『第19章』ファイナル





「第1クォーターの終わり、結構カチンときたのよね。ぶっ潰してあげる!」


「(このキャラ…複雑だぜ…)」


実渕さんのセリフに戸惑う日向先輩


「ダメよそれじゃ…」


その言葉を皮切りに実渕さんは華麗なフェイダウェイシュートを打った。


「(フェイダウェイで3Pだと!?)」


後を追うように日向先輩もは飛けれど、そのままシュートを入れられてしまう。



「(くっそ…とんでもなく効率のいいフォームだ。改めて惚れ惚れする、中学時代同世代で一番、いいと思った実渕のフォーム。なめらかでキレがあって、まじでかっこいいと思う。
 ってんなこと考えてる場合じゃねぇだろう!俺!)」




「(でも今はお手本のプレイヤーじゃねぇ。
 倒さなきゃなんねぇ敵だ!)」



実渕さんを前にバリアージャンパーをする日向先輩


「(一段と速い!)」


実渕さんも止められず、日向先輩のシュートは無事決まった。


「あいつのフォーム、お前に似てんな」


「やっぱり、そう思う?
 (けどまぁ…似てるだけね。とっくに昇華してカスタムしてる。別物だわ)」


ふわりと笑う実渕さん


「悪くないわね」



ここからシュート合戦を始まった。
その均衡は突然…いや、徐々に崩れていった。



「相手に何もさせずに決めるシュート”虚空”」


『3種のシュートを持つ”夜叉”実渕玲央』




「(動けなくなるシュートなんて、一体どうやって…?動けなかっただけじゃない、見とれちまった…。…違う、何考えてんだ!考えるのはどうすればいいかだ!勝つために…。
 ……勝てるのか?)」



日向先輩の焦りがこちらにもひしひしと伝わる。



そして、日向先輩の”バリアージャンバー”が見切られてしまっていた。



「(ダメだ…!)」
「(バリア―ジャンパーのタイミング、もう完全にアジャストされてる)」


 

日向先輩はシュートの選択ではなく、パスを回した。


火神くんがシュートを決め、誠凛の点が入るが…



「日向、今のはなかにいれて正解だったよ」


『(でも、シューター対決としては…)』


「(思ったより、早かったわね)
 ……征ちゃん、私の方は後一球でいいわ」



「あぁ、そのようだね」


「格付けすんじゃったわ。この勝負、私の勝ちね」




再び、二人は対峙し、


”虚空”を出すかと思い日向先輩は飛ぶが、実渕さんは日向先輩にわざと当たりにいきながらのシュートを決めた。


「ファールもらいながら決めた…」


「しかも、3P!4点プレー」


「あっかんなー下がってもうたわ。まぁ、間違ってはない。パスをだし、得点につなげた。チームとしては正しい。ただ一つはっきりしたのはシューターとして、実渕の方が格上いうことや」


日向先輩の悔しがな顔がこちらからも見てわかった。



「俺にもボールをくれ」

と木吉先輩が伊月先輩に言った。


「ちょっと俺も攻めたい気分なんだ…」




「どうした?急に、やる気出してきたじゃねぇか」


「勝負だ!根武谷」


「(こいつ、なんて重さだ!びくともしない…)」


「俺も筋肉温まってきたところだ! あの時のリベンジさせてもらうぜ!」


木吉先輩はそのままシュートを決めようとするが、根武谷さんに防がれてしまう



「てめぇ、さっきのリアクション!昔、俺と戦ったこと忘れたんじゃねぇだろうな!」



「?…対戦したことは覚えてるよ」


不思議そうにする木吉先輩。



「その後、お前が言ったことだよ!ふざけやがって…。中1の終わり、マッチアップで出てきたお前とやって初めて俺は負けた。悔しかったぜ…そして、試合後おまえはこう言った」



”バスケはパワーだけじゃダメだぜ。スキルを磨けば、もっと強くなると思うよ”



「そんとき俺は思ったんだ。だったら、もっと筋肉つけてやるってな!」



『え…スキル磨かないの?筋力つけるの?』



「「(そっちにいくのか…)」」」




「筋肉さえありゃ、すべてうまくいく!
 剛力、根武谷栄吉」



その後、両者対決をするが、木吉先輩はパワーに押し負けてしまう。
意地でもシュートを決めようとするが、木吉先輩の前には根武谷さんがしっかりマークし、岩のようにホールドする。



その瞬間、シュート体勢から木吉先輩はパスをした。


「なっ!ここで後出しの権利かよ!」



『(これはまさにさっきと同じだ。)』



「いーや、あかんやろ。パスの出すのと出させられるのは意味が違う。今のは確実に後者や」


「けど、今のやっぱり…」



「間違ってへん。それでも着々と差は開く。つまり、これが力の差や」


『これで15点差…』



火神くんは葉山さんと対峙し、高速ドリブルをとめようとするが、止めらず抜かれてしまう。


観客が“雷獣 葉山小太郎”と捲し立てるが…




その観客の反応に不満そうにする葉山さん。


「ちょ、もしかして俺、こんだけ!?」
「なにが」


「いや、レオ姉たちみたく、ばぁぁんとなんか見つかった珍獣とかみてぇじゃん!」



そして無冠の五将に気をとられると、今度は黛さんのパスが放たれる。



「(他に気をとられて、イーグルアイの死角に入られた!)」



「姿を消すのが”俺の仕事”。
 忘れられては困るな」



両者がポジション、いや役割として負けてしまった。



「火神と黒子というルーキーは強力やけど、それだけで勝ち上がった訳やない、すべては2年生たちがいたからこそ。特に日向と木吉はアウトサイドとインサイドの要。この二人が折れるっちゅうことはチームの両足が折れるようなもんや」



『きっと、征十郎の戦略的にそういう方向性だったってことかな。方針としてきっと』



征十郎のマークにつく、伊月先輩も



「(抜ける気がしない…!俺じゃ一矢報いることすらできない。
 ここまで差があるのかよ!)」




伊月先輩からのパスに反応できず、ボールを外に出してしまう福田くん。



「(降旗と同じだ…。福田はもう…)」


『福田くんの体力も、底をついてしまった…』



誠凛は福田君から河原君へと変えるが…



「また1年!? なんか策でもあんのか」
「一人へばったから変えただけやろ。
 ここまでの策を延長しとるだけやな」



「何で何も手をうたないんスか!誠凛は!こんな時こそ、なんか…!」


「わしに怒鳴るなや、手を打んとちゃう。打てんのや」



「(なんて無力なの…私は)」
リコさんの目に涙が浮かぶ。


あぁ、ここまでなのかな。
むしろ、対戦できるだけ頑張ってきたほうだよね。


みんなのこと、信じたいけど。
みんなが、自分のことを信じられていないから。





「まぁ、そういうこともあるだろうよ。洛山相手だろうが、まったく点数をとれないわけじゃねぇ。けど、それだけだ。小兵が土俵際で多少頑張った所でそれ以上の力で押し出されて、終わりだ」




一瞬のミスで征十郎がマークから飛び出す。



「(へぇ、珍しいな。テンションあがってんのか?
 いや…誇示か)」



黛さんの放ったボールは征十郎の手元へとわたり、そして、そのままシュートを決めた。



「なっ!?アリウープ!」


「なんて、バネだ届くのか?」



観客は驚く。



『必要ないだろうに、あえてのパフォーマンス…これも全て計算だろうな』



「お前ら大型選手の専売特許だと思ったか、こんなものやろうと思えば、いつでもできる」






「手遅れでしょう、もう。影の薄さ自体が失った黒ちんが復活するっていう話がまず無理だし、仮に戻ってこられても開きすぎてる、スコアも力も。奇跡は起きないし、起きても勝てない」



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