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『第12章』WC予選リーグ







そして第3Q、ラン&ガンで高速パスを回し、点をとっていく誠凛、そして緑間くんのフェイクと和成のパス回しによる攻撃で点の取り合い合戦だ。
火神くんもだいぶ疲れが溜まってきている。


「何をぼーっとしてるのだよ…!?一瞬たりとも気を抜くな…!俺を止めたければな!」


「気にするな火神!取られたら取り返す!」


「よーし!行くぞ!!」


「鉄平が帰ってきたとはいえ…やはりここからは難しいわね」


「勝機を作れるとしたら黒子君の新ドライブ…!」


「はずすなよ!」


「黙れ…馬鹿め!」


「リターン!?こんなパターンもあんのかよ!?」


和成のリターンパスで、緑間くんがシュートを決める。
2人の連携が遥かに前より上がっている。
そして何より…



(緑間くんが、笑っている…?)



みんなそう、テツヤくんと戦って負けた涼太くんも、緑間くんも、仲間に頼る強さを知っていく。
いつか、他のみんなも…。

「監督…今ならいけると思います」


「新しいドライブ…!」


「やっと出てきたか…!」


「待ってたぜ…黒子!!」


「やっとでてきたか!」


「ちゃんと奴等の度肝を抜けるんだろうな!」


「はい…もちろんです」


「ヤツがこの場面で手ぶらなどありえない…でてきたからには何かある」


「今の彼を止められないわよ…なんたってキセキの世代を倒すための技だからね!」


「さぁ…お披露目よ!!」


『頑張って、テツヤくん』


そしてこの切り札を出すタイミングを伺っている誠凛チーム。
しょっぱな失敗するわけにはいかない。
そしてついにテツヤくんがボールを手に持った。

「ばかな…!黒子がボールをもった時点でミスディレクションは使えないはず!」


「残念だけど…そーゆー話じゃないぜ」


「黒子にしかできない…そのドライブは!」


「バニシング・ドライブ!!」


「信じらんねえ!目の前から消えやがった!!」


そしてテツヤくんのドライブとパス回しでついに秀徳と同点になり、第3Qを終えた。


「振り出しですね…」


「面白い…!!」



そして火神くんと緑間くんも、攻防が続いている。和成もテツヤくんを止めようとディフェンスに力を入れる。


「あいつより先に根を上げるなんて…できるもんかよ!!しがみついても…止めてやる!」


「…そう簡単に破られては困ります」


そして火神も負けじとスーパージャンプで飛び、緑間くんもまだまだ打ってくる。


「すげーな真ちゃん…大丈夫かよ!」


「馬鹿な…俺が自分の打てる本数を把握していないはずがないだろう!……限界など…とうの昔に超えている!!」




(こんな熱い緑間くんは初めてだ…)




「行かせねえ…!!」


「なら…力ずくで通ります!」


「このパスコース!ターゲットは…!!」


「ナイスパス!黒子!!」


「させるか…!!」


木吉先輩にパスが回り、それを緑間くんがブロックをする。
木吉先輩のテクニックで、ファウルをもらった。


一点差の状態でフリースロー2本。



1本は決めて、同点は確定した。
しかしもう一本放ったあと、そのボールは外れた…。リバウンドもたれこみ、結果は同点で終わった。






今回の予選は延長戦はないので、次の霧崎第一戦にWCの切符は委ねられたのであった。





最後のフリースロー、木吉先輩の放ったシュートの音が違った。もしかして、膝…?





「最後のフリースロー…あれさえ決めていれば」


「何しけたツラしてんだドアホ!おまえがいたからここまで来れたんだろうが!」


「つーか負けた訳じゃねーし!」


「精一杯やった結果です…何一つ不満はありません」


「ああ…そうだな」















そして秀徳と挨拶をした。

「火神…まさかこれで満足した訳ではないだろうな」


「んな訳ねーだろ!とりあえず勝負はお預けだ!」


「冬には決着つけようぜ!」


「望むところです」


『…2チームともいい試合でした、またやりましょうね』


「あぁ!もちろんだぜ!」

「当たり前なのだよ、勝負は冬にお預けだ」


















そして控室にて、私は木吉先輩を探していた。



「次の霧崎第一戦…おまえは出るな…!」


木吉先輩と日向キャプテンの会話が聞こえる、その部屋の扉の前には火神くんもいた。


「ふざけるな!おそらく今年が最後のチャンスなんだ!」


「この膝が壊れても…俺は出る!!」




やはり、完治していなかったのだ。
フリースロー、木吉先輩が外すわけない。
膝の痛みが悪化しているんだ…。
そして、その膝の原因はもしかして次の霧崎第一戦と関係あるのか?




帰り道、日向先輩と火神くん、テツヤくんと一緒になり、歩いているところで火神くんが日向先輩にさっきの件を尋ねた。





そして私たちは誠凛高校バスケ部の誕生話と、霧崎第一戦での一件を聞いた。






次の試合、勝たないとというプレッシャーと、怒りと、いろんな意味で負荷がかかってしまいそうだ。






花宮真……
彼が無策でくるはずがない。
マネージャーの私にできることはなんだろうか…。





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