『第3章』新協学園との試合
お父さんが打ったシュートは、リングに弾かれ落ちた。
「ええ。なんたって……火神君が、お父さんに自分のプレイをさせてないからね!!」
「自分のプレイを…?」
『届かないなら、届かないなりのやり方があります。水戸部先輩直伝ですよ』
「また駄目だ!!さっきから全然だぞ!?」
「全然入んねーし、外国人っても大したことねーな」
(テキトー言ってんじゃねーよ!!コートの中だとすげー圧力なんだよ!!2mを今にもブロックしそうなジャンプ力!!殺気とも言えるような集中力!!生半可なプレッシャーじゃねぇ!!)
「また外した!!」
「ナんだヨもうっ!!ムカツク!!」
「クサるなよ。ブロックされてるワケじゃねーんだ。DF!!」
「ヘイ!!2つ、言っとくぜ」
火神くんがお父さんに話しかける。
「?」
「1つは、この試合中にぜってーオマエのシュート、叩き落とす!!」
「ソんなの…ナいじゃん、でキるワケ!!子供がイるチームなンかに負けなイ!!」
そう言って反論するお父さん。
そして伊月先輩からテツヤくん、火神くんへのミスディレクションをつかったパス連携がうまくいき、ダンクを決めた。
「子供もけっこーヤバいかもよ?」
「てゆーか子供で話進めるのやめて下さい」
それからも、誠凛の勢いは留まることを知らず、第1Qが終わった時の点差は、[8-23]と圧倒的だった。
「ここから暫く、黒子君は温存しなきゃやならないわ。攻撃力が落ちる中盤の間、いかに点差を縮めさせないか」
『実は客観的に見ると、お父さんに頼ってばかりで、それ以外の4人には脅威になるような選手はいないんです』
「そう。この試合はとどのつまり…
これから黒子君が戻るまでの間、火神君がお父さん相手にどこまで踏ん張れるか。それに尽きるわ!!あの高さに対抗できる可能性があるのは、キミだけなのよ!!」
「任せろ!!っスよ!!」
『火神くん、お父さん“も”まだ本気ではないので、もう一段高くなるとおもう』
「!?…油断禁物ってことだな!!任せろ!」
そしてお父さんも思ったとおり、より高くなり本気を出してきた。
「モう本気!!負けなイ!!」
「ハッ、そうこなくちゃな。テンション上がるぜ、お父さん!!」
「ナンデ?ナんか、ドんドん高くナってル…!?」
「火神すげえ!!こらえるどころか、全然負けてねー。カントク!特訓の成果出てるっスよ!!」
「…え…と、てゆーか、ですぎ…かな?」
「え?」
“お父さん“も”本気じゃない”
(雫ちゃんはわかっていた、火神くんの跳躍もこれからまだあがると…末恐ろしい判断力と洞察力だわ…)
点差が縮まってきたところで、テツヤくんを出すことに…そして再び襲う見えないパスに、新協が掻き乱され始めた。
2、3Q丸々出なかった彼のミスディレクションは、慣れ始めていたのが元の薄さに戻っていた。
「キセキの世代にガッカリとか言ってたけど。チョーシこきすぎだね!!」
「アイツらの方が……」
「断然強ーわ!!」
『当たり前です』
そして私たちは試合に勝ったーーーーーーーー
「ったく、今日も見たいとか…オマエ、同中のアイツにどんだけ注目してんだよ!?…あ、それともあれか?しーちゃんに会いたくて?」
「違うのだよ。ただ外国人留学生というのがどんなものか興味があっただけだ」
「留学生~!?興味あんのは誠凛の方じゃねーの?てか俺も、アイツらにちょっと興味出てきたわ。しーちゃんもいるし。上がって来いよ~?」
「言っている意味がわからないのだよ。的外れな憶測は止めてくれ」
「…まぁよかったじゃん?キセキの世代を侮辱されていらついてるしーちゃんを見れて、さ?」
「高尾、お前は藍澤の表情の変化の読み取りに関しては褒めてやるのだよ」
「ま、唯一の幼なじみなんでね?…なに真ちゃん、もしかして焼いて…「妬いてないのだよ!」…俺に!?」
「馬鹿め、藍澤はお前のでも俺のでもないのだよ」
ーーーーーーーーずっとやつのものなのだからな。