シンのまなざし
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この小説の夢小説設定カードキャプターさくら、さくら双子姉主です。
親愛夢で、主にさくらちゃん相手に鬱屈とした気持ちを抱えています。
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夢を見る。距離をものともせず、好きなものを見に行ける。「私」が知らないはずの場所、知らないはずの会話。私が知っているとわかったら、あの人たちはどんな顔をするのだろうか。
これが普通じゃないと知っている。生まれた時から普通じゃない。ずっと終わりが来る日を待っている。
さめざめと雨が降っている。雨のせいか体調が悪い。頭の奥は痛みに満ち、湿気た咳がのどの奥から出る。これは学校に行ける体調ではないと確信する。父や片割れは心配するだろうな、とよく見る顔を思い出した。もちろん兄も心配はするのだが、あまり素直な表現の仕方ではしない。帰りにプリンでも買ってきてくれるだろう。
この体はとにかく弱い。すぐに体調を崩す。その割におかしな力がある。「体調とトレードで力が欲しいか?」と生まれる前に問われていたら拒否した自信があるものを。そもそも何故こうして生まれてきたのかがわからない。
「杏、起きてる? 具合わるい? 」
ノックの音の跡、細く扉が開いてささやく声が問うてくる。愛すべき片割れ、世界のヒロイン、木之下さくらがそこにいる。とくに反応したわけでないのに、私の不具合を察したのだろう。ベッドサイドまでやってきた彼女の表情は冴えない。よく見る顔だ。
「おはよう、さくら。今日は学校に行けなさそう」
しわがれた声で話しかければ、さくらはそっと手を伸ばしてきた。私と同じ大きさの手が額と首をすべる。どうしてか片割れは私の不調をよく察する。双子だからだろうか。もしかしたら熱があるのかもしれない。普段は熱いほどのさくらの手が冷たく感じる。
「うん……、休んだ方がいいね」
短い髪と長い髪。健康な体と不健康な体。知っている私と知らないさくら。ストーリーにいるさくらと、イレギュラーな私。額をつけて、瓜二つな私たちはあまりに違う。未来の夢を私は見ない。