『第3章』新協学園との試合
ある日の練習の日、リコさんはIH予選の対戦チームを調べに行っていた。
「ただいまー」
『あ、おかえりなさいリコさん』
「あれ、前みたいにスキップしてねえぞ?」
「するか!!」
「「す、すいません!!」」
「だアホ。公式戦でもヘラヘラしてるワケねーだろ。……にしても機嫌悪ーな。強いのか相手?」
「ちょっと厄介な選手がいるのよ。取り敢えずビデオは後で見せるとして、まず写メ見て」
最初は可愛いネコの写真だったけれど、どうやら次の写真だったみたいだ。
「相手の情報は雫ちゃんに調べてもらったわ」
『名前は、パパ・ンバイ・シキ。身長200cm、体重87kg。セネガル人の留学生です』
「セネガ…でかぁ!!」
「アリなの!?」
『留学生は、ルール上ベンチに二人まで入れられます』
「まぁそれは置いといて。……デカいだけじゃん」
「このパパ・ンバイ…何だっけ?」
「パパンバ?」
「パパガンバルンバだろ?」
『すみません、全部違います』
「!!パパ…パパイヤ伊藤…」
名前がややこし過ぎて、話が進まない。
それを考慮してか、リコさんがテツヤくんにあだ名をつけてほしいと頼んだ。すると彼は右手を顎に添えて、考える素振りを見せた。
「ん、じゃあお父さんで」
「何そのセンス;;」
「!!お父さん?お父さんの会社が…お、倒産…」カキカキ
「で、そのお父さんなんだけど……きけ!!!」
みんながわいわいするなか、リコさんが怒った。そして私に説明よろしく!と頼んだ。
『はい。お父さんの特徴は、背だけじゃありません。手足も長く……とにかく、"高い"の一言に尽きます』
「たった一人の外国人選手の加入で、完全に別物のチームになってるわ。届かない…ただそれだけで、誰も彼を止められないのよ」
話し終え、静まり返る部員達。
リコさんはそれを見て溜め息を吐く。
「…あのね、だからって何もしないわけないでしょ!!」
『という訳なので、テツヤくんと火神くんの二人は、明日から別メニューです。みっちりシゴきますから、覚悟のほどをお願いしますね』
(((ウチの女子は強いなぁ)))
「ふふっ。予選本番は、5月16日!!それまで弱音なんて吐いてるヒマないわよ!!」
「「「おう!!」」」
正直、このお父さんに歯がたたないのであれば、むっくんと当たったら何もできないで終わる…。
火神くんのジャンプ力がどこまで伸びるか…といったところかな。