『第13話』温泉と開会式
そして誠凛バスケ部はWCに向けて山の合宿へ。
リコさんの計らいで、近くに温泉があるというところで、温泉付きの宿に泊まることになった。
脱衣所で着替えて、先に温泉に行ったリコさんを追いかけようとすると、リコさんはなぜか戻ってきた。
「…隣ちょっと騒がしいから、しばいてくるわ。雫ちゃん、先入ってて?」
満面の笑みで着替えて男湯に向かって行った。
その頃の男湯ではーーーーー。
「火神…ちょっと来て!発進!!」
「なんで日向も発進するんだよ!?」
「伊月はイーグルアイあるからいいだろ!」
「そーゆうスキルじゃねえよ!?」
あらゆる手を尽くして覗きをしようとした。
「女子大生と、雫ちゃーん」
「穴があった!ここから覗けそうだ!」
「リコいたら殺されるぞ!?」
意外に冷静な木吉先輩。
そんな中のぼせちゃった黒子。火神と先に上がっていった。
「黒子!?」
「…すみません…ちょっとのぼせました」
「覗きのスペシャリストが…っ!!」
「ミスディレクションもそういうスキルじゃねえから!!」
「楽しそうね!なんなら混ぜてよ……?…何してんだ?お前らぁ?歯ァくいしばれー?」
止めていた伊月も巻き添えをくらい、みんなグーパンで殴られていた。
『おかえりなさいリコさん、隣楽しそうでしたね?』
「ったく、なにしてんだかほんと…」
「…隣、いいですか?」
『え、さつき?』
「なんでここに!?」
「温泉いいですね〜、最近肩こりがひどくて…リコさんはそういうのなくて良さそうですね?」
「この小娘!!」
さつきの胸は相変わらず大きい。
リコさん、アナライザーアイで見ないでください。
『…で?何しにきたの?』
「…トーナメント表の発表、手に入れたのでお伝えにきたよ?…初戦は誠凛高校は、私たち桐皇高校なんです」
「『!?』」
「東京同士で当たるなんて…」
『特別枠があるからですかね?』
「…テツくんは好きですけど…だからこそ手は抜きません」
「初日で終わってしまうのは残念ですけど…いい試合…しましょうね?」
そのさつきの言葉にリコさんは胸をさつきに当てるようにして言い返した。
「ずいぶん上から物言ってくれるわね!舐めんじゃないわよ!!うちの男達だってやわじゃないわ…!」
『…さつき、悪いけど、私はもっと先をみているから。負けるつもりで行く気はないんだよね…』
「そういうこと!首洗って待ってろ!」
「そうですね、お互いいい試合しましょうね」
そして先に入ってた私はのぼせそうになったので先に出た。
桐皇がいるってことは、青峰もいるのかな?
「どうやら扉を開けたのは本当らしーが…入り口に立っただけだ。お前はまだ…キセキの世代には遠く及ばねーよ!」
「すみません火神君…実は今僕…やった!って思っちゃいました」
「ハッ…何言ってんだバーカ!」
「借りは早く返すにこしたことねーぜ!!」
「…いいぜ!受けてやる!」
噂をすれば青峰とテツヤくん、火神くんが自販機の前で話していた。
「!…雫さん」
「雫!初戦の相手はどうやらこいつららしいぞ!」
『うん、さつきに聞いたよ…よろしくね青峰』
「…勝つ気満々みたいだが、オレに勝てるのはオレだけだ。残念だったな、せっかく赤司ともやれるチャンスだったのに」
『どうせ日本一目指してるんだもん、最初にこようがあとにこようが関係ないかな』
「はっ、そーかよ…言うじゃねーか」
『青峰が笑って楽しくて仕方ない試合にしてあげるよ、本気の青峰を引っ張り出してやる』
そう言って火神くんの肩に手をかける。
「せいぜい楽しませてくれよー?そいつにできればの話だけどな」
「あぁ!?なめてんじゃねーぞ!キセキの世代全員ぶっ倒してやる!」
「なぁ、もし…」
青峰が私に向かって何か言いかけた。
『ん?なに?』
「……いや、ねえな、なんでもねえわ。んじゃ、またウィンターカップで」
「はい」
“青峰が、楽しそうにバスケする姿私好きだよ…”
“……そっか、お前俺のファンなんだな“
“そ、そうだよ!青峰のバスケが好き、そんなつまんなそうにプレーしてる姿なんか見たくないんだからね”
もしそんなオレに戻れたら、赤司じゃなくてオレを選んでくれたのか?
なんで柄にもなく考えてみたりしてな。
黄瀬の気持ちもよくわかる。
霧崎第一のとき、そばにいないあいつは助けには行けなかった。
灰崎のとき、オレが見つけて後から赤司がきた。
この間はそのかわりに黄瀬がきた。
オレはいつも初めに見つけてやってんのにな?
「青峰くん?なんか嬉しそうなかおしてる?」
「あ?なんでもねーよ、さつき」