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『第18章』セミファイナル





そして、次の試合の練習が始まる。


海常VS誠凛


淡々と試合前練習を続ける両者。
観客たちは海常は一度練習試合で誠凛に負けていることを話している。


そう、この試合は因縁の対決なのだ。


海常高校―
「おい、黄瀬。なんか軽く挨拶しとけ」

笠松さんがそう、涼太くんに言う。

すると、涼太くんは火神くんと同等のジャンプ力でレーンアップを決める。


誠凛はその行動に驚く。


「軽くっつたろ」


笠松さんは少し呆れながらそういうつぶやく。


「宣戦布告って奴ッス!」


そう涼太くんは宣言をした。

「宣戦布告って…」

「今のジャンプ力、まさか…」

「あぁ…火神と同じくらい飛んでた」

土田先輩とコガ先輩と伊月先輩がそう話す。



その涼太くんの行動にキレた日向先輩が、


「何ぼさっとしてんだ、ドアホ!お返し。本家を見せつけろ」


とお返しをするようボールを火神くんに渡した。

「ウッス!」

火神君はボールをテツヤ君にパスを渡し、レーンアップアリウープを決めた。


「キャプテン。ずっと抑えてたんですけど・・・ダメです…。わくわくして、開始が待ちきれません」

「ダアホ!俺らもだ。そんでそれは…今ここにいる全員がだ!」


そして、ついに試合が開始される時が近づいてきた。


木吉先輩は、やけに静かな伊月先輩に声をかける。


「どうした伊月? 少し表情硬いぞ」


そういうと、伊月先輩は少し驚いたものの「大丈夫」だと告げる。


「だとしたら、少し緊張しているだけだよ。むしろ、黒子が言ったようにわくわくしてる。今までの試合は相手をどこか、敵と思うところがあったけど、今感じているのは裏表のない気持ちのいい闘志だけだ。とうしてかな…」


伊月先輩、さりげなくギャグを言わないで。


「伊月…。最後のはマジ、いらなかったな」

「おーい!コガ。スタメンチェンジ!」

「えぇ!?」

「けどまぁ…言いたいことは分かる。楽しんでこーぜ」


先輩たちのいつものやりとりを見てると安心する。


「火神っち。あの日、生まれて初めて試合に負けた悔しさ、今日まで一日も忘れたことねぇッスよ」


涼太くんは初めて負けた、火神くんとの試合を思い浮かべているのだろう。


「けど…おかげでひとつ気づいたんス。俺、やっぱバスケ好きっすわ。それこそ、俺のすべてをかけられるくらいに。だから、もう絶対負けねぇ」


「黄瀬、気づくの遅くね?」


「えぇ!?」


「それより、なんか丸くなっちまってんじゃねぇの。細けぇことはもういいだろ。こっちはうずうずして、しょうがねぇんだ。とっととやろうぜ!」


…火神くんらしいな。まぁ、皆うずうずしてるけどさ。


そして、涼太くんはテツヤくんに目を向ける。


「黒子っちも同意見って感じッスか?」


テツヤくんは「はい」と肯定する。


「後、僕が思っていることは、僕は黄瀬君のことが嫌いでした」


その言葉にショックを受ける黄瀬君。


「え、えー!?そこまで言われるとさすがに…」

「けど、それはいい意味で、です」


テツヤくんもおそらく帝光時代を思い出しているのだろうか。


「黄瀬君がバスケ部に入って、すぐに僕は教育係につきました。その分、黄瀬君のことが少し特別に感じていた。けど…黄瀬君はあっという間に僕を抜いてしまった。才能が違うことは分かっています。それでも……僕は悔しかったし、負けたくないと思いました。つまり、僕は一方的ですが…あの時からずっと……黄瀬君のことを”ライバル”だと思ってました」

その言葉に「参ったな…」とそう涼太君はつぶやく


「いい意味どころか…最高に燃えるんですけど、そーいうの!」


そして、試合の笛が鳴る!最初のボールは誠凛へ!



今回は涼太くんがパーフェクトコピーに入るまでに、挽回不可能まで点差をつけなければならない。


「つまり、先手必勝!最初から攻めまくれ!」


伊月先輩からテツヤくんへとパスが渡り、彼の無敵のドライブが炸裂する。そこからテツヤ君は「ファントムシュート」を放ち、誠凛に得点。


だが、誠凛が自分のコートへと守りに行こうとした瞬間、シュートが放たれた。


「まさか…開始からいきなり」


パーフェクトコピ……!?


「試合前に火神っちが言ってたことで一つだけ心外なことがあったんスわ


……誰がいつ丸くなったって?」


今度はテツヤくんの超強力パスから木吉先輩へとボールが渡る。シュート体勢に入ろうするとき、小堀さんが止めに来た。だが、木吉先輩は日向先輩へとパスを渡す。
ゴールを決めると思いきや、涼太君が止めた。


「(体感するとマジ実感する)」


「(今のブロックはまさに紫原のそれだ!)」


涼太くんはむっくんのブロックを使って、シュートを止めたのだ。一時的に笠松さんがボールを持つが、再び涼太くんに渡した。


そのまま緑間くんのシュートでシュートを打とうとするが、木吉先輩が止めにかかる。
それが分かった瞬間、シュート体勢からドリブルへと移った。


「フェイク!?(しかもこれは…青峰と同じ、チェンジオブペース!)」


「(緑間のシュート力に青峰のアジリティ!?一つ一つでも強力すぎるくらいなのに複合されたら…こんなのどうすれば…!?)」


そんな無敵の彼に立ちはだかるのは、火神くんだ。


「上等だ! 黄瀬!」


「無駄っスよ! 今の俺は…誰にも止められない!」


征十郎の”アンクルブレイク”で火神くんを転ばせ、涼太くんはシュートを放つ。


「まさか…今のは」


驚きを隠せない、誠凛。

『瞬時に相手の動きのコピーを可能にする。精密な観察眼、今までの試合で培った経験則と、そしてセンス。征十郎のように絶対ではないけれど、それに限りなく近いの精度で未来を見ることが出来る…今の涼太くんは、無敵だわ』



そんな海常の勢いにリコ監督は―


「やられた!今の黄瀬君に対抗できるのは、火神君のゾーンだけ。でも…これまでの傾向から開始直後に火神君がゾーンに入ることはない。ベストなタイミングで仕掛けてきたわね」


「じゃ、これから制限時間が切れるまで…黄瀬はこのまま…」


土田先輩がそう言いだす。


「いえ、ここで使い切ることはないはず。けど、多分このままだとダメージこれだけじゃすまない」


そしてテツヤくんのファントムシュートも彼に止められてしまった。


「紫原でも止められなかった無敵のシュートがブロックされた!?」


「(今のは、エンペラーアイで打ち出し角度を先読みし、紫原のブロックで軌道を封殺。見えていないまま、力ずくで止められた)」


衝撃を受けた様子のテツヤくんに火神くんが声をかける。


「大丈夫か? 黒子」

「いえ、まいりました。やっぱり黄瀬君はすごい。完全に僕の負けです

手ごわいすぎて、笑っちゃいますね」



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