねーことあるわ」


『なに改まって…なに?』


「…いや、今度会ったとき言うわ、なんかお前と話してたら余計バスケしたくなったわ」


『またみんなでバスケしようね』


みんなで…黄瀬や緑間はともかく、紫原と赤司は…遠いしなにより仲間のためにわざわざ集まるような奴らじゃない。



「気が向いたらな」
















そして電話ん切って部屋に戻ると、サスペンスみたいな現象が起きていた。全員が屍のように倒れていて、もうなぜか出来上がっていた鍋が食べかけで置いてあった。



ーーーーーーーーーーーーーリコさんだ。






『みんな起きてください!!』




そして1人ずつうなされながらも起こし続けたのであった。





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