シンのまなざし
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この小説の夢小説設定カードキャプターさくら、さくら双子姉主です。
親愛夢で、主にさくらちゃん相手に鬱屈とした気持ちを抱えています。
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夢を見る。距離をものともせず、好きなものを見に行ける。「私」が知らないはずの場所、知らないはずの会話。私が知っているとわかったら、あの人たちはどんな顔をするのだろうか。
これが普通じゃないと知っている。生まれた時から普通じゃない。ずっと終わりが来る日を待っている。
呼吸をするのすら苦しい。熱も出ている。一過性の季節のものと分かっていても体調は悪い。
食事はかろうじて出来たし、お父さんが部屋に色々ともってきてくれたから、それでなんとか調子を整えたい。いつもと同じなら、昼頃に一度落ち着くはずだ。
長く息を吸う。吸ったらぜんぶ吐き出す。こうやってしばらくすると、眠気がやってくるのだ。余分な体力などないので、早々に眠った方が回復につながる。それにこういう時は―――夢を見やすい。
家を出る前、最後に私を確認したお父さんと、「いってきます」を言ったさくら、声だけだったお兄ちゃんを思い出す。高校の授業をちょっと覗いて、今日は海外の美術館を見てみようか。地下の書庫にあった外国語の本を思いだす。目をつむって、まぶたの裏にみとれて、ほんの少し。私の意識は落ちていく。
”目覚める”とそこはお兄ちゃんの教室のようだった。黒板と教室、制服からして間違いない。そもそも私の目線の真下にお兄ちゃんがいるのだ。ふわふわと中空を飛び回って見ているのは楽しい。人のノートの落書きや、ちらちらと買わされる目線、先生の話しも人によって面白い。ただ、お兄ちゃんはカンがいいので、たまに目が合ってしまう。そうなると気まずくてここにはいられない。次はどこに行こうか。
お兄ちゃんには見えていないだろうけど手を振って。次はヨーロッパのどこかに行こうかと思う。イギリスの大きな博物館がいいだろうか、それともパリ。
だから気が付かなかったのだ。お兄ちゃん以外にも杏に私に目線をむける人がいることに。