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『第18章』セミファイナル





ここで第2クォータ―終了。10分間のインターバルへ。


同点に追いついた誠凛


「あそこでナイスパスとか、何なんだよおまえは!」


日向先輩が火神くんの背中をたたく。


「なんで!?」


火神を止められず、悔しがる海常。


「インターバルだ。戻んぞ!」








誠凛控え室―


「みんな、ちょっと聞いて!」


リコ監督が皆を呼ぶ。


「言うことは…なし! ないわ」


その言葉にえ?ってなる誠凛。


「カントクが聞いてって、言ったんじゃん」


コガ先輩が文句を言う。


「つまり、順調ってこと。後半もこのままいくわよ。黄瀬君は足を痛めてるとはいえ、終盤必ず出てくるはず。そのままにリードを奪えるだけ奪う。攻めあるのみ!!」


(涼太くん…)


「火神君」


「おう。青峰のやろーにもらったバッシュも驚くほど、しっくりきてる。後半も全開で行くぜ」


「はい」


「それよか、お前の方こそ、平気なのかよ?ファントムシュート止められて、なんか手はあんのか?」


「…わかりません」


「おいっ!」


「おまえ、そういうの多くね!?」


「けど、落ち込んでばかりいられません。なんとかする…しかないですね」


『火神くん絶好調だね』


「まぁな!…黄瀬に同情はする。けど、それと勝負は別だ!本気でやるしかねぇだろ!」


きっと涼太くんは後半、おそらく残り2分のパーフェクトコピーの分で出てくるはずだ。


でも、彼がそこまで我慢できるとは思えない…。きっと今も控え室で、出してほしいと懇願しているはずだ。




そして第3Qも誠凛のペースで進んでいた。


そんな中―笠松さんは言った。


「このままいくぜ!」


「笠松…」


「けど、火神が…!!!」


「悔しいが、今のやつはダブルチームでも…」


笠松さんは黄瀬を見て、


「黄瀬の足を知った時から、この状況は想定してた。ただし、想定外だったのがあいつの驚異的な成長速度だ。今の誠凛に、もれな対抗できる都合のいい策はねぇ。だが、点はとれる!やるだけやって点をとられたらしょうがねぇ!ただし!必ず取り返す!死んでも食らいつくぞ!」


「「「おう!」」」


笠松は伊月と対峙して、伊月をドライブで抜こうとする。


「(速ぇ、あれがトップギアのフルドライブ!)」


その速さに驚く日向先輩。


「(まだだ! イーグルスピア!)」


伊月がイーグルスピアでボールを取った。ボールは笠松から離れる。そして水戸部がボールを受け取ろうとする。


「先輩!」


「笠松!」



その瞬間、笠松はボールに触れた!そのボールは小堀へと渡される。そのまま、シュートを決めるが、木吉の手が触れた。


シュートは決まらず、リバウンドに託され、早川がそれをゴールへと入れた!


「皆…」


「まだまだぁ!海常、ナメんじゃねぇ!」


思わず雫はベンチで呟いた。


『…いいチームですね、本当に。涼太くんも幸せ者だね』




ボールは早川から小堀へとパスされ、そのままシュートへと入る。それを止めようとする木吉。その際、木吉はファールをもらい、小堀が放ったボールはゴールへと入った。海常へワンスローのシュート権利が入る。


悔しがる木吉に小堀が声をかけた。


「木吉鉄平。君は俺よりずっとすぐれたプレーヤーだ。おれは負けない。なぜなら、俺たちの方がずっと強く勝ちたいと思っているからだ。想いの強さが違う。俺たちにとってこの試合はリベンジマッチ。お前たちは一度勝っている。それを受ける側だ。ましてや、キミは以前の試合にいなかった。ただ、勝ちたいだけのやつに負けるものか!」


そう言い放ち、小堀はその場を離れた。木吉は何も言わない。そんな木吉の様子に日向がキレた。


「なんか言い返せよ!ドアホ!」


そう言って、木吉の背中をたたく。


「言いたい放題言われた挙句、黙り込んでじゃねぇ!」


「いやぁ…あんまりにもっともだと思ったんで
ついな…。強いわけだと思ってさ」


でも誠凛も、公式戦では海常に勝っていない。
世間一般からみたら、初めてやるようなものなのだ。それを日向は昨日みんなに伝えていた。


木吉もこのチームで戦うのは最後と強い気持ちで試合に臨んでいる。


「なんだかんだで出来たばかりの誠凛を決勝リーグまで連れてった2本柱だ。頼りにしていいぜ」


2人の喧嘩している様子をみて心配している火神に伊月がそういった。



「ナイスパスだけど」


と、木吉


「スクリーンはよかったけど」


と、日向。


喧嘩しながらも2人の息のあったプレーで、第3Q終了も10点差をつけることができた。


インターバルの最中、一際オーラのある選手たち…洛山のメンバーが会場に入ってきたのがわかった。


(…征十郎…)


洛山のメンバーも、この試合の分析をしていたと同時に、こちらでもその話をしていた。


『両チームの戦力差をふまえ、そして涼太くんの新技の使用限度が残り2分だとすれば…』


場面はリコ監督へ


「15点差つけば、うちの勝ちよ」


「もちろん、絶対という話ではないわ。けれど、15点差あれば、無敵のパーフェクトコピーも2分間の逆転はまず不可能!最後まで逃げ切れる可能性が一気に高くなる。あと、5点でチェックメイトよ!」


『…ただ、涼太くんが無理する可能性も0ではないので…』



そして第4Qが始まった。




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