『第2章』バスケ部に入るまで
その後青峰くんとさつきちゃんと校門まで一緒にでて別れようとした。
『それじゃあまた…』
と私が切り出したところでさつきちゃんが待って!と引き留めた。
「青峰くんどうせこのあとバスケするでしょ?」
「あーまぁな」
「雫ちゃん、あっちにストバスできるところがあるんだけど、いつも青峰くんそこで遊んで帰るの、よかったら見にこない?」
『あっちのストバスって…駅の手前の?』
ストバスができる公園は、ここから1番近い駅の手前の公園と、私の家の方面を通り過ぎてさらに奥の公園の二箇所私が知っているところがある。
兄は気分によってどっちに行くが、家の方が近いので駅の方面は久しぶりだ。
「大ちゃんバスケ馬鹿だから、見ている間もうちょっとお話ししてようよ!もっと雫ちゃんのこと知りたいし」
『バスケ馬鹿なのか青峰くんは』
青峰くんはうるせーと言いながらも満更でもなさそうだ。
さつきちゃんも大ちゃん呼びになっている、私はなんとも思わないが。
せっかくのお誘いだし、兄以外のバスケもみたいし、一緒に寄り道することにした。
歩いてる途中でコンビニに寄って、飲み物をそれぞれ買って向かった。
私はいつもリプ○ンのピーチティーだ。
青峰くんはそういえばお前ゆーいぎはいいのか?とかまた馬鹿っぽいこと言ってた。多分馬鹿だ。
公園について、青峰くんは軽いアップをしてバスケをし始めた。
馬鹿だけど、バスケ馬鹿も伊達じゃないな。
素直に彼はうまかった。
吸い付くように安定感のあるボール。
変形自在なドリブル。
適当に投げても入るだろうと確信できるシュート。
彼は間違いない。天才だ。
かといい私の兄もここまでイレギュラーなストバスはしないが、安定感のあるバスケをする。
兄が正統派だとしたら、彼は革新派だ。
兄も伊達に帝光でレギュラーをしていたわけじゃない。ただプレースタイルが違うというだけでこんなに違うバスケに見える。
ーーー面白いな。
「大ちゃんは、昔から大人に混じってバスケをしていてね、どちらかというとストリートバスケの動きをしてるんだよね」
『すごいね…ちょっと馬鹿だけど青峰くんのバスケは見ていて楽しいな』
さつきちゃんは嬉しそうにこちらをみた。
そしてバスケ部のマネージャーになったらもっとすごい人みれるかもしれないよ?とニヤニヤしながら言った。
計られた…これはさつきちゃんの狙いだったのか。
青峰くんのバスケを見せたら、きっとわたしがもっと興味をもつと。
バスケ部に入りたくなると。
『…負けたわ、さつき』
「んー?なんのことかな?雫ちゃん?」
っていうかさつき呼び捨て嬉しい!
とまた嬉しそうな顔をして、2人で青峰くんのバスケをみていた。
「さつきータオルくれ」
青峰くんがこっちにきた。
お前俺に惚れたべとか言ってきたし、なんだこいつバスケしているときしかまともじゃないのか。
『ごめん、一ミリも惚れてない』
「藍澤はバスケしねーの?見てるだけじゃできないだろ、相手しろよ」
『相手にならんだろ、私じゃあ…ボール拾いとパスしかできないぞ』
いいからいいからと、彼は私をコートに連れて行った。
なんだかんだドリブルしたり、シュートしたり、楽しい時間を過ごした。
その光景をさつきは嬉しそうにみていた。
「お前センスあるわ、いつも見てたって言ってたもんな」
お前バスケ好きだべ、そう青峰くんに言われて、自然と返した。
『好きかも』
青峰くんはじゃあお前はいいやつだなって意味わかんない方程式を立ててきた。
彼の二カッとした笑顔で、そうだよいいやつだよってドヤ顔で返しといた。
日が暮れる前までバスケしたりさつきと話したりして過ごした。
遊んでるうちに君付けがめんどくさくなって、いつのまにか“青峰”と呼んでいた。