『第13章』全中とその後
そして迎えた全中開会式ーーー。
「黒子ーーー!!久しぶりだなっ!!」
「荻原くん、お久しぶりです」
どうやら1年生のときに、レギュラーになって戦いたい相手がいると言っていた。
それは彼のことみたいだ。
「青峰!今年こそ勝つからな!」
「井上!俺だって負けねーよ?」
彼は…上崎中の井上くん。
青峰と同じパワーフォワードで、たしか去年いい勝負していたような…
いいライバルなのだろう。
でもなんだろう、青峰の力は大きくなっている。それに井上くんがついて行けるのか…?
その時抱いた不安は、突きつけられるように試合で実感するのであった。
上崎中との試合ーーーー。
青峰に対峙した選手はもうやる気をなくしていた。
“お前自分がどれほどバケモノかわかってねーんだよ”
“お前を止められるやつなんて、いるわけねーじゃん”
「テツ…やっぱだめだわ…」
ーーーーーーーオレに勝てるのは、オレだけだ。
この日、黒子くんと青峰のこぶしは合わなかった。
「青峰くん…」
『…監督、』
「青峰とはわたしが話そう。藍澤、共に来てくれるか?周りのみんなは今まで通り普通に接するんだ」
そして監督は青峰に、謝った。
青峰の力がどんどん大きくなっていて、こうなることを知っていたのに放置していたことへの謝罪だ。
“諦めなければ必ずできるとはいわない、ただ諦めたらなにも残らない”
監督が青峰に向かっていった言葉。
この言葉は、青峰が黒子くんに体育館で行った言葉だ。
監督は一度わたしと青峰を2人きりにした。
「前にも言ったよな、頑張ったら頑張ったぶんだけバスケがつまらなく感じるってよ…俺はまだ見えてない強い敵がくることを諦めなければいいのかよ…」
『…つまらなくなるって言っても、バスケは好きでしょ?私がバスケ部に入ったのは、公園で青峰のバスケを見てワクワクしたからだよ…?』
そう、初めてさつきと青峰と出会った日、型にはまらないバスケスタイル、楽しそうな笑顔でゴールに向かう少年のような輝き。
それに魅了されて、私は覚悟を決めたんだ。
『青峰が、楽しそうにバスケする姿私好きだよ…』
「……そっか、お前俺のファンなんだな」
『そ、そうだよ!青峰のバスケが好き、そんなつまんなそうにプレーしてる姿なんか見たくないんだからね』
「…わぁーたよっ、くそ、本当かなわねーな、お前も、監督も、テツも…」
「…荻原くん、負けてしまったそうです」
黒子くんの電話の相手は荻原くんだったみたいだ。
『一緒に戦うのは、来年だね…きっとまたチャンスはあるよ…』
「…そうですね、まずは今年、荻原くんのためにも優勝することが先ですね」
その後、決勝で鎌田西中学校と対戦し、合気道を嗜んでいる“双子のラフプレー”に苦戦するも、監督のフェイクの指示で、その均衡も崩した。
ーーーーー優勝は帝光中学校!!ーーーーーー
全中2連覇を達成した。
「終わった〜もうお菓子食べてもいいよね?なんなら食う?」
「ああ、もらうのだよ」
「まじでか」
『みんなお疲れさま!そして、おめでとう』