『第2章』海常高校と練習試合
誠凛からのリスタートで伊月先輩にボールが渡り、ハーフコートまでゆっくりとドリブルをして上がっていった。
海常はマンツーマンで守っていて、伊月先輩には笠松さん、水戸部先輩には小堀さん、日向先輩には森山さん、火神くんには黄瀬くん、テツヤくんには早川さんがついている。
ちなみに名前はスコアを書くために教えてもらった。
試合展開は誠凛が決めれば海常がやり返すという点の取り合いだった。お互いDFはやっているが両方の矛が強すぎている。そのせいで点数に差はほとんどなかった。
(クソッ!黄瀬だけじゃねぇ...他の四人もやべぇ圧力...いっぱいもいーとこだぞ。火神と黒子いなきゃ一気にもってかれる)
そう、海常高校は全校でも屈指の強豪校。
そこのレギュラーなんて、みんな強くて当たり前なのだ。
1人1人のスペックが高すぎる。
日向先輩からパスをもらった火神くんは全速力からのフェイダウェイシュートを打ったけど…
「なに...!?」
火神くんが放ったシュートは黄瀬くんの指がボールに触れて軌道がずれてボールはリングにあたり弾かれた。
「ナイスリバン!」
海常ボールになってしまい、黄瀬くんがボールをもつと、そのままドリブルで攻める。
伊月先輩と日向先輩はあっさりと抜かれてしまったが黄瀬くんが抜いている間に火神くんは先回りしてた。
「君に俺は止められない」
黄瀬くんはフルドライブをして火神を抜こうとするが火神くんはついてきていたけど、その時にはすでに彼は急停止し後ろに飛んだ。
「これは...さっきの!」(しかもキレがどんどん増してきてやがる)
黄瀬はそのままシュートを放ち、ゴールを決めていく。
「ちくしょっ!」
「どんまい!切り替えろよ」
「うすっ!」
火神くんは決められた事にたいしてすごく悔しがっていたけど、それを伊月先輩がフォローしている。いいチームだ。
その後も火神くんがシュートが黄瀬くんが止めて、逆に黄瀬くんのシュートを火神くんが止められない状態が続いた。
そのせいでだんだんと点差が開いてきてしまう。
「どうすれば...いいんだ」
(俺がムキになって挑めば挑むほど黄瀬はそれ以上の力でやり返してくる。どうすれば....)
“私はチームプレーでキセキの世代を倒したい”
(そうだ。なにも俺一人でやっているわけじゃない。一人で勝てないなら別の方法で勝てばいい。黄瀬に勝っても試合に勝たなきゃなんの意味もない)
PG同士の戦い、伊月先輩と笠松さんだけれど、笠松さんは全国屈指のPGだ。ディフェンスに隙はほとんどない。
チームプレーを意識した火神くんが、笠松はんの後ろに立ちスクリーンをし、そのおかげで伊月先輩は笠松さんを抜くことができた。
そしてテツヤくんとのパス連携で、日向先輩の3Pシュートが決まった。
「君、もう俺に勝つことに諦めたんスか?逃げるなんてダサいっスね」
「ちげーよ。今の俺1人じゃお前には勝てない。だけど、俺は勝つことを諦めたわけじゃねぇ!!この試合中ぜってぇお前に勝ってやる!」
「やれるもんならやってみな」
火神くんはチームプレーを優先し、チームで勝つことを優先したんだ。
黄瀬くんには逃げに捉われてしまったかもだけれど、わたしは正しい選択だと思った。
『リコさん、タイムアウト…とったほうがいいかもです。このハイペースじゃこのあとジリ貧になります。それに…伝えないといけないこともあるので…』
「そうね、体力の消耗も激しいし、一度取りましょう」
こうして誠凛はタイムアウトをとった。