『第12章』WC予選リーグ
そしてWCへの出場をかけて、決勝リーグが始まった。
「忘れ物はねーな!」
「何言ってんのよ!それをこれから取りに行くのよ!!」
日向先輩とリコさんの掛け声で大会会場へ向かった。
「そういえばさぁ、雫ちゃんってすごいひとだったんだね…汗」
小金井くんはこの間のニュースの画面スクリーンショットを見せてきた。
「ボクも見ました。すごいかっこいいインタビューでしたね、またボクも聴きたいです」
「黒子聴いたことあんの!?」
「はい、中学時代に一度…初心者のボクにも分かるくらい綺麗な音でした」
いいなー俺らも聴きたいなーと、みんな先輩たちもニュース見てすごく驚いている。
『…ぜひ、春のコンクール見に来てくださいね』
“ 今度はいまの曲に、打ち勝った結果論まで添えて演奏しましょう”
誠凛高校の控え室にて、リコさんから今大会についての説明される。
「予選出場校は8校!!このうち2校がウインターカップ出場権を得るわ!」
今日の試合でまず4校に絞られるっぽい。
「今回の出場校はインターハイの予選の時の8校…つまり夏に結果を残した強豪揃いってこと!」
『インターハイの延長戦がWCってことですね』
「そう!そして今日の相手は6位の丞成高校!絶対勝つわよ!!」
「「「おう!!!」」」
ベンチについて試合準備をしていると、木吉先輩の緩んだ顔があった。
「久しぶりの試合だからな!どうしても顔がゆがんじまうよ」
『すごく笑顔ですね?楽しみで仕方ないって、顔してますよ?』
そして丞成高校のチームが入ってきて、木吉先輩をみて驚いている。
「木吉!!」
「何であんなヤツがいやがる!?」
「どんな状況でもゴール下を支える不屈の魂…鉄心・木吉鉄平!!」
「…あの人がいると安心するというか…負ける気がしません」
『そうだね、テツヤくん…縁の下の力持ちってかんじだ』
「さあ!行くわよ!新生・誠凛バスケ部…始動!!」
どうやら向こうのチームがなにかわなわな震えていた。
「どうした鳴海!?」
「相手の監督女だって言ったのに…色気ゼロじゃん!!」
それを聞いた私はそんなこと大きな声で…リコさんに聞かれたら!と思い誰が言った!?と顔を上げた。
「待って待って待って、あの子可愛い、あの子いいわ、あの子オレの専属グラビアにーーーーーーー。」
「ブ・チ・コ・ロ・セ」
「「「かしこまりましたーーー!!!」」」
確かあの人は、期待のルーキーの一年生だ。
女好きなのかな?なんかすごいこっちみて手を振ってくるんだけど…
「あんのちゃら僧が……」
『リコさん、怖いですよ顔が…』
そしてやはり火神くん封じと言ったところか?ダブルチームでなかなか動きにくいみたいだ。
「ゴールぶっ壊すくらい…叩き込んでやる!!」
「くらえー!!」
「ありえねえ!ゴールに頭突きとか人間技じゃねーよ!」
火神くんがゴールに頭突きしてしまった。
『ちょ、大丈夫!?』
「2人も張り付きやがって!いい加減にしろやクソ野郎ども!!俺に打たせろや!シュート!!」
「おい!火神!!」
「…いいかげんにしてください」
怒り心頭な火神くんにサポーターを投げてぶつけるテツヤくん。
「火神君がディフェンダーを引き付けているから先輩達が攻めやすくなってるんです。すねるところじゃないでしょ?あと…あそこ見えますか」
そして指差した応援席には桐皇の桜井くんと今吉さんがいた。
「今日の試合内容は青峰君にも伝わるはずです」
「まかせな…!叩きつけてやる!!」
青峰を本当にライバルとしてみている火神くんにはいい刺激になったみたいだ。
「勝つ気のないディフェンスじゃ俺は止められねえ!!」
「レーンアップ…!?」
火神くんはフリースローラインからダンクシュートを決めた。
このジャンプ力は…!
根拠はない…けれど、
その存在が10年に一人と言われる天才…キセキの世代……彼らと同格の選手は存在せず…もし現れたとしてもそれはずっと先…の筈だった…。
彼らが聞いたのは扉の音…その圧倒的天才達しか入れない部屋の扉がこじ開けられる。
そして試合は108対61で誠凛勝利した。
「ちょ、ちょっと君、誠凛のマネージャーだよね!?」
さっきの相手校のルーキーくん、鳴海くんがこちらに話しかけにきた。
『…そうですけど、何か?』
「名前!名前と教えてくんない!?あと連絡先…」
『えっ、名前は藍澤雫といいます。連絡先ですか…』
「おい、連絡先が知りてーなら、次またやるとき勝ってからにしやがれ!」
『火神くん…』
「ちぇー…雫チャンか!絶対忘れないぜオレは!」
そして向こうのキャプテンたちに連れられ鳴海くんも帰っていった。
そして王者泉真館にも勝利し、次は秀徳との試合と決まった。
勝てばWC出場に大きく近づき、負ければ遠ざかる…。