『第18章』セミファイナル







「負けるか! 死んでもこれ以上、離されんな!」



「勝つ!何が何でも突き放すぞ!」




そんな様子に辛そうに見つめる黄瀬。


「耐えろ。耐えるんだ」


海常の監督がつぶやく。



そしてついに、誠凛との差は15点差にまでなってしまう。それを見て、黄瀬は立ち上がった。


「黄瀬、待て! まだ早い!」


監督が止めるが、黄瀬は聞かない。


「嫌ッス!俺は出る!」


「まだ4分ある。今のお前無しで2分以上無茶したら、後々へまで影響がでる可能性が…」


「監督…エースはチームを勝たせるのが仕事ッスよね?……今行かなきゃ!エースじゃない」


黄瀬はそう反論する。


「もし行かなかったら、絶対後悔する!だって俺…

この海常(チーム)好きなんスもん」


海常への黄瀬の気持ち。



その言葉に監督も観念したのか、黄瀬を戻すことに同意した。


「分かった。ただし、少しでも危ないとわしが判断したら、すぐ交代させるぞ」


「了解っス」


黄瀬が交代を申し込むと、それと同時に黒子も交代を申し込む。


そんな黒子の様子を見て、小金井が交代への疑問を監督にぶつける。


「監督、黒子を出すのまだ早くない?」


「ファントムシュートも破られたままだしな」


「海常にミスディレクション、もうかなり弱まっているんでしょ」


すると、監督はその言葉に同意した。


「私もそう思ったんだけど…雫ちゃんと黒子くんがね…」


『涼太くんの追い詰められた姿、そしてエースとしての覚悟……テツヤくんにお願いしましょう』


「黄瀬君に勝つために。追い詰められた彼らほど怖いものはありません」


そう言ったのだ。


「(キセキの世代の怖さを黒子君と雫ちゃんが一番わかっている。だから頼んだわよ、黒子君)」


リコ監督はそう思い、黒子を送り出す。


「(わしも腹をくくったぞ。最後まで、やれ。海常のエースはおまえだ、黄瀬)」


海常の監督は黄瀬を送り出す。


「(ラスト4分)」


「「行って来い!!」」


(テツヤくん、涼太くん…)


入ってきた黄瀬に火神は声をかける。


「よう。まって…!?」


その表情は真剣そのもの、というより鬼気迫る表情。その表情に言葉につまる火神。


「火神くん」


黒子が声をかける。


「あぁ、どうやら一瞬でも気はぬけなそうだ」


「はい、僕もそう思います。試合終了のブザーが鳴るまで、勝負は何が起こるのかわかりません」


試合が再開され、黄瀬VS火神が対決する


「(そう…エースは俺だ。そして…チームを勝たせるのがエースだ! もう二度と負けたくない。負けさせたくない!俺が…海常を勝たせる!)」


そう強く決意する黄瀬。


その様子に火神は感づく。


「(まさか…!?)」


「(誠凛に…勝つんだ!)」


その瞬間、火神は転ばされた。


「(赤司のエンペラーアイで切り替えし、青峰の超高速ドライブ!…これは!パーフェクトコピー!)」


木吉がそれをとめようとするが、黄瀬はそのままシュートを決めた。


「(相変わらず、とんでもねぇ奴だ。が!お前ならなんとなくそんな気もしてたぜ!)」


火神は思う。


「(だから、こんぐらいでひるむかよ!)」


黒子はいきなり、イグナイトパスを繰り出した。パスは火神へと渡り、そのままシュートを決めようとする。が、しかし、それを黄瀬が止めた。


「(青峰のアリジティプラス紫原のブロック!黒子から火神のカウンターを止めるなんて…)」


はじかれたボールは笠松へと渡り、誠凛は慌てて戻りだす。笠松は黄瀬へとパスを渡した。


そして、そのやろうとしている行動を見て、皆が驚く。


「(ちょ、うそでしょ…)」


『テツヤくんのパスをコピーした!?』


そのパスをもらった小堀さんがシュートを決める。


「勝つ!ここから残り、俺のすべてをかけて!」


「(どたんばのキセキの世代の追い込み!なんつうプレッシャーだよ)」


火神は思う。


「まさか…黒子のパスまでコピーするなんて」


「(どこまで進化すんだよ。この化け物は)」


「けど、残り4分の試合でいきなり仕掛けてきた」


「ここですべてを出し切るつもりか…?」


疑問に思う小金井と土田。


「いえ、可能性はもうひとつあるわ。最後までもたせるつもりか、よ。パーフェクトコピーの代償である激しい体力の消耗。それがなぜか前半より少なくなっている。このペースなら持つかもしれない。そうなったら、逆転は十分に可能だわ。逃げ切るなんて、考えが甘かった」


『…きっと、彼は最後までもたせますよ…。それが彼の意地です。そして…止めなければこの勝負、勝てません』



タイムアウトにて、テツヤくんも同じ考えだったが、彼は言った。


「あるかもしれません。黄瀬くんを止める方法」


「………なるほど。タイミングさえ合えば」


「黄瀬を止められるかもしれない…」


伊月と木吉がそう言うと、日向が立ち上がって


「よし!ここからミスは絶対、できねぇぞ!全員集中しろ!」


「作戦が成功しても、海常は黄瀬だけじゃない。試合終了のブザーがなるまで、決して気を抜くな!パスや連携は今まで以上に慎重に、イージーシュートは外したらダメだ。なんとしても今のリードを守りきるぞ! 行くぞ誠凛!」






ーーーーーーーーーーーーーーそして最終局面へ。






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