『第2章』海常高校と練習試合




「おい。大丈夫かよ?」
 
「大丈夫です。まだまだ試合はこれからで...しょう...」
 
口ではそういうがテツヤくんは貧血で倒れてしまう。

『とりあえず、横になって安静にしていないと…頭から出ているし、少し怖いから』



 
「黒子っちが....」
 
黄瀬くんは申し訳ない顔をしながらテツヤくんを見ていた。
 
「終わったな...不本意だが、あの一年コンビがなくなったらもう勝ち目はない。」
 
 



 
「黒子君はもう出せないわ.....日向君早いけど勝負所よ...次からはOFは二年生中心で、火神君は黄瀬君を止めることに集中して...」
 
 
「それで大丈夫なんですか?」
 
「大丈夫だって...心配すんな。」
 
「でも...!!」
 
「大丈夫だって言ってんだろ?たまには先輩のいうこと聞けや殺すぞ。」
 
日向先輩はすでにクラッチタイムに入っていた為すごく口が悪くなっている…。
クラッチタイムになると、本当に3Pを外さない。心強い攻撃力だ。

二年生が軸となり確実に点数を取っていく。火神くんも完璧ではないものの黄瀬くんを止めれるようになってきていた。しかし、あと一歩足りない。

 
「僕がでます」
 
「けが人がなにいってるの!無理は禁物!」
 
「僕が出て戦況を変えられるのならお願いします。それに、火神君の影になると約束しました」
 
その言葉を聞いて、リコさんも承諾せざるを得なくなった。

『テツヤくん、無理はしないでね....』
 
「はい、いってきます」
 
第2Q、第3Qが丸々引っ込んでいたぶん影の薄さが戻っている。テツヤくんが入ることで誠凛にも流れが来ていた。そして.....
 
スパッ!!
 
「日向のスリー!!」
 
日向先輩のスリーが決まり、ついに同点となった。
 
「同点....」
 
同点になった瞬間、黄瀬くんの雰囲気が変わったのがわかった。負けることへの焦りだろうか?
ボールを貰うと一気に駆け上がりダンクを決めた。
 
「俺は負けないっスよ。だれにも。黒子っちにも!」
 
「こっからが本番ってことかよ!」
 
試合は前半同様点の取り合いになる。海常が決めれば誠凛も決める。それが繰り返しされ残り15秒で98対98になった。
 
火神くんが笠松さんのシュートをブロックすると日向先輩が拾い、火神くんは前線へと走っていく。
 
「速攻!!」
 
火神くんはロングパスをもらうと、ゴールまでドリブルする。しかし、黄瀬くんがディフェンスに入ってきたことにより、横にいたテツヤくんにパスを出した。
 
「黒子っちにシュートはない....あるとしたら火神へのリターンのみ!」
 
でも黄瀬くんのその予想は覆される、テツヤくんはゴールに向かってボールをほおった。
 
「シュートじゃない!アリウープだ!」
 
「させねースよ!」
 
2人が同時にジャンプしてするが、先に黄瀬くんが落ちている。
火神くんはこの試合中でも、ジャンプ力が上がっている…すごい…

 
(なんなんだ!お前の宙にいる長さは!)

 
「てめぇのお返しはもういんねぇよ!これで終わりだからな!」
 
試合終了のホイッスルと同時にに火神くんがダンクを決め、100対98で誠凛が勝利した。
 
「うぉっしゃー!やったぜ!」
 
誠凛は勝利をみんなで分かち合っている。


黄瀬くんは一人呆然としていた。


「負け…たんスか」(生まれて…初めて…負…)

「あれ?あれ?」

黄瀬くんはポロポロと涙が溢れていた。

「なにぼさっとしてやがる!だいたい今まで負けたことがないっていう方がなめてんだよ!!」

「いでっ」

「そのスッカスカの辞書にちゃんと“リベンジ”って単語、追加しとけ!!」




黄瀬くん、いい先輩と出会ったねーーーーーー。



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