イサコの母方のオバ。転生者だけど原作知識はなし。人間としては割とダメだけど、転生した人間としてはまずまずな性質。
コヨーテの歌
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夏 信彦7才、勇子3才
幸枝「久しぶりー!大きくなったね…、元気にしてた? 」
信彦「元気だよ。オバさんこそずっと来なかったけど元気なの? 」
幸枝「まあ人並みに仕事は忙しいからさ。元気よ元気。……ユウコは? 」
信彦「お母さんのとこだと思う。最近、ずっとお母さんにべったりだし」
幸枝「ほー。お兄ちゃんはちょっと寂しいね」
(頭を乱雑に撫でる)
信彦「いた!?痛いよ!」
幸枝「はは。年末に寂しがってるお兄ちゃんにプレゼントだよ。ほら」
信彦「これ!最新のメガネじゃん! 」
幸枝「よく分かりましたー! ver2.39最新子供メガネ"オトモダチ号"だよ」
信彦「名前ダサくない? 」
幸枝「……やっぱり思う? 」
*****
幸枝「久しぶり姉さん。元気にしてた? これ、会社の人と私からお土産」
幸子「あらー、気にしなくてもいいのに。今年はただゆっくりするだけだし…私の体調もいいから、暇なら子供たちと遊んであげて」
幸枝「もちろん!…姉さん、あれから体調は大丈夫なの?倒れたりとか、具合悪くなったりしてない?」
幸子「もう!大丈夫って前も連絡したじゃない?そんなに心配させちゃった?もう大丈夫。あの人にも随分と怒られたけど、そのあとは無理することもないんだから」
幸枝「それならいいんだけどさ。…姉さんは体が強くないし、いつも無理するから…。心配されるのが嫌なら健康でいたら?」
幸子「分かったってば。も~健康健康!みんな元気すぎて困っちゃうくらい健康!」
幸枝「アー…姉さんはいつもそうなんだから。ところで勇子ってどこにいるの? いない? 」
幸子「あら? 庭とかで遊んでない? 」
*****
幸枝「おっ!本当だ。勇子がいる」
勇子「…ユキちゃん? 」
幸枝「そうだよユキちゃんだよー。なにしてたとこ? 」
勇子「なんか、変な音がするから…」
幸枝「変な音…? 」
勇子「うん」
幸枝「それってどんな音かな? 」
勇子「うーん、なんだろ。……、ラジオの…ざらざらしたやつみたいなの」
幸枝「砂嵐か…、それはメガネをかけてるときだけかな? 他に何か聞こえる?」
勇子「ほかに? うーん、聞こえないと思う」
幸枝「そっか……勇子はすごいなあ…!(ぎゅっと抱きしめる)」
勇子「えー!なに!?」
幸枝「うふー!これからが楽しみで心配だなーって!」
勇子「なにそれー!ユキちゃんおしえてよー!」
幸枝「もうちょっと秘密だなあ!がんばろ!」
勇子「ずるい!ユキちゃんだけ知ってるじゃん!ずる!」
幸枝「ユキちゃんは大人だからいいんでーす!残念!」
勇子「あー!待ってよユキちゃん!おしえてよー!ずる!ずるだよ!1」
幸枝「待ちませーん!(……まさか、勇子がイマーゴ体質だなんて)」
冬 信彦8才、勇子4才
幸枝「ああ~…しみいるこたつのぬくもり…」
幸子「勇子! こら! 早くパジャマに着替えなさい! はし、服を着て! ちょっと待って!! 」
勇子「やだーーーー! 勇子このままで平気だもん! 」
幸子「風邪ひくから! 待って… 」
幸枝「……おぉ、これが幼児。…信彦、お前もきっとこんな感じだったんだろ? 」
信彦「(嫌そうな顔)一緒にしないでよ」
幸枝「私もそんな感じだっただろうから気にすんなよ、思い出さ……いつか笑える日が来る…」
信彦「オバさんも裸で逃げ回ったの? 」
幸枝「もっとまずいことをやってるよ…」
勇子「ユキちゃーん助けて-! お母さんが怒ってる…! 」
幸枝「うわ! 勇子、べちゃべちゃじゃん。そんなの姉さんが怒るのもアタリマエ! 」
幸子「そのまま…そのまま捕まえてて…! 」
勇子「うーうー、やだ! 」
幸枝「まあまあ、すぐ終わるからそう暴れない、いっ!? 」
信彦「アチャー…オバさん、大丈夫? 」
幸子「こら勇子! ユキちゃんに謝ンなさい! いい加減に服を着るの! こら!! 」
勇子「やだ!! 」
幸枝「…子供のパンチって痛いんだな…」
信彦「オバさん、ミカンむいて」
夏 信彦8才、勇子4才
勇子「あー!ユキちゃん久しぶりー!」
幸枝「久しぶりー!勇子、おっきくなったねえ!…半年でこんなに成長すんの…? 」
勇子「えへへ~。そうでしょ、勇子おっきくなったんだから! 」
幸枝「はーー、勇子は本っ当にかわいいわ…。疲れた心に効く…」
勇子「ねー! それより遊ぼ!お兄ちゃんは友達と遊びに行ってていないの」
幸枝「あれ、そうなの?お盆だからいると思ってた」
勇子「ユキちゃんがメガネあげたからだよ! お友達とメガネで遊ぶってゆってたもん! ユキちゃんのせい! 」
幸枝「ア、アハハー…それはごめんだなあ…」
*****
幸枝「久しぶり姉さん」
幸子「あら早かったのね」
幸枝「ボスに『休みをとれ!』って怒られちゃってさー、本当はもうちょっと詰めようと思ってたんだけど」
幸子「いい人で良かったじゃない。心配してもらったんでしょ? 」
幸枝「や…どうだろう…うちの職場、結構変わってるから…。単純じゃないところがあって…。まあ私の話はいいよ。これ、お土産ね」
幸子「いつもありがとうねえ。…お父さんとお母さんに手、合わせておいでね」
幸枝「そうだね…初盆だもんね…」
幸子「あっという間ね…」
*****
信彦「オバさん、今年も来てたんだ? 」
幸枝「信彦もおっきくなったけど、…可愛げはどこに落としてきたのかな?おばさんは不思議だなあ」
信彦「そんなことよりおばさん」
幸枝「そんなことより!? 」
信彦「メガネのブロックがきつすぎるから取ってほしいんだけど」
幸枝「…信彦はいくつになったんだっけ? 」
信彦「もう7歳だよ」
幸枝「7…? まだ神様の子どもじゃない? 全然だめだけど」
信彦「……だめ? 」
幸枝「うっ…! 信彦おまえぇ! やるようになったじゃないか! どこで学んでくるんだよそんな小技! 」
信彦「ブロック取ってくれないの…? 」
幸枝「…いいよ…姉さんには内緒だからな…。あと悪用したら私直々にボコボコにしてやるからな…」
信彦「ユキちゃんありがと!」
幸枝「(重い溜息)小学生にしては賢すぎない…?今時の子ってみんなこうなの…? 」
信彦「あ、入学祝いもありがとう! 」
幸枝「どーいたしまして! 」
冬 信彦8才、勇子4才
幸枝「こんばんはー」
幸子「あら、今日は随分と早かったのね」
幸枝「アー、うん。連絡したより早くてごめん…」
幸子「そんな顔しないで。悪いって言ってるわけじゃないの、単純に珍しいでしょ? あの人も信彦も勇子だってユキちゃんと会えるのを楽しみにしてるんだから」
幸枝「…うん、姉さんには敵わないね。…これ、今回のお土産」
幸子「いつもいいって言ってるのに! ここはあなたの家でもあるんだから。ゆっくりしていってね」
幸枝「…ありがと」
*****
勇子「ねーユキちゃん」
幸枝「んー? 」
勇子「ユキちゃんって何をしてる人なの? 」
幸枝「唐突だねえ勇子。仕事の話でいい? 」
勇子「うん」
幸枝「そうだな…電脳ペット、というのを作ってるよ」
勇子「電脳ペット? ただのペットじゃないの? 」
幸枝「いい質問だねぇ…。違うのはね、メガネで見るか、見えないか。それだけだよ」
勇子「メガネがないと見えないの? 」
幸枝「そうだよ。触れないし、匂いもしない。でも生きてる」
勇子「触れないのに生きてるの? 」
幸枝「そうだよ勇子。触れなくても生きてる。データで構成されてても生きてるよ」
勇子「ふーん? ユキちゃんはすごいんだね」
幸枝「ありがと」
*****
信彦「今日って、お父さんどうしたの? 」
幸子「なんだか会社でトラブルが起きたんだって…。正月早々に運がないというか…」
勇子「えー! まだお父さんにあけましておめでとう言ってないのに! 」
幸子「そうねぇ、気長に待ちましょうね。今日中に帰るって言ってたし、運が良ければ昼には戻ってくるって話しよ」
信彦「フーン」
幸子「えー…じゃあ待つ…」
幸枝「…おはよう…あけましておめでとうございます…」
信彦「オバさん起きるの遅くない? もうお昼だよ」
幸枝「うん…信「おはよう! あけましておめでとうございます! ユキちゃん今年もよろしくね! 」…うん、よろしくね…」
幸子「もうお雑煮もおせちも大方食べちゃったわよ」
幸枝「うん…ごめん、寝坊しすぎた…」
勇子「ユキちゃん、なんでそんなに寝坊したの? 」
幸枝「同僚と年越しチャット…おしゃべりしてたら…熱い議論になってしまって…寝たのが日の出頃だからです…申し訳ありません…」
信彦「こういうのをジゴージトクって言うんだよね? 」
幸子「…そうね、私もなんとも言えないわ」
信彦「寝坊したオバさんは、僕たちにお年玉をくれないといけないよね? 」
勇子「えっ!? ユキちゃん、お年玉くれるの!? 」
幸枝「…もちろんだよ! 奮発させていただきます! あと勇子、ユキちゃんはちゃんと働いてるからね? お年玉あげられる稼ぎはあります…毎年あげてます…」
夏 信彦9才、勇子5才
幸枝「ただーいま。今年もお世話になります! 」
勇子「おかえりユキちゃーん! 今年はいつまでいるの? 」
幸枝「うーん…16日からお仕事だから15日には帰るよ」
勇子「もうちょっと長くいればいいのにー! 今年のお土産は? 」
幸枝「はーいはいはい、ちゃんと買ってあります。勇子に渡していい? 」
勇子「あっ! フランボアのタルトだ! 」
幸枝「喜んでもらえた? 」
勇子「うん! お母さんのとこ、もってくね! 」
信彦「ただいまー。て、あれ? オバさんて今日だったんだ? 」
幸枝「そうでーす。二泊させてもらうわ」
信彦「あのさ、前にもらったメガネなんだけどさ」
幸枝「ああ、プロテクト外したやつね。危ないことはしてないでしょうね…」
信彦「してないしてない。これって開発でかかってるプロテクトまではとれないの? 」
幸枝「ちょっと何を言っているのか分からないんですけど…」
信彦「ソースコードとかって見れないの? 先輩が色々と出来るんだけど、このメガネで追いつけないのはメガネに問題がある? 」
幸枝「…、…。信彦、やるならちゃんと責任もってやれよ。私は全部助けてやれないので、というかそこまで楽しんでるならまとめて学ぶべきかな! あなたの力量不足です!(大声)もっと知識をつけてください! 」
信彦「…」
幸枝「いっだ! ………いやはや、成長を感じる…」
*****
幸枝「お義兄さん、そっちの業界は今年はどうでした? 」
義兄「こっちはこっちでメガネの好景気に引っ張られてますよ。仕事のやり方は変わるけど、仕事も増えるっていうのは良いことさ」
幸枝「やっぱり仕事のやり方も変わりました…? 」
義兄「そりゃあね。ありゃ、もうインフラだね。ないと生活が成りいかない時代も近いと僕は思うよ」
幸枝「ああ、まあそうですよね…。不便とかはないですか? いえ、参考までに。うまくいけば解決できますけど…」
義兄「いやー、ね。これからの子どもたちが心配だってことかな。メガネがないと困るが便利すぎるだろう? この過渡期が終われば、僕はそれでいいかなあ…」
幸枝「そうですね。…未来を見据えて動かないとですね」
義兄「この近所にもコイルスの研究所があるだろう? 幸枝さんは知ってる? 」
幸枝「まあ、何度か行ってますね。主任技師の方と親交がありますよ。去年コイルスに行ったときは調整が大変だって言ってましたけどね。新しい分野だから新規参入も多いみたいですし、利益が大きいのも考え物だって笑ってましたけど」
義兄「大企業ならではの悲鳴だね。僕たちの会社もそんな悲鳴を上げてみたいものだよ」
幸枝「ははは」
*****
冬 信彦10才、勇子6才
幸枝「アー…あけましておめでとうございます」
幸子「あけましておめでとう! もう、大みそかまで帰ってこないなんて! 」
幸枝「…ごめん、仕事が佳境で…」
幸子「三が日くらいは休めるの? 」
幸枝「うん。なんとかなるよ、もう少ししたら一息つくし…」
幸子「それならいいけど」
幸枝「まー! そのかわり! お年玉は弾むからさ! 」
幸子「そんなこと気にしなくていいの。無理しちゃだめよ? 」
幸枝「…うん」
*****
勇子「あれ? ユキちゃんだ-! いつきたの? 今年は来ないかと思った」
幸枝「おぉ~おはよ。今朝来たよ。あけましておめでとう、勇子・信彦」
信彦「あけましておめでとう。仕事、いそがしいの? 」
幸枝「アー、そうだね。ちょっと忙しいよ。まあでも! そんなことは! どうでもいいので! はい! ちびっ子達手を出して! 」
信彦・勇子「「はい! 」」
幸枝「はーい、お年玉です! こっちが信彦、はい勇子ね」
信彦「ありがとうオバさん」
勇子「ありがとうユキちゃん! 」
幸枝「いいえ~! 今年も元気に過ごすんだよ! 」
夏 信彦10才、勇子6才
幸枝「あー…今年も暑いね…」
信彦「そう? そこまで暑いかな…」
幸枝「いやーこれは若さですわよ」
信彦「そんなことはどうでもいいんだけどオバさん」
幸枝「そんなこととは…、なんだよ信彦」
信彦「こないだ電脳空間がどっかの町に入ってさ、ペットも新しく出たでしょ? アレってどこが特別なの? 」
幸枝「おー? 興味ある? 大黒市も町中をペットが歩けるようになったし…特別に! 講義してあげよっか! …なんだその顔」
信彦「いや…別に」
幸枝「まあいいわ。こないだのやつはついに発表されたオリジナルペットで、モールという名前のネズミ型ペットマトン。町中歩きが出来て、言語を100%理解できんの。ただし、鳴くことくらいしかできない」
信彦「なにそれ…ただのネズミじゃん」
幸枝「なんだと! ペットマトンで人語を完全に理解して、かつ意思疎通ができるし学習能力だって高いし可愛いやつだぞ!? 」
信彦「…。なんで開発したわけ? 」
勇子「ただいまー! あー! ユキちゃん来てたんだ! 」
幸枝「おー久しぶり勇子。手を洗っておいで。…そりゃあ、やってみたかったから? 」
信彦「オバさんて、本当にいっつもそうだよね…」
*****
幸枝「姉さんさぁ…」
幸子「なに? 」
幸枝「来年は勇子の入学でしょ? ランドセルって天沢から贈られてくる? 」
幸子「そうねぇ…本当に可愛がってくれてるから…今回も学習机とランドセルを買ってくれると思うわよ。信彦の時もそうだったし」
幸枝「そうだよねぇ…入学祝い、どうしようかと思ってさ」
幸子「気にしなくていいのに。来てくれるだけで二人とも喜んでるでしょ? それで充分なのよ」
幸枝「うーん…それも何だかな…って。ああ、勇子のメガネってバージョンアップしてる? 」
幸子「それはあなたの方が詳しいでしょ? なに、決めたの? 」
幸枝「まぁ、うちの会社でだしたペットマトン、あげようかなって。情操教育にも効果があるって話だし、信彦にもあげたら…困らないだろうから二人に」
幸子「まあ…なんというか…そんなに高いものをあげなくてもいいんだけど。いつもありがとうね」
幸枝「学習机よりは安いから安心して! 」
*****
義兄「やぁ幸枝さん、今年もお疲れ様」
幸枝「アー、お疲れ様でした。今年もお世話になります」
義兄「毎年言ってるけどね、気にしないでいいよ。ここは君達の家なんだから」
幸枝「それはそうですけど…これだけ暮らせば天沢家ですよ。私はちょこっとお邪魔さしてもらってるんで」
義兄「君たち姉妹はそういう頑ななところはそっくりだよね…」
幸枝「えっ、そうですか!? 」
義兄「本当に」
義兄「おぉ、除夜の鐘だね。今年もそろそろ終わりだ」
幸子「ほら勇子起きて! 初詣に行くわよ」
幸枝「あら…信彦ったら眠いの? おねむなの? お子様ね~」
信彦「うるっさい。眠くない。メガネどこ? 」
勇子「う~~眠い~~。寒いよ…お母さん~~」
幸枝「…鐘、鳴り終わったんじゃない? 」
幸子「…こういう年もあるわよ。ほら、勇子、手つないで」
義兄「じゃあここで言っちゃおうか。はい、信彦! 」
信彦「え、僕!? もー…あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします…」
みんな「「「「今年もよろしくお願いします! 」」」」
幸枝「久しぶりー!大きくなったね…、元気にしてた? 」
信彦「元気だよ。オバさんこそずっと来なかったけど元気なの? 」
幸枝「まあ人並みに仕事は忙しいからさ。元気よ元気。……ユウコは? 」
信彦「お母さんのとこだと思う。最近、ずっとお母さんにべったりだし」
幸枝「ほー。お兄ちゃんはちょっと寂しいね」
(頭を乱雑に撫でる)
信彦「いた!?痛いよ!」
幸枝「はは。年末に寂しがってるお兄ちゃんにプレゼントだよ。ほら」
信彦「これ!最新のメガネじゃん! 」
幸枝「よく分かりましたー! ver2.39最新子供メガネ"オトモダチ号"だよ」
信彦「名前ダサくない? 」
幸枝「……やっぱり思う? 」
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幸枝「久しぶり姉さん。元気にしてた? これ、会社の人と私からお土産」
幸子「あらー、気にしなくてもいいのに。今年はただゆっくりするだけだし…私の体調もいいから、暇なら子供たちと遊んであげて」
幸枝「もちろん!…姉さん、あれから体調は大丈夫なの?倒れたりとか、具合悪くなったりしてない?」
幸子「もう!大丈夫って前も連絡したじゃない?そんなに心配させちゃった?もう大丈夫。あの人にも随分と怒られたけど、そのあとは無理することもないんだから」
幸枝「それならいいんだけどさ。…姉さんは体が強くないし、いつも無理するから…。心配されるのが嫌なら健康でいたら?」
幸子「分かったってば。も~健康健康!みんな元気すぎて困っちゃうくらい健康!」
幸枝「アー…姉さんはいつもそうなんだから。ところで勇子ってどこにいるの? いない? 」
幸子「あら? 庭とかで遊んでない? 」
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幸枝「おっ!本当だ。勇子がいる」
勇子「…ユキちゃん? 」
幸枝「そうだよユキちゃんだよー。なにしてたとこ? 」
勇子「なんか、変な音がするから…」
幸枝「変な音…? 」
勇子「うん」
幸枝「それってどんな音かな? 」
勇子「うーん、なんだろ。……、ラジオの…ざらざらしたやつみたいなの」
幸枝「砂嵐か…、それはメガネをかけてるときだけかな? 他に何か聞こえる?」
勇子「ほかに? うーん、聞こえないと思う」
幸枝「そっか……勇子はすごいなあ…!(ぎゅっと抱きしめる)」
勇子「えー!なに!?」
幸枝「うふー!これからが楽しみで心配だなーって!」
勇子「なにそれー!ユキちゃんおしえてよー!」
幸枝「もうちょっと秘密だなあ!がんばろ!」
勇子「ずるい!ユキちゃんだけ知ってるじゃん!ずる!」
幸枝「ユキちゃんは大人だからいいんでーす!残念!」
勇子「あー!待ってよユキちゃん!おしえてよー!ずる!ずるだよ!1」
幸枝「待ちませーん!(……まさか、勇子がイマーゴ体質だなんて)」
冬 信彦8才、勇子4才
幸枝「ああ~…しみいるこたつのぬくもり…」
幸子「勇子! こら! 早くパジャマに着替えなさい! はし、服を着て! ちょっと待って!! 」
勇子「やだーーーー! 勇子このままで平気だもん! 」
幸子「風邪ひくから! 待って… 」
幸枝「……おぉ、これが幼児。…信彦、お前もきっとこんな感じだったんだろ? 」
信彦「(嫌そうな顔)一緒にしないでよ」
幸枝「私もそんな感じだっただろうから気にすんなよ、思い出さ……いつか笑える日が来る…」
信彦「オバさんも裸で逃げ回ったの? 」
幸枝「もっとまずいことをやってるよ…」
勇子「ユキちゃーん助けて-! お母さんが怒ってる…! 」
幸枝「うわ! 勇子、べちゃべちゃじゃん。そんなの姉さんが怒るのもアタリマエ! 」
幸子「そのまま…そのまま捕まえてて…! 」
勇子「うーうー、やだ! 」
幸枝「まあまあ、すぐ終わるからそう暴れない、いっ!? 」
信彦「アチャー…オバさん、大丈夫? 」
幸子「こら勇子! ユキちゃんに謝ンなさい! いい加減に服を着るの! こら!! 」
勇子「やだ!! 」
幸枝「…子供のパンチって痛いんだな…」
信彦「オバさん、ミカンむいて」
夏 信彦8才、勇子4才
勇子「あー!ユキちゃん久しぶりー!」
幸枝「久しぶりー!勇子、おっきくなったねえ!…半年でこんなに成長すんの…? 」
勇子「えへへ~。そうでしょ、勇子おっきくなったんだから! 」
幸枝「はーー、勇子は本っ当にかわいいわ…。疲れた心に効く…」
勇子「ねー! それより遊ぼ!お兄ちゃんは友達と遊びに行ってていないの」
幸枝「あれ、そうなの?お盆だからいると思ってた」
勇子「ユキちゃんがメガネあげたからだよ! お友達とメガネで遊ぶってゆってたもん! ユキちゃんのせい! 」
幸枝「ア、アハハー…それはごめんだなあ…」
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幸枝「久しぶり姉さん」
幸子「あら早かったのね」
幸枝「ボスに『休みをとれ!』って怒られちゃってさー、本当はもうちょっと詰めようと思ってたんだけど」
幸子「いい人で良かったじゃない。心配してもらったんでしょ? 」
幸枝「や…どうだろう…うちの職場、結構変わってるから…。単純じゃないところがあって…。まあ私の話はいいよ。これ、お土産ね」
幸子「いつもありがとうねえ。…お父さんとお母さんに手、合わせておいでね」
幸枝「そうだね…初盆だもんね…」
幸子「あっという間ね…」
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信彦「オバさん、今年も来てたんだ? 」
幸枝「信彦もおっきくなったけど、…可愛げはどこに落としてきたのかな?おばさんは不思議だなあ」
信彦「そんなことよりおばさん」
幸枝「そんなことより!? 」
信彦「メガネのブロックがきつすぎるから取ってほしいんだけど」
幸枝「…信彦はいくつになったんだっけ? 」
信彦「もう7歳だよ」
幸枝「7…? まだ神様の子どもじゃない? 全然だめだけど」
信彦「……だめ? 」
幸枝「うっ…! 信彦おまえぇ! やるようになったじゃないか! どこで学んでくるんだよそんな小技! 」
信彦「ブロック取ってくれないの…? 」
幸枝「…いいよ…姉さんには内緒だからな…。あと悪用したら私直々にボコボコにしてやるからな…」
信彦「ユキちゃんありがと!」
幸枝「(重い溜息)小学生にしては賢すぎない…?今時の子ってみんなこうなの…? 」
信彦「あ、入学祝いもありがとう! 」
幸枝「どーいたしまして! 」
冬 信彦8才、勇子4才
幸枝「こんばんはー」
幸子「あら、今日は随分と早かったのね」
幸枝「アー、うん。連絡したより早くてごめん…」
幸子「そんな顔しないで。悪いって言ってるわけじゃないの、単純に珍しいでしょ? あの人も信彦も勇子だってユキちゃんと会えるのを楽しみにしてるんだから」
幸枝「…うん、姉さんには敵わないね。…これ、今回のお土産」
幸子「いつもいいって言ってるのに! ここはあなたの家でもあるんだから。ゆっくりしていってね」
幸枝「…ありがと」
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勇子「ねーユキちゃん」
幸枝「んー? 」
勇子「ユキちゃんって何をしてる人なの? 」
幸枝「唐突だねえ勇子。仕事の話でいい? 」
勇子「うん」
幸枝「そうだな…電脳ペット、というのを作ってるよ」
勇子「電脳ペット? ただのペットじゃないの? 」
幸枝「いい質問だねぇ…。違うのはね、メガネで見るか、見えないか。それだけだよ」
勇子「メガネがないと見えないの? 」
幸枝「そうだよ。触れないし、匂いもしない。でも生きてる」
勇子「触れないのに生きてるの? 」
幸枝「そうだよ勇子。触れなくても生きてる。データで構成されてても生きてるよ」
勇子「ふーん? ユキちゃんはすごいんだね」
幸枝「ありがと」
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信彦「今日って、お父さんどうしたの? 」
幸子「なんだか会社でトラブルが起きたんだって…。正月早々に運がないというか…」
勇子「えー! まだお父さんにあけましておめでとう言ってないのに! 」
幸子「そうねぇ、気長に待ちましょうね。今日中に帰るって言ってたし、運が良ければ昼には戻ってくるって話しよ」
信彦「フーン」
幸子「えー…じゃあ待つ…」
幸枝「…おはよう…あけましておめでとうございます…」
信彦「オバさん起きるの遅くない? もうお昼だよ」
幸枝「うん…信「おはよう! あけましておめでとうございます! ユキちゃん今年もよろしくね! 」…うん、よろしくね…」
幸子「もうお雑煮もおせちも大方食べちゃったわよ」
幸枝「うん…ごめん、寝坊しすぎた…」
勇子「ユキちゃん、なんでそんなに寝坊したの? 」
幸枝「同僚と年越しチャット…おしゃべりしてたら…熱い議論になってしまって…寝たのが日の出頃だからです…申し訳ありません…」
信彦「こういうのをジゴージトクって言うんだよね? 」
幸子「…そうね、私もなんとも言えないわ」
信彦「寝坊したオバさんは、僕たちにお年玉をくれないといけないよね? 」
勇子「えっ!? ユキちゃん、お年玉くれるの!? 」
幸枝「…もちろんだよ! 奮発させていただきます! あと勇子、ユキちゃんはちゃんと働いてるからね? お年玉あげられる稼ぎはあります…毎年あげてます…」
夏 信彦9才、勇子5才
幸枝「ただーいま。今年もお世話になります! 」
勇子「おかえりユキちゃーん! 今年はいつまでいるの? 」
幸枝「うーん…16日からお仕事だから15日には帰るよ」
勇子「もうちょっと長くいればいいのにー! 今年のお土産は? 」
幸枝「はーいはいはい、ちゃんと買ってあります。勇子に渡していい? 」
勇子「あっ! フランボアのタルトだ! 」
幸枝「喜んでもらえた? 」
勇子「うん! お母さんのとこ、もってくね! 」
信彦「ただいまー。て、あれ? オバさんて今日だったんだ? 」
幸枝「そうでーす。二泊させてもらうわ」
信彦「あのさ、前にもらったメガネなんだけどさ」
幸枝「ああ、プロテクト外したやつね。危ないことはしてないでしょうね…」
信彦「してないしてない。これって開発でかかってるプロテクトまではとれないの? 」
幸枝「ちょっと何を言っているのか分からないんですけど…」
信彦「ソースコードとかって見れないの? 先輩が色々と出来るんだけど、このメガネで追いつけないのはメガネに問題がある? 」
幸枝「…、…。信彦、やるならちゃんと責任もってやれよ。私は全部助けてやれないので、というかそこまで楽しんでるならまとめて学ぶべきかな! あなたの力量不足です!(大声)もっと知識をつけてください! 」
信彦「…」
幸枝「いっだ! ………いやはや、成長を感じる…」
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幸枝「お義兄さん、そっちの業界は今年はどうでした? 」
義兄「こっちはこっちでメガネの好景気に引っ張られてますよ。仕事のやり方は変わるけど、仕事も増えるっていうのは良いことさ」
幸枝「やっぱり仕事のやり方も変わりました…? 」
義兄「そりゃあね。ありゃ、もうインフラだね。ないと生活が成りいかない時代も近いと僕は思うよ」
幸枝「ああ、まあそうですよね…。不便とかはないですか? いえ、参考までに。うまくいけば解決できますけど…」
義兄「いやー、ね。これからの子どもたちが心配だってことかな。メガネがないと困るが便利すぎるだろう? この過渡期が終われば、僕はそれでいいかなあ…」
幸枝「そうですね。…未来を見据えて動かないとですね」
義兄「この近所にもコイルスの研究所があるだろう? 幸枝さんは知ってる? 」
幸枝「まあ、何度か行ってますね。主任技師の方と親交がありますよ。去年コイルスに行ったときは調整が大変だって言ってましたけどね。新しい分野だから新規参入も多いみたいですし、利益が大きいのも考え物だって笑ってましたけど」
義兄「大企業ならではの悲鳴だね。僕たちの会社もそんな悲鳴を上げてみたいものだよ」
幸枝「ははは」
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冬 信彦10才、勇子6才
幸枝「アー…あけましておめでとうございます」
幸子「あけましておめでとう! もう、大みそかまで帰ってこないなんて! 」
幸枝「…ごめん、仕事が佳境で…」
幸子「三が日くらいは休めるの? 」
幸枝「うん。なんとかなるよ、もう少ししたら一息つくし…」
幸子「それならいいけど」
幸枝「まー! そのかわり! お年玉は弾むからさ! 」
幸子「そんなこと気にしなくていいの。無理しちゃだめよ? 」
幸枝「…うん」
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勇子「あれ? ユキちゃんだ-! いつきたの? 今年は来ないかと思った」
幸枝「おぉ~おはよ。今朝来たよ。あけましておめでとう、勇子・信彦」
信彦「あけましておめでとう。仕事、いそがしいの? 」
幸枝「アー、そうだね。ちょっと忙しいよ。まあでも! そんなことは! どうでもいいので! はい! ちびっ子達手を出して! 」
信彦・勇子「「はい! 」」
幸枝「はーい、お年玉です! こっちが信彦、はい勇子ね」
信彦「ありがとうオバさん」
勇子「ありがとうユキちゃん! 」
幸枝「いいえ~! 今年も元気に過ごすんだよ! 」
夏 信彦10才、勇子6才
幸枝「あー…今年も暑いね…」
信彦「そう? そこまで暑いかな…」
幸枝「いやーこれは若さですわよ」
信彦「そんなことはどうでもいいんだけどオバさん」
幸枝「そんなこととは…、なんだよ信彦」
信彦「こないだ電脳空間がどっかの町に入ってさ、ペットも新しく出たでしょ? アレってどこが特別なの? 」
幸枝「おー? 興味ある? 大黒市も町中をペットが歩けるようになったし…特別に! 講義してあげよっか! …なんだその顔」
信彦「いや…別に」
幸枝「まあいいわ。こないだのやつはついに発表されたオリジナルペットで、モールという名前のネズミ型ペットマトン。町中歩きが出来て、言語を100%理解できんの。ただし、鳴くことくらいしかできない」
信彦「なにそれ…ただのネズミじゃん」
幸枝「なんだと! ペットマトンで人語を完全に理解して、かつ意思疎通ができるし学習能力だって高いし可愛いやつだぞ!? 」
信彦「…。なんで開発したわけ? 」
勇子「ただいまー! あー! ユキちゃん来てたんだ! 」
幸枝「おー久しぶり勇子。手を洗っておいで。…そりゃあ、やってみたかったから? 」
信彦「オバさんて、本当にいっつもそうだよね…」
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幸枝「姉さんさぁ…」
幸子「なに? 」
幸枝「来年は勇子の入学でしょ? ランドセルって天沢から贈られてくる? 」
幸子「そうねぇ…本当に可愛がってくれてるから…今回も学習机とランドセルを買ってくれると思うわよ。信彦の時もそうだったし」
幸枝「そうだよねぇ…入学祝い、どうしようかと思ってさ」
幸子「気にしなくていいのに。来てくれるだけで二人とも喜んでるでしょ? それで充分なのよ」
幸枝「うーん…それも何だかな…って。ああ、勇子のメガネってバージョンアップしてる? 」
幸子「それはあなたの方が詳しいでしょ? なに、決めたの? 」
幸枝「まぁ、うちの会社でだしたペットマトン、あげようかなって。情操教育にも効果があるって話だし、信彦にもあげたら…困らないだろうから二人に」
幸子「まあ…なんというか…そんなに高いものをあげなくてもいいんだけど。いつもありがとうね」
幸枝「学習机よりは安いから安心して! 」
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義兄「やぁ幸枝さん、今年もお疲れ様」
幸枝「アー、お疲れ様でした。今年もお世話になります」
義兄「毎年言ってるけどね、気にしないでいいよ。ここは君達の家なんだから」
幸枝「それはそうですけど…これだけ暮らせば天沢家ですよ。私はちょこっとお邪魔さしてもらってるんで」
義兄「君たち姉妹はそういう頑ななところはそっくりだよね…」
幸枝「えっ、そうですか!? 」
義兄「本当に」
義兄「おぉ、除夜の鐘だね。今年もそろそろ終わりだ」
幸子「ほら勇子起きて! 初詣に行くわよ」
幸枝「あら…信彦ったら眠いの? おねむなの? お子様ね~」
信彦「うるっさい。眠くない。メガネどこ? 」
勇子「う~~眠い~~。寒いよ…お母さん~~」
幸枝「…鐘、鳴り終わったんじゃない? 」
幸子「…こういう年もあるわよ。ほら、勇子、手つないで」
義兄「じゃあここで言っちゃおうか。はい、信彦! 」
信彦「え、僕!? もー…あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします…」
みんな「「「「今年もよろしくお願いします! 」」」」