『第11章』真実とストバス






「どうしようテツ君私…青峰君に嫌われちゃったかも知れない」


「青峰君…今年準決勝と決勝に欠場したの…」


「らしいな…でもなんで…?」


「故障です…主に肘の」


「原因は恐らく…黄瀬君とやった海常との準々決勝ね」


「そうです…さすがですねBなのに」


「B関係ないでしょ!?」


キセキの世代同士の試合はやはり身体への負担が大きい。
彼らは天才だけれど、まだそのプレーに身体が追いついていけてないのだ。



さつきは青峰を試合に出さないように、原監督に助言をしたという。
しかしそのことが青峰にバレて、喧嘩になってしまったと…。


たしかに、青峰の性格上、むっくんと征十郎と戦えば無理をするに違いない。



「…きっと、赤司くんに勝ちたい気持ちが強かったんだと思います…」



「つーかさ…お前黒子が好きなんじゃねーの?だったら青峰に嫌われよーが知ったこっちゃねーじゃん!」


「デリカシーねーな火神!」

「デリカシーなさすぎです火神くん」

『そーゆう問題じゃないんだよ火神くん』


さつきもまた泣き出してしまい、みんなに非難される、少しかわいそうだけれど仕方ない。


「黒子にも女心を諭された!」



「大丈夫ですよ桃井さん、青峰君はそれ位で嫌いになったりしません。桃井さんが心配してくれたってこともちゃんと伝わりますよ」


「テツ君…!」


テツヤくんはさつきの頭を撫でて諭していた。


「火神…あれだよあれ」












帰り際に、どうしてキセキの世代がみんなでなかったのか、リコさんはさつきに聞いていた。


「むっくん…紫原くんは、赤司くんのいうことは聞きます。そして赤司くんは、優勝した後のインタビューでこのように話していたそうです」




“桐皇戦、出ていればもっと楽に勝てたのでは?”


“それでは面白くもなんともない”




『…彼らしいセリフじゃないの』


「…青峰くんは、雫のためにもきっと、赤司くんと戦いたかったんだとおもう。だから余計に怒らせてしまったのかも」


『肘痛めた状態で、敵う相手でもないでしょうにね』



テツヤくんはさつきを送ると言っていたので、邪魔しないように学校前で見送った。



「たく、つくづく化け物揃いだな、キセキの世代っつーのは」


「雫ちゃん、あなたの勝ちたい相手は、洛山のキセキの世代キャプテン、赤司征十郎で合ってるかしら?」


『…はい、そうです。京都の洛山でも、彼は主将をしているそうです』


「まぁどうせ目指してるのは日本一だ!そこに向かって進むのみ!」


「「「おう!!」」」














そして私も帰宅しようと家に向かって歩いていたところ、帰り道に通るストバスコートで、さっきさつきが喧嘩してしまったと話していた本人、青峰がいた。




『肘、痛めてるんでしょ?安静にしてないと治るものも治らないよ』


「んだよ、雫か…さつきに聞いたのか?」


『今日泣きながらウチのところにきたよ?仲直りしなよ、さつきも青峰を想っての決断なんだからさ』


「わぁーってるよそんなもん。ただ、せっかく届いた赤司に不戦なんて、馬鹿馬鹿しいだろうが」


『…へぇ、私のため?』


「バーカ、半分オレのためだ」


…じゃあ半分は私のためじゃんか。


「ま、WCでこの決着はつけるつもりだし、もうさつきにも怒ってねーよ」


『…そう、ならよかった…。そういえば涼太くんとの試合みたよ?すごく良い試合だったね、青峰も楽しそうだったから、ちょっと中学思い出したよ』


「…黄瀬がまさかあんなに強くなったとはなぁ、まさかオレのコピーをするなんて、やっぱ赤司の言ってたとおり、灰崎より強かったのかもなあ」


『他校の試合で涙がでたもん。それだけ青峰やキセキの世代のプレーは人を魅了する力があるよね』


「…そうかよ。でもま、オレが一番ではもうなくなっちまってるんだろうけどな」





“ …っすまねえ、俺はもう…お前が好きだって言ってくれていた、楽しいバスケをできねえ”





『…青峰もきっと、心から燃え上がるような楽しい試合ができるよ。これは確信として』


「なんかお前が言うと本当になりそーだけどなぁ、ま、オレに勝てるのはオレだけなのは変わらねえだろ…つかあの日黄瀬と噂んなってたぞ?赤司の耳に入ったらやべえだろ」


『あ、そうなの、バレてね、怒らせちゃって大変だったんだよ?』


「馬鹿だなお前、今の赤司は前の赤司じゃねえだろ、気を付けろよ…監禁されんぞ?」


『え、それはやだな…そうしたら青峰が助けに来てね?ヒーローでしょ?前もなんだかんだ灰崎くんのとき探しにきてくれたもんね?』


「相手が赤司じゃあバスケはともかくお前に対しての執着は勝てる気しねー…ま、気が向いたらな」


『珍しく弱気だね、でもありがとう…冬、楽しみにしてるね?』


そうして私は帰ろうとしたが、青峰が珍しく送ってくれるというのでお言葉に甘えた。

















たく、オレは中1んときからお前が好きだったっつーの。相手が赤司じゃなきゃ、お前が赤司を選んでなきゃ……オレは、多分きっと…。





「あー、赤司とやりたかったぜ…くそっ」





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