慟哭の宇宙
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
メビウスゼロと私のドックファイトが続いていた。
有線式のガンバレルが二機、自在に宙を動き回る。
くるり、くるりと私のジンがガンバレルからの機銃掃射を回避する。
私は宇宙空間を、ツバメの如く飛翔した。
ガンバレルへジンのアサルトライフルの弾をばらまき、牽制する。
左右のガンバレルの動きが一瞬、止まる。
私は思い切りペダルを踏む。
ジンが一気に加速した。
ガンバレルが動く。
私はジンの背後のスラスターを微妙に噴かす。
ガンバレルの背後に私は回った。
重斬刀で、一基、ガンバレルを破壊する。
別のガンバレルが銃火を噴く。
ダダダダッ、と私のジンの背後から断続的な揺れが襲った。
私は悲鳴を上げそうになり、左右の操縦レバーを握る。
思わず、私は舌打ちをした。
手足に重い枷を嵌められている気分だ。
(ジンが重い、反応が遅い! やはり、私の操縦に遅れてる! もっと反応のいい機体がほしい!)
宇宙港の一部が再度、爆発した。
一瞬、私もメビウスゼロのパイロットも、宇宙港に木を取られる。
ジンのモニター上に三つの所属不明機が表示される。
私は思わず、イザーク、と名前を叫んだ。
一瞬だけ、通信モニターにイザークが映る。
『目標を奪取した! ガモフに三機、帰投する! アスランとラスティはまだだ!』
『させるかよっ!』とメビウスゼロのパイロットの声が、私の脳内に聞こえた。
ガンバレル二基が、イザークたちの機体へ向く。
イザークの危機を感じた途端、何かが、私の頭の奥で弾けた。
全身の感覚が拡張され、明瞭に戦況がわかる。
どの角度で敵に弾を撃ち、私はどう動けばいいのか、把握する。
私はジンのアサルトライフルを宙へ向けた。
一気に、弾を掃射する。
ガンバレルが一基、私の掃射に吸い込まれる。
弾がガンバレルに当たり、爆散した。
重斬刀を抜き、ガンバレルをもう一基、私は破壊する。
そのままメビウスゼロの胴体へ斬りかかる。
メビウスゼロの胴体が急制動をかけ、垂直へ飛ぶ。
尖ったメビウスゼロの艦首は、私がいるコックピットを狙っていた。
(嘘でしょ、特攻!? コイツ、私を道連れにする気か!?)
思わず私はジンを操作し、メビウスゼロの艦首を避ける。
メビウスゼロのパイロットからの歓声と企みを感じ取る。
(わざと特攻するふりをして、私に回避させた――)
再度、メビウスゼロの胴体へ私は斬りかかろうとした。
別方向から殺気が飛ぶ。
回避する。
モニター上から警告音が鳴る。
別のメビウスだ。
私の機体がロックされている。
ヘルヴァの機体が飛翔した。
アサルトライフルを、ヘルヴァがメビウスへ掃射した。
メビウスが一機、呆気なく火球となる。
クロエの苛立った声が無線から飛んだ。
地球軍の戦艦マルセイユⅢ級をクロエが狙っていた。
メビウスゼロの唯一残ったガンバレルが、クロエに向く。
クロエは戦艦に集中していて、メビウスゼロに気づいていない。
冷徹な戦慄が私の全身に走った。
私がクロエをフォローする前に、ガンバレルが掃射した。
クロエの悲鳴が聞こえ、一瞬でクロエの機体が火球となった。
ふっと火が消えるのと似た、命が消える感触がした。
私は奥歯を噛み締めた。
(クロエはアカデミーの同期だった。特別、仲が良かったわけじゃない。でも険悪だったわけじゃない。普通に友達だった)
一瞬の間に、クロエとの色んな思い出が脳裏を駆け抜ける。
私は殺意を込めて操縦レバーを押し込む。
ペダルを踏み、ジンを加速させる。
戦艦マルセイユⅢ級へ接近した。
私の狙いに気付いたのか、メビウスゼロから焦燥が伝わった。
『援護する! クロエの仇だ!』
オロールの声が無線から聞こえる。
すぐさま、ヘルヴァの警告が飛んだ。
『オロール、相手は手練れだ! 一機では!!』
オロール機とヘルヴァ機が飛翔し、私とメビウスゼロの間に入る。
私はジンのアサルトライフルを掃射した。
戦艦マルセイユⅢ級のエンジン部が大破する。
操舵不能になったのか、ふらふらと戦艦マルセイユⅢ級が前進する。
コロニーの外壁にぶつかり、戦艦マルセイユⅢ級が爆散した。
背後から、私は別の爆発を感じる。
私は機体を振り返らせる。
オロール機が大破していた。
やったのは、メビウスゼロだ。
『このっ!』
『連邦のエース! 取り逃がせば後の禍根となる、ここで堕とす!』
私とヘルヴァが身構えた途端、撤退信号が上がった。
殺気が私の中から引いていく。
拡張していた感覚も戻り、私の意識が体に帰ってくる。
『帰投命令!? どうして』
『ミゲルが機体を失った。ラスティは失敗し、まだ一機、地球軍に残っている。なまえは私と来い。他は引け。一度、体勢を立て直す』
冷淡なクルーゼ隊長の声が無線から聞こえる。
独り言に返答が来て、私は焦った。
モニターを見れば、クルーゼ隊長がいた。
噂通り、戦闘中にも関わらずクルーゼ隊長はパイロットスーツを着ていない。
私は思わず感心する。
(よほど自分の腕に自信があるんだな。隊長は、撃墜されない気満々だ)
クルーゼ隊長のシグーとすれ違う。
コロニー内へ逃げたのか、メビウスゼロもいない。
すでにヘルヴァや他の僚機はガモフへの帰投ルートへ入っていた。
クルーゼ隊長から通信があり、ミゲルの位置が転送されてくる。
ミゲルを示す赤い点は、宇宙港へ向かって動いていた。
『敵の注意は私が引き付ける。なまえはミゲルを回収しろ』
私が了承すると、クルーゼ隊長の通信が途絶した。
クルーゼ隊長のシグーが、メビウスゼロへ威嚇射撃をした。
ヘリオポリスの宇宙港へシグーが侵入する。
メビウスゼロも宇宙港へ消えていく。
私はジンを加速させ、ヘリオポリスへ向ける。
奇妙な冷然とした気配が私の全身を通り抜けた。
涼し気な秋の夜風に似た気配だ。
驚いて、とっさに私はジンの計器に目を走らせる。何も異常はない。
ヘリオポリスの内部から、また見知らぬ機体が飛び出してくる。
私は周波数を合わせて、アスランへ通信した。
『アスラン! アスラン・ザラ、聞こえますか!? 中の状況は!?』
驚いた顔をしたアスランが、モニター上に現れた。
すぐに表情を引き締めて、アスランが私に返答する。
『ジンが一機、新型が一機動いています! どちらも乗っているのは地球軍の士官です』
『ジンが!? まさかコーディネーターのパイロットが……』
アスランの表情が、一瞬曇る。
何かアスランが隠している、と私は察知した。
『わからないが、気を付けてください! どちらも手ごわい!』
私はアスランに頷き返す。
すれ違いざま、アスランから様々な感情が私に飛んできた。
(奇妙なほど強い私への心配と、暖かい親しみ? どうしてだろう……私とアスランは、ほぼ初対面なのに。格納庫でも、アスランは私と誰かを間違えていた。キラって私を呼んでいたような……)
私は不思議に思いながら、気持ちを切り替える。
モニターに映るコロニーが、ぐんぐん近づいて来る。
ヘリオポリスの宇宙港から、私は内部に侵入した。
有線式のガンバレルが二機、自在に宙を動き回る。
くるり、くるりと私のジンがガンバレルからの機銃掃射を回避する。
私は宇宙空間を、ツバメの如く飛翔した。
ガンバレルへジンのアサルトライフルの弾をばらまき、牽制する。
左右のガンバレルの動きが一瞬、止まる。
私は思い切りペダルを踏む。
ジンが一気に加速した。
ガンバレルが動く。
私はジンの背後のスラスターを微妙に噴かす。
ガンバレルの背後に私は回った。
重斬刀で、一基、ガンバレルを破壊する。
別のガンバレルが銃火を噴く。
ダダダダッ、と私のジンの背後から断続的な揺れが襲った。
私は悲鳴を上げそうになり、左右の操縦レバーを握る。
思わず、私は舌打ちをした。
手足に重い枷を嵌められている気分だ。
(ジンが重い、反応が遅い! やはり、私の操縦に遅れてる! もっと反応のいい機体がほしい!)
宇宙港の一部が再度、爆発した。
一瞬、私もメビウスゼロのパイロットも、宇宙港に木を取られる。
ジンのモニター上に三つの所属不明機が表示される。
私は思わず、イザーク、と名前を叫んだ。
一瞬だけ、通信モニターにイザークが映る。
『目標を奪取した! ガモフに三機、帰投する! アスランとラスティはまだだ!』
『させるかよっ!』とメビウスゼロのパイロットの声が、私の脳内に聞こえた。
ガンバレル二基が、イザークたちの機体へ向く。
イザークの危機を感じた途端、何かが、私の頭の奥で弾けた。
全身の感覚が拡張され、明瞭に戦況がわかる。
どの角度で敵に弾を撃ち、私はどう動けばいいのか、把握する。
私はジンのアサルトライフルを宙へ向けた。
一気に、弾を掃射する。
ガンバレルが一基、私の掃射に吸い込まれる。
弾がガンバレルに当たり、爆散した。
重斬刀を抜き、ガンバレルをもう一基、私は破壊する。
そのままメビウスゼロの胴体へ斬りかかる。
メビウスゼロの胴体が急制動をかけ、垂直へ飛ぶ。
尖ったメビウスゼロの艦首は、私がいるコックピットを狙っていた。
(嘘でしょ、特攻!? コイツ、私を道連れにする気か!?)
思わず私はジンを操作し、メビウスゼロの艦首を避ける。
メビウスゼロのパイロットからの歓声と企みを感じ取る。
(わざと特攻するふりをして、私に回避させた――)
再度、メビウスゼロの胴体へ私は斬りかかろうとした。
別方向から殺気が飛ぶ。
回避する。
モニター上から警告音が鳴る。
別のメビウスだ。
私の機体がロックされている。
ヘルヴァの機体が飛翔した。
アサルトライフルを、ヘルヴァがメビウスへ掃射した。
メビウスが一機、呆気なく火球となる。
クロエの苛立った声が無線から飛んだ。
地球軍の戦艦マルセイユⅢ級をクロエが狙っていた。
メビウスゼロの唯一残ったガンバレルが、クロエに向く。
クロエは戦艦に集中していて、メビウスゼロに気づいていない。
冷徹な戦慄が私の全身に走った。
私がクロエをフォローする前に、ガンバレルが掃射した。
クロエの悲鳴が聞こえ、一瞬でクロエの機体が火球となった。
ふっと火が消えるのと似た、命が消える感触がした。
私は奥歯を噛み締めた。
(クロエはアカデミーの同期だった。特別、仲が良かったわけじゃない。でも険悪だったわけじゃない。普通に友達だった)
一瞬の間に、クロエとの色んな思い出が脳裏を駆け抜ける。
私は殺意を込めて操縦レバーを押し込む。
ペダルを踏み、ジンを加速させる。
戦艦マルセイユⅢ級へ接近した。
私の狙いに気付いたのか、メビウスゼロから焦燥が伝わった。
『援護する! クロエの仇だ!』
オロールの声が無線から聞こえる。
すぐさま、ヘルヴァの警告が飛んだ。
『オロール、相手は手練れだ! 一機では!!』
オロール機とヘルヴァ機が飛翔し、私とメビウスゼロの間に入る。
私はジンのアサルトライフルを掃射した。
戦艦マルセイユⅢ級のエンジン部が大破する。
操舵不能になったのか、ふらふらと戦艦マルセイユⅢ級が前進する。
コロニーの外壁にぶつかり、戦艦マルセイユⅢ級が爆散した。
背後から、私は別の爆発を感じる。
私は機体を振り返らせる。
オロール機が大破していた。
やったのは、メビウスゼロだ。
『このっ!』
『連邦のエース! 取り逃がせば後の禍根となる、ここで堕とす!』
私とヘルヴァが身構えた途端、撤退信号が上がった。
殺気が私の中から引いていく。
拡張していた感覚も戻り、私の意識が体に帰ってくる。
『帰投命令!? どうして』
『ミゲルが機体を失った。ラスティは失敗し、まだ一機、地球軍に残っている。なまえは私と来い。他は引け。一度、体勢を立て直す』
冷淡なクルーゼ隊長の声が無線から聞こえる。
独り言に返答が来て、私は焦った。
モニターを見れば、クルーゼ隊長がいた。
噂通り、戦闘中にも関わらずクルーゼ隊長はパイロットスーツを着ていない。
私は思わず感心する。
(よほど自分の腕に自信があるんだな。隊長は、撃墜されない気満々だ)
クルーゼ隊長のシグーとすれ違う。
コロニー内へ逃げたのか、メビウスゼロもいない。
すでにヘルヴァや他の僚機はガモフへの帰投ルートへ入っていた。
クルーゼ隊長から通信があり、ミゲルの位置が転送されてくる。
ミゲルを示す赤い点は、宇宙港へ向かって動いていた。
『敵の注意は私が引き付ける。なまえはミゲルを回収しろ』
私が了承すると、クルーゼ隊長の通信が途絶した。
クルーゼ隊長のシグーが、メビウスゼロへ威嚇射撃をした。
ヘリオポリスの宇宙港へシグーが侵入する。
メビウスゼロも宇宙港へ消えていく。
私はジンを加速させ、ヘリオポリスへ向ける。
奇妙な冷然とした気配が私の全身を通り抜けた。
涼し気な秋の夜風に似た気配だ。
驚いて、とっさに私はジンの計器に目を走らせる。何も異常はない。
ヘリオポリスの内部から、また見知らぬ機体が飛び出してくる。
私は周波数を合わせて、アスランへ通信した。
『アスラン! アスラン・ザラ、聞こえますか!? 中の状況は!?』
驚いた顔をしたアスランが、モニター上に現れた。
すぐに表情を引き締めて、アスランが私に返答する。
『ジンが一機、新型が一機動いています! どちらも乗っているのは地球軍の士官です』
『ジンが!? まさかコーディネーターのパイロットが……』
アスランの表情が、一瞬曇る。
何かアスランが隠している、と私は察知した。
『わからないが、気を付けてください! どちらも手ごわい!』
私はアスランに頷き返す。
すれ違いざま、アスランから様々な感情が私に飛んできた。
(奇妙なほど強い私への心配と、暖かい親しみ? どうしてだろう……私とアスランは、ほぼ初対面なのに。格納庫でも、アスランは私と誰かを間違えていた。キラって私を呼んでいたような……)
私は不思議に思いながら、気持ちを切り替える。
モニターに映るコロニーが、ぐんぐん近づいて来る。
ヘリオポリスの宇宙港から、私は内部に侵入した。