『第2章』海常高校と練習試合





私たち誠凛が帰るということで海常の皆さんがお見送りしていただいているのだけど、海常の監督さんとリコさんの表情の差がすごい…
リコ先輩の満面の笑み、ドヤッとしている。

「地区違うから次やるとしたら・・・IH本番スね」

「絶対行きます!全裸で告るのやだし」

笠松さんと日向先輩は握手して、IHで会うことを約束していた。


「…黄瀬くんが心配ですか?」


『さすがにあまり見たことない表情だったし…少し様子見てくるね?連絡するからいる場所教えてほしいな』


おそらくテツヤくんの頭の怪我を見に行くだろう。私はリコさんにも許可を取り、黄瀬くんを探した。


黄瀬くんを見つけたと同時に、緑の髪がみえた。あれはーーーーーーーーー。


『なんで緑間くんがここに?』

「…藍澤か、黄瀬に勝ったそうだな」

「緑間っちも、相変わらずなようで…」


おそらく今日のラッキーアイテムはそのカエルちゃんなのだろうか。


「おーーーい!!!緑間てめぇ!」

突然大きな声が響いた。
そちらを見れば、チャリアカーを漕ぐ和成がいた。
「テメー、渋滞で捕まったら一人で先行きやがって…何か、超恥ずかしかっただろーがぁ!!…………ん、あれ?」

『…なに漕いでるの、和成』

「あれ!?しーちゃんまだいたの!誠凛さん帰ってたよー?」

「ふん、これはチャリアカーなのだよ」

『2人が秀徳いってるのは知ってたけど、ここまで仲良くなっているとはね』

「仲良くなどないのだよ」

「ま、待ってくださいっス!俺だけ話ついていけてない…」


緑間くんはどうやら和成から私のことを聞いていたみたいで、黄瀬くんに幼なじみということを話した。


「あー…じゃあ文化祭回ってたのも…この高尾くん?」

『あ、そうだよ!…黄瀬くんが心配で様子見に来たんだけど、大丈夫そうだから、テツヤくんの病院向かうね!』

「あとで俺も、も一回黒子っちと話に行くっス!」

「…残念だが、IH勝ち上がるのは俺たちなのだよ。秀徳が負けるなど、ありえないのだからな」

『…いくら緑間くんと和成でも、負けるつもりで挑まないから』


「しーちゃんチャリアカー乗ってく?」

私は遠慮しといた。
歩いたほうがなんとなく早そうだと思ったからだ。


「雫っち!ちょっと待って、俺も行くから…」



そして秀徳組とはその場で解散した。




どうやら病院で検査したところ問題なく、なぜかステーキ屋さんにいるとのことだ。




「結局あんな啖呵切っといて負けちゃって、雫っちに名前で呼んでもらうのはまた今度っスかねぇ」


…そういえばそんな約束していたな。
私的には、勝って負けを知らない黄瀬くんより、負けて涙を流した黄瀬くんの方がよっぽど価値があるとおもう。だから…


「今日はリベンジって言葉を覚えた涼太くんの第一歩だよ、次やるの楽しみにしてるね?」


黄瀬…涼太くんは顔を真っ赤にして、“反則っス…”と顔を手で覆っていた。








ステーキ屋さんに着いたと同時に、テツヤくんが出てきた。


「ちょっと、話さないっスか?」



そして私たちは近くのストバスのある公園できた。2人は頭の怪我についてや、緑間くんにあった話などしている。


「なんで全中のあと、いなくなっちゃったんっスか」

「僕はあの頃バスケが嫌いだった」

「…え?」

「…黙っていてすみません。ボールの感触、バッシュのスキール音、ネットをくぐる音。ただでさえ好きで始めたバスケなのに」

だから火神君のことを心から尊敬しているという。確かに火神君のバスケにかける情熱は凄いと思う。

「…やっぱ分かんねッスわ。けど1つ言えるのは…黒子っちが火神を買う理由がバスケへの姿勢だとしたら、黒子っちと火神はいつか、決別するッスよ」

確かに火神くんはオンリーワンの才能を秘めている。キセキの世代の皆と同じような、唯一無二のスタイルを。今はただ我武者羅に戦うことを楽しんでいるだけだけど、その才能が開花されたとき、彼らのようになってしまうんじゃないかという不安。そしてチームから浮く日がいつか来るのではないかという不安もあった。



そう、まるであの時の青峰のようにーーーーー。



2人が話しているのを聞いていたけど、私はストバスの不穏な空気を察知した。
耳がいい分不良の人たちが絡んでいるのもわかった。なんで人たちだ…。


私は話している2人を置いて、ストバスコートに入っていった。




『先にコートを使っていたのは彼らですよ、横取りはしてはいけません』


「あぁ!?うっせーなひっこんで…」

「あれ?めちゃくちゃ可愛くね?」

「いいよ!コートは諦めるから違うことして遊ぼうか?!」


『肩に手を置かないでください…っ』


「その人を離してください」


私が肩を組まれたときに、テツヤくんがバスケットボールを回転させながら、相手の顔に近づけた。


「いてっ!てめぇ」

「どうみても卑怯です」

「こんのガキャ!」

「楽しそうっスねー?オレらも混ぜてもらっていいっスか」
(雫っちに触ったやつ1番負かす)

「つーか、何かましてんだお前!雫も無鉄帽にいくんじゃねえ!」


あれ、いつの間に火神が…?


そして3人と相手全員でもボロボロに負かして、こんなミラクルチーム2度とみれないなだとも思った。


…楽しそうだね、バスケ



「じゃっ、俺はそろそろ行くッスわ。最後に黒子っちと一緒にプレイも出来たしね!雫っちー!また連絡するから!あと火神っちにもリベンジ忘れてねッスよ!予選で負けんなよ!」

「火神っち!?」

「黄瀬君は認めた人には〜っちを付けます」

「やだけど!?」

涼太くんは嵐のように帰っていった。
そしてすぐにリコさんたちが来て、テツヤくんは海老反りの刑になっていた。


どうやら火神くんは涼太くんとの会話をきいていたみたいだ。

「いつも光と共にある。それがお前のバスケだろ」

その言葉を聞いた瞬間、なんとなく火神君なら大丈夫だと思ってしまった。
それほどまでにその言葉には力があった。信じれる光。影はまた、光に出会えたんだと。




9/9ページ