『第8章』影の覚醒と進級





夏休みも終わり、いつも通りの授業と部活の毎日が始まった。





放課後マネージャーの仕事を終え、主将とコーチとミーティングがあるとのことで、赤司くんを待つことになった。


先に他のメンバーと帰っても良かったけど、まとめたいものもあったし、待つ事自体嫌いではない。



一軍の体育館はいつも遅くまで自主練をしていて、この時間でも電気がついてることが多いが、今日は調整で早く終わったこともあり、どこの体育館も真っ暗なはずだった。



三軍の体育館に明かりがついていることに気づき、そっと見てみる。



そういえばさつきと青峰が……


「知ってる?最近三軍の体育館に幽霊でるんだって!」


「っ…んなわけねーだろ、くだんねー」



っていうやりとりがあったな。

幽霊は苦手だけれど、電気つけっぱなら消さなきゃいけないし…






体育館からドリブルの音も聞こえる。
幽霊ではなさそうだ。






「…また昇格テストだめでした」



「僕は帝光バスケ部に貢献できそうにありません」




黒子くんと青峰だ。
いつから2人は一緒に練習していたのだろうか?
2人ともバスケ好き同士、仲良くなれそうだとは思っていたけれど。



そっか、9月の昇格テストだめだったのか…

それにしても諦めない黒子くんがこんなに落ち込むなんて、何か顧問に言われたのかな…




「なんでバスケ好きで頑張ってるやつが辞めなきゃなんねーんだよ!?」




納得いかねーよ!と青峰もイラついている様子だ。

ここで入るのも、私は“ただのマネージャーだ”、だから選手の立場で考えて共感することはできても、それまでなのだ。








「ここにいたのか藍澤、待たせてしまってすまないね」


『あ、赤司くん…緑間くんとむっくんもまだ残ってたんだね』



彼らは体育館を覗くと、青峰に気づき入っていった。
どうやら3人とも黒子くんには気づいていなかったみたいだけど。




「彼に興味がある」




赤司くんのこの一声で、他のみんなは帰っていった。
私がずっと黒子くんに気づいていたことに赤司くんは見抜いていたのか、私は彼と黒子くんに向き合った。





「黒子くん、いつも遅くまで自主練してたんだね」





そのあと赤司くんが黒子くんを見ていたが、彼には何かひとつでも取り組もうとする人に必ず出てしまう“何か”が彼には見受けられないという。





「僕に、出来ることですか…」



「あとは自分で考えてごらん。答えがわかったらまたおいで」



 

赤司くんは彼に彼の可能性の“ヒント”を与えたみたいだ。















「藍澤は彼が見えるんだね」




赤司くんに言われ、図書室での話や、彼がレギュラーになるために人一倍努力していることを話した。





『なんとなくだけど…黒子くんなら、きっと答えを見つけられると思うんだ』










そして彼は3ヶ月後に答えを出し、赤司くんの予想を遥かに超えたのだった。









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