『第18章』進学と卒業
それから黒子くんは学校を休んでいた。
そして私も部活を引退し、生徒会も代替えになるので整理しにきていた。
「雫、俺は京都の洛山高校に推薦でいくつもりだ」
洛山高校ーーーー。
京都にある超強豪校だ。
WC・IH開催時から連続出場し続け、全校最多の出場数を誇っている。
最古にして最強の王者。それ故の呼称は「開闢の帝王」
『そ、か…征十郎にぴったりだね』
「もちろん、僕がお前を手放すつもりはない。…言いたいことはわかるね?」
『!なにを言って…』
「雫の学力なら、余裕で合格できるだろう。寮もあるが、なんなら一緒に別宅から通うこともできる」
『ちょ、勝手に進めないで!私の進路は私が決める』
「…お前が僕以外のところに行くのを許すとでも?…もしそうしたいのであれば、僕の納得のいく理由と、それ相応の咎を受けてもらうが」
『どうしてそんなに所有したがるの?』
ーーーーーもう一年も好きもなにも聞いていないのに。
「僕の命令は絶対だ」
そしてこの日、生徒会の役割も終わった。
「雫ちゃんは進学先決めたの?」
「雫ちゃんの学力なら選び放題だよね!」
なっちゃんとつーちゃんとも進学先の話になった。
征十郎とは離れたくはない。
でも、このままただそばにいるのが正しい選択とも思えない。
「赤司くんと同じところ行くの?」
『…わからない』
“私がこれからなすべきことはなんだろう”
「雫っちー!今日も可愛いっス!部活引退したから会えなくて悲しいんすよ〜全然中庭にもきてくれないしっ」
まぁ赤司っちの目があるしねーと黄瀬くんはいう。
「俺、考えたんすよ。今の赤司っちといても、雫っち笑顔にならないって。だから高校は赤司っちと離れなよ?」
『高校は迷ってる、離れるべきかそばにいるべきか…』
「…だって、雫っち、いま幸せ?」
『!……考えてもなかった』
「いくら好きでも、いまの赤司っちとズルズルいてもなにも変わらない。なら、俺と同じ高校行こうよ、それで、一緒にバスケやろ?」
黄瀬くんと…考えてもいなかった。
でも黄瀬くんとバスケ部に入って、征十郎と離れて、何か変わるのかな…
『気にしてくれてありがとう、もう少しよく考えてみるね』
そしてむっくんは秋田の陽泉、青峰は桐皇学園、緑間くんは秀徳に行くことがわかった。
「本当はテツくんと同じところに行きたいけど、やっぱりほっとけないからさ、あいつ…」
さつきは青峰と同じところに行くことを決めたみたいだ。
『和成はどこいくの?』
「俺は秀徳、泪くんがなんせいたしね〜」
和成は全中でうちの学校と当たり、やはりかなりの得点差で負けてしまった。
それから彼は打ちひしがれることなく、自主練をかかさず、泪とも練習していた。
和成はバスケが大好きなんだよね。
「…彼氏が洛山…ねぇ…そりゃ遠いし、迷うわな」
『和成、私、征十郎を前に戻したい』
そう、これが私のしたいことだった。
前の征十郎に会いたい、抱きしめてほしい。
だからそのためになんの選択をしたらいいか…
「…ただそばにいても、1年半も変わらなかったんだもんな」
『…そばにいて、反抗するだけで変わってくれたらよかったんだけど』
「やっぱり、意味のあるきっかけが必要なんじゃねーか?」
『…意味のあるきっかけ…』
「しーちゃんみたいに徐々に変化するようなきっかけもあれば、瞬時に切り替わるもんもあるかもだし…」
『そっか…泪にも聞いてみる』
『…て、和成と話してたんだけど、泪はどう思う?』
「赤司くんが変わった時の理由やそのきっかけから探ればいいんじゃねえのか?」
たしか、むっくんに負けそうになって、変わった。そして結局そこから勝ったんだっけ。
『勝利へのこだわり…?』
「なら、その勝利をまた奪えばなにか糸口が見えるかもな」
『…!そっか…わかった。答え出たよ。そしてその答えのために、探さなければ…』
「…乗り越えろ、赤司くんと一緒に」
『…うん、もう負けないし、逃げないし、諦めない』