『第18章』進学と卒業
時は過ぎ、帝光中学校卒業式
キセキの世代のみんなは体育館で集まっていた。
「これからお互い、敵同士だ。次は高校の、全国の舞台で会おう」
「まぁ、そうスけど、そんなすぐ殺伐しなくても」
「たまたま、ばらけただけだしねー」
「たまたま?…違うな。強豪となれば、数はそう多くはない。だが、あえて同じ学校に行こうとは全員、微塵も思わなかった」
「そもそも僕らはキセキの世代などとひとくくりに呼ばれるのを嫌悪している。もし、戦えば必ず優劣がつくはずだし、自分より上がいる筈がない。それを証明する為に自分以外を淘汰しなければ、気が済まない。理屈ではなく、本能が」
「まぁ…そうッスよね」
「だろうよ」
「否定する気はないのだよ」
「黒ちんにはわかんないだろうね」
「いや、目指すものはまったく違うが、テツヤも、そして残念ながら雫も必ずこの戦いに加わるはずだ。答えがまだ全て出たわけではないだが、それでも決めたようだからね」
「自分のバスケを曲げない覚悟だけは」
「雫っちがまさか、赤司っちともオレのところにもこないで、黒子っちとはね〜」
「ぽたちんがなんで赤ちんといないのかわからないや〜、赤ちんといれば勝てるのにねえ」
「…あいつはそういうやつだ。オレらが無くしたものをまた集めてるだけだろ」
「藍澤は人事をつくしているのだよ、赤司、お前に対してもな」
「悪いが雫が僕のものであることに変わりはない。東京にいるからと言って無闇に彼女に関わることは僕が許さない」
「…、バスケもっスけど、オレは一度も諦めたことないんでそれは保証できないっスよ」
「…涼太、なんだと?」
「まぁ黄瀬ちんが頑張ったところで、ぽたちんの想いは変わらないと思うけどね〜」
「まぁ、あいつが巨乳になったら話は別だな」
「俺はただ見守るのみなのだよ」
「何か答えは出たかい?」
「まだ見つかりません。でも、僕はもう逃げない、それだけは決めました」
「そうか…そしてテツヤ、」
“雫をよろしく頼むよ”
『まさかここが最後の会う場所だと思わなかったよ』
私は征十郎に生徒会室で呼び出されていた。
「卒業式にまでここで仕事していることはないからね」
『…次会えるのは夏かな』
「そうだな、インターハイにお前とテツヤが来れればの話だがな」
『…絶対乗り越えてみせるよ』
「…雫、目をつぶって」
私は言う通りにして、目をつぶって身構えた。
一年半ぶりだろうか?
彼が変わる前と同じように、優しく啄むようにキスをされた。
首元に触れる手が温かい。
『…ん…』
「…これは僕からの戒めだよ」
首元にはネックレスがついていた。
私の名前と同じ、雫のかたちをしたネックレス。
『…ティアドロップ…』
「あまり他のものたちと仲良くしすぎるな、これは僕のものであるという印にもなる」
『…ありがとう、征十郎』
“しばらくさよならだーーーーー”
ネックレスの意味は
『あなたを束縛したい』
ティアドロップは
『悲しみの涙はもう流させない』
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