『第6章』決勝リーグ前






なんとお好み焼きやさんからでたら、テツヤくんが犬を拾ってました。
拾うなよ!とか、捨てるなんてひでぇ!とか。
わいわい騒いでる先輩たち。


近所迷惑でしょ!?と怒ってでてきたリコさん
でしたが…


「かわいいでちゅねー」

『リコさん、犬好きなんですか?』

(((犬と美女のコラボやべえ!!!)))


「ん? なんか、誰かに似てない?」

と、犬を見て、テツヤくんを見て、犬を見て…。あまりに目がそっくり過ぎてびっくり…

小金井先輩により、犬は「テツヤ二号」と名づけられました。


盛り上がるメンバをよそに、ひとりだけ火神くんが離れた場所で頭抱えていた。

「犬、マジでダメ…です」












学力テストも終わり、通常に戻った私たち。
火神くんはいまだに足の不調が長引いていて、練習には参加できていなかった。
二号が吠えるたびに火神くんはビクビクしている。


『…そんなにダメ?』

「む、無理だろ、こえぇよ!」

『この子は言うこと聞くし、いい子だから可愛いとおもうけどなぁ』

「…まるで言うこと聞かない犬は可愛くないみたいな言い方じゃねーか」

『…ん?まぁそうかなぁ…』

「……あー、雫、あのとき…その…わるかったな…!」




“彼らと同じ考えのバスケをするならもういらない”



『あ、私こそっムキになってごめんね!』

「いや…ムキっていうか、なんかすげー見放された感じしたっつーか、正直やべえと思った」

『でも、テツヤくんが方向修正してくれるから、安心だね』

とりあえずドリンク作ってくるね、と伝えて火神くんから離れた。






「火神くん、雫さんに謝ったんですね」

「あ、あぁ、つーか聞いてただろ」




「…知ってますか火神くん、怒られるより、無にされる方が怖いんですよーーーーーー」




「……みたいだな」














pipipi…


メール?誰からだろう……っ!


私は内容を見て、思わずフっと笑みを浮かべて、返信した。

















そして後日の練習日、リコさんのジムのプールでプール練習をすることになった。
私は中学時代にさつきに選んでもらった、マリンボーダーのほうの水着に、白いパーカーを羽織っていた。


リコさんの笛の音に合わせて、プールの中でスクワットをしている。


(((マネージャーみてたらスクワットだろうがやれるぜ!!)))


「ちょっと!みんな雫ちゃんの方ばっか見ないで集中!!」

続けていると、突然女の人の声がした。
もしかしてーーーーーーーーーーー。


「桃井さん…」

「知り合い!?」

「えっと、どちらさま?」

「えーっとぉ、何て言えばいいのかな?テツくんの彼女です。決勝リーグまで待てなくて来ちゃいました」

「テツくん…」

「黒子テツヤくん♪

「お前、彼女いたのっ?」

「違います。中学時代のマネージャだった人です」

帝光の…と驚く日向先輩に、決勝リーグ…次の対戦校なの?と驚くリコさん。

『そうですね、キセキの世代の1人も一緒にいるので、決勝リーグで当たるのは間違いないです』

「あ、テツくーん。ひさしぶりぃ。会いたかったぁ」

抱きつくさつき。テツヤくんに押しつけられている大きな胸。

「苦しいです、桃井さん」

(((羨ましすぎる黒子、いいなぁ黒子、死ねばいいのに)))

 
「いやいや、なんで黒子?冴えねぇし、薄いしぱっとしねーし…」

「えぇ? そこがいいんですよ~。でも試合になると、別人みたく凛々しくなるとことか。ぐっと来ません? あと、アイスくれたんです」

「はぁ?」

『テツヤくんがさつきに、ガリ○リくんの当たり棒をあげたんですよ』


(((単純…!?)))


「ちょっと胸が大きくてかわいいからって、みんな慌てすぎよ。ねぇ? 日向くん?」

「うん、そうだね」

「チラ見してんじゃねぇ!!」

リコさんが日向先輩を殴った。

「日向さん、死んじゃいますよ」

「え、なんで俺の名前…」

「知ってますよぉ。誠凛バスケ部キャプテンで、クラッチシュータ日向さん。イーグルアイを持つポイントガード伊月さん。無口な仕事人で、フックシュータ水戸部さん。圧倒的なジャンプ力を持つパワーフォワード火神くん。小金井さん、土田さん」


「そして、ギリギリBの監督、リコさん」

「…最後に意外とあるDのマネージャー雫!会いたかったぉぁぁ」

(((あ、マネージャーDなんだ…!!)))

『ちょっとさつき、人のプライバシーをなんだと思ってるのよ』

「えぇー?雫のことはよーく知ってるよ?だって私たち、親友だもんねっ」

『この間メールで近々会いに行くねって言ってたけど、プール練の時に来るなんて…みんなを悩殺しにきた?』

さつきはそんなつもりないよー?とにこやかにしている。


「桃井さん、やっぱり青峰くんのとこ行ったんですか?」

「…うん。テツくんと一緒の学校に行きたかったのは本当だよ。けどあいつ、ほっとくと何しでかすかわかんないからさ」

「この子、テツくんにそっくりだね」

二号に触ろうとしていたけど、敵の認識があるのか珍しくツンと二号はしていた。














練習のあと、さつきとテツヤくんと3人で話していた。

「ミドリンとの試合、ビデオ見たよ。火神くんて、昔のあいつ、そっくりだね」

「はい」

『私も最初の頃から思ってたよ』

「ふたりのプレー見てたら、思い出しちゃってさ、中学時代のときの2人の息の合うプレーを…」

「青峰くんの、テツくんと一緒にやってる頃のプレーのほうが、好きだったんだけどな。バスケをひとりでするようになって、チーム内で孤立して、それでも、試合に負ければ変わってくれると思ってた」

「けどあいつは負けない。ひとりになっても、誰も止められないのよ。あ、ごめんね。どうも昔の話になると、暗くなっちゃって」

「変わりますか」

「え?」

「青峰くんを止めたら」

「え、でも」

「青峰くんの強さは知ってます。けど、僕ひとりで戦うわけじゃ、ないですから。約束します。青峰くんに勝つと」


「…うん!…雫は…その、彼とどう?連絡とったり、してる?」


さつきは最後は笑顔でうなずき、今度は私のことを聞いてきた。


『…なんて連絡していいか、わからなくて…。卒業から一回もしてないんだよね…。試合の勝ち負けとか聞かなくてもお互い調べればわかることだし、かといい今の変わってしまった彼に、なにか別の話をするのもなんか違うと思うし…』

「え、てっきり黄瀬くんや緑間くんに勝った時に逐一連絡していると思ってました」

『だって練習試合だし、緑間くんも地区予選だし…全国には…決勝リーグで勝たないと…』

「…雫は連絡しない理由ばっか探してる!きっと向こうも待ってると思うよ!?とりあえずいまの近況一度話してみたら?」

「連絡しない期間が長いからモヤモヤするんです、さっさとして下さい。そして切り替えてスッキリした状態で、青峰くんを倒しましょう」

『…たしかに、どこかでモヤモヤしていたかもしれない…、ありがとう2人とも!』






ーーーーーーーーーーー私は彼に連絡をする。





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