ミステリー要素ありなので、話が込み入ってきました。最初は夢主の名前を出さないつもりだったので、少し読みにくい部分があるかもしれません。
DC×刀剣乱舞×相棒 越境者
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「おやおや、公安案件とは穏やかではありませんねえ」
飄々とした男の声が響く。
聞き覚えのある声に、コナンはギョッとした。
振り向いた先にいたのは、小柄な男性と瘦身の男性のコンビだった。
小柄な方は杉下右京。杉下はコナンの正体が工藤新一だと知っており、協力関係にある人物だ。
「杉下さん、それと……」
「どうも、新しく特命係に着任した神戸です。君がコナンくんだね。お噂は、杉下警部からかねがね」
神戸が身を屈め、コナンと目線を合わせる。
コナンと握手をした後、神戸が安室を見た。
にこやかな神戸とは対照的に、安室の表情はどこか硬い。
コナンは(おや)と思った。
「雑談はそこまでにしてもらおう。先ほど風見警部補が言ったように、本件は我々が担当する。一課、および特命係は必要ない」
作り物めいた男が発言した。
外見と同じく、冷ややかな声音だ。
佐藤刑事が肩を怒らせ、前のめりになる。
「だから、あまりに横暴だと言っているの! これは私たちのヤマよ」
「佐藤くんの言うとおりだ。突然の要望に承服しかねる。せめて説明が欲しい」
佐藤刑事と目暮警部が抗議する。
作り物めいた男が鼻で笑った。
「これは要望ではなく命令だ。そちらの意志は関係ない」
佐藤刑事が顔色を変え、目暮警部が息を呑む。
同僚のはずの風見も、不快な顔で男を見た。
佐藤刑事が言い返そうとしたとき、靴音が聞こえた。
「あれ? もしかして揉めてる? ダメだよ、長谷部ちゃん。他部署と揉めちゃ」
安室と杉下が、驚愕した顔で声の方を見た。
コナンも聞き覚えのある声に瞠目し、声の持ち主を見上げる。
一瞬だけ、黒髪の優男が立っているとコナンは思った。
先ほど安室が見せてくれた写真にいた、萩原だ。
コナンが瞬きをすると、萩原の姿がかき消える。
廊下に立っていたのは銀髪の男だった。
赤い瞳に白皙の容華が人目を引く。
一度見たら忘れられない、人形の如き男だった。
ダークスーツを着て、黒いネクタイを締めている。
高そうな黒いコートも着ていた。
銀髪の男が困った顔で笑いながら、風見を示す。
「警視庁の風見さんだって困っているでしょ。そもそも、刑事部が捜査に当たってくれていたのを、こっちが横からかっさらうんだから。もう少し礼儀を尽くさなきゃね」
銀髪の男が長谷部の肩に腕を組み、低く囁いた。
コナンは耳を澄ます。
「トラブルは、あの人の意思に反する」
長谷部が舌打ちし、銀髪の男に言い返した。
「俺は自らの務めを果たしただけだ。遅参した貴様に何かを言う権利など」
「いやー、悪い悪い、遅れちまって。上とやり取りしていたら、長引いてさ」
「上とは、どの上でしょう」
杉下が、銀髪の男に問いかけた。
銀髪の男が何かに気付いた顔をした。
長谷部の肩から腕を離し、杉下に握手を求めた。
「特命係の杉下警部ですね。初めまして、公安の長船です。お話は色々と……官房長から」
「なるほど、上とは小野田さんでしたか。では、公安の介入は警察庁の意向ですか」
「詳しくは言えませんが……あの人の諸々は、私より杉下さんのほうがよくご存じでしょう」
「確かに。では、共通の知人を持つ誼で、なぜ公安がこの案件を引っ張ったのか、教えていただけますか」
「あらら。そこ聞いちゃいます? 痛いとこ突いてくるなあ、貴方」
「よく言われます」
長船と杉下が表面的な笑みを交わす。
長船が微笑を浮かべ、肩を竦めた。
長谷部が顔を顰める。
「おい」
「仕方ないでしょ。俺、杉下さんのファンだし。そっちの刑事さんたちは被害者保護してくれたし。風見さんの意見は?」
風見が眼鏡を押し上げた。
コナンの見間違いでなければ、風見は冷や汗を浮かべている。
「今回、自分の任務はあなた方のサポートです。長船警部の意見に従います」
「ありがとう。じゃあ、真面目な話と行きますか。長谷部」
軽薄だった長船の雰囲気が、引き締まった雰囲気へ変化する。
その落差に、コナンはごくりと生唾を呑んだ。
(なんだ、この人? まるで抜き身の刀みてえな……)
長谷部が自分のスマホを操作し、コナンたちに画面を見せた。
スマホの画面には、壊れた注射器が写っている。
佐藤刑事と目暮警部が息を呑んだ。
「これは」
「まさか、犯行に使用された注射器かね?」
「おそらく。DNA鑑定と、薬品の成分分析は科捜研に依頼済みです。すぐに結果が出るでしょう」
風見が説明する。長谷部が続けた。
「この注射器を捨てた人物も、すでに判明している。防犯カメラに写っていた。被害者が歩いていたエリア近隣の防犯カメラも調査済みだ」
「まさか、犯人がもうわかったの!?」
「では、なぜ逮捕しない!?」
佐藤刑事と目暮警部の疑問の声を上げる。
コナンは口を開いた。
「何か逮捕できない理由があるんだね」
「まさか、お偉いさんの息子とか?」
神戸が尋ねる。
「いえ、そうではないでしょう。すでに犯人は姿を晦ましたか、もしくは……」
「公安が内偵中の組織の一員、とか」
杉下の発言に安室が被せる。
安室の不穏な発言に、佐藤刑事が驚いた顔をした。
長船が頷く。
「その通り。犯人は、我々公安がマークしている組織の一員だった。今、Nシステムと人海戦術で追跡しているが……残念ながら、行方を掴めていない」
コナンの脳裏に黒ずくめの組織のメンバーが浮かんだ。
同時に疑問も生じる。
「そんな……なぜ、そんな組織が彼女を狙うの!? あの人は普通の民間人でしょ!?」
佐藤刑事の発言は、コナンの疑問と全く同じだった。
(行きずりの犯行もしくは……何か、見てはいけないモノを見てしまった。トロピカルランドでの、俺のように)
「杉下さん。確か、彼女の職業って作家ですよね? 今回の事件、彼女の作品と何か関連が?」
神戸の質問に、佐藤刑事と目暮警部が目を丸くする。
「えっ、作家?」
「本当かね。神戸くん、杉下警部」
「え、みんな知らないんですか?」
神戸が目を白黒させる。杉下が口の端で笑った。
「彼女、自分が作家だと隠していますからねえ。いわゆる、覆面作家ですよ。本名も学歴も非公開。松田刑事ですら、彼女のペンネームや著作を知らないはずです」
「どうして? 旦那さんにも知られたくないジャンルを書いてるってこと?」
コナンの質問に、杉下が首を横に振る。
「彼女の書くジャンルはファンタジーですよ。架空の国、架空の生物が登場するハイ・ファンタジー。何作が頂きましたが、どれも素晴らしい作品です。人生は素晴らしい、人間には生きる価値がある、と普遍的なテーマを読者に訴えかけています。年齢、性別を問わず、幅広い支持を得ているようですね。家族にすらペンネームを明かさないのは、恥ずかしいから。僕も、決して感想を言わないとの約束で著作を頂いています」
「でも、その口ぶりだと杉下警部は知っているんですよね? なぜですか?」
「随分、松田君の奥さんと親しいようですな」
佐藤刑事と目暮警部の目に疑念が浮かぶ。
「少々ご縁がありまして」
「確か、高校生の時にいきなり特命係を訪ねて来たんですよね?」
神戸が助け船を出した。杉下が頷く。
「彼女、刑事ドラマも好きなので一度、現役の警察官に会ってみたかったようですよ。いやあ、懐かしいですねえ。警視庁内も見てみたかったようで、亀山君と一緒に見学ツアーを。ほら、僕たち暇な部署ですから」
杉下の発言に、目暮警部や佐藤刑事が苦笑いする。だが、コナンは奇妙さを感じていた。
(おかしい……明らかに、杉下警部は何か隠している。それに、この長船と長谷部って人、本当に公安なのか? 風見さんが安室さんに怯えている。安室さんも、この二人を訝しんでいるみてえだし……一体、なんなんだ? 何が起こっている?)
「僕からしてみれば、彼女は長く成長を見守ってきたお嬢さんです。成人式の際、振り袖姿も見せていただきました。一度、お見舞いさせていただきたいのですが可能ですか?」
長船が笑う。何かを隠した切ない笑みだった。
「もちろん。貴方が訪ねれば、松田も喜ぶでしょう」
飄々とした男の声が響く。
聞き覚えのある声に、コナンはギョッとした。
振り向いた先にいたのは、小柄な男性と瘦身の男性のコンビだった。
小柄な方は杉下右京。杉下はコナンの正体が工藤新一だと知っており、協力関係にある人物だ。
「杉下さん、それと……」
「どうも、新しく特命係に着任した神戸です。君がコナンくんだね。お噂は、杉下警部からかねがね」
神戸が身を屈め、コナンと目線を合わせる。
コナンと握手をした後、神戸が安室を見た。
にこやかな神戸とは対照的に、安室の表情はどこか硬い。
コナンは(おや)と思った。
「雑談はそこまでにしてもらおう。先ほど風見警部補が言ったように、本件は我々が担当する。一課、および特命係は必要ない」
作り物めいた男が発言した。
外見と同じく、冷ややかな声音だ。
佐藤刑事が肩を怒らせ、前のめりになる。
「だから、あまりに横暴だと言っているの! これは私たちのヤマよ」
「佐藤くんの言うとおりだ。突然の要望に承服しかねる。せめて説明が欲しい」
佐藤刑事と目暮警部が抗議する。
作り物めいた男が鼻で笑った。
「これは要望ではなく命令だ。そちらの意志は関係ない」
佐藤刑事が顔色を変え、目暮警部が息を呑む。
同僚のはずの風見も、不快な顔で男を見た。
佐藤刑事が言い返そうとしたとき、靴音が聞こえた。
「あれ? もしかして揉めてる? ダメだよ、長谷部ちゃん。他部署と揉めちゃ」
安室と杉下が、驚愕した顔で声の方を見た。
コナンも聞き覚えのある声に瞠目し、声の持ち主を見上げる。
一瞬だけ、黒髪の優男が立っているとコナンは思った。
先ほど安室が見せてくれた写真にいた、萩原だ。
コナンが瞬きをすると、萩原の姿がかき消える。
廊下に立っていたのは銀髪の男だった。
赤い瞳に白皙の容華が人目を引く。
一度見たら忘れられない、人形の如き男だった。
ダークスーツを着て、黒いネクタイを締めている。
高そうな黒いコートも着ていた。
銀髪の男が困った顔で笑いながら、風見を示す。
「警視庁の風見さんだって困っているでしょ。そもそも、刑事部が捜査に当たってくれていたのを、こっちが横からかっさらうんだから。もう少し礼儀を尽くさなきゃね」
銀髪の男が長谷部の肩に腕を組み、低く囁いた。
コナンは耳を澄ます。
「トラブルは、あの人の意思に反する」
長谷部が舌打ちし、銀髪の男に言い返した。
「俺は自らの務めを果たしただけだ。遅参した貴様に何かを言う権利など」
「いやー、悪い悪い、遅れちまって。上とやり取りしていたら、長引いてさ」
「上とは、どの上でしょう」
杉下が、銀髪の男に問いかけた。
銀髪の男が何かに気付いた顔をした。
長谷部の肩から腕を離し、杉下に握手を求めた。
「特命係の杉下警部ですね。初めまして、公安の長船です。お話は色々と……官房長から」
「なるほど、上とは小野田さんでしたか。では、公安の介入は警察庁の意向ですか」
「詳しくは言えませんが……あの人の諸々は、私より杉下さんのほうがよくご存じでしょう」
「確かに。では、共通の知人を持つ誼で、なぜ公安がこの案件を引っ張ったのか、教えていただけますか」
「あらら。そこ聞いちゃいます? 痛いとこ突いてくるなあ、貴方」
「よく言われます」
長船と杉下が表面的な笑みを交わす。
長船が微笑を浮かべ、肩を竦めた。
長谷部が顔を顰める。
「おい」
「仕方ないでしょ。俺、杉下さんのファンだし。そっちの刑事さんたちは被害者保護してくれたし。風見さんの意見は?」
風見が眼鏡を押し上げた。
コナンの見間違いでなければ、風見は冷や汗を浮かべている。
「今回、自分の任務はあなた方のサポートです。長船警部の意見に従います」
「ありがとう。じゃあ、真面目な話と行きますか。長谷部」
軽薄だった長船の雰囲気が、引き締まった雰囲気へ変化する。
その落差に、コナンはごくりと生唾を呑んだ。
(なんだ、この人? まるで抜き身の刀みてえな……)
長谷部が自分のスマホを操作し、コナンたちに画面を見せた。
スマホの画面には、壊れた注射器が写っている。
佐藤刑事と目暮警部が息を呑んだ。
「これは」
「まさか、犯行に使用された注射器かね?」
「おそらく。DNA鑑定と、薬品の成分分析は科捜研に依頼済みです。すぐに結果が出るでしょう」
風見が説明する。長谷部が続けた。
「この注射器を捨てた人物も、すでに判明している。防犯カメラに写っていた。被害者が歩いていたエリア近隣の防犯カメラも調査済みだ」
「まさか、犯人がもうわかったの!?」
「では、なぜ逮捕しない!?」
佐藤刑事と目暮警部の疑問の声を上げる。
コナンは口を開いた。
「何か逮捕できない理由があるんだね」
「まさか、お偉いさんの息子とか?」
神戸が尋ねる。
「いえ、そうではないでしょう。すでに犯人は姿を晦ましたか、もしくは……」
「公安が内偵中の組織の一員、とか」
杉下の発言に安室が被せる。
安室の不穏な発言に、佐藤刑事が驚いた顔をした。
長船が頷く。
「その通り。犯人は、我々公安がマークしている組織の一員だった。今、Nシステムと人海戦術で追跡しているが……残念ながら、行方を掴めていない」
コナンの脳裏に黒ずくめの組織のメンバーが浮かんだ。
同時に疑問も生じる。
「そんな……なぜ、そんな組織が彼女を狙うの!? あの人は普通の民間人でしょ!?」
佐藤刑事の発言は、コナンの疑問と全く同じだった。
(行きずりの犯行もしくは……何か、見てはいけないモノを見てしまった。トロピカルランドでの、俺のように)
「杉下さん。確か、彼女の職業って作家ですよね? 今回の事件、彼女の作品と何か関連が?」
神戸の質問に、佐藤刑事と目暮警部が目を丸くする。
「えっ、作家?」
「本当かね。神戸くん、杉下警部」
「え、みんな知らないんですか?」
神戸が目を白黒させる。杉下が口の端で笑った。
「彼女、自分が作家だと隠していますからねえ。いわゆる、覆面作家ですよ。本名も学歴も非公開。松田刑事ですら、彼女のペンネームや著作を知らないはずです」
「どうして? 旦那さんにも知られたくないジャンルを書いてるってこと?」
コナンの質問に、杉下が首を横に振る。
「彼女の書くジャンルはファンタジーですよ。架空の国、架空の生物が登場するハイ・ファンタジー。何作が頂きましたが、どれも素晴らしい作品です。人生は素晴らしい、人間には生きる価値がある、と普遍的なテーマを読者に訴えかけています。年齢、性別を問わず、幅広い支持を得ているようですね。家族にすらペンネームを明かさないのは、恥ずかしいから。僕も、決して感想を言わないとの約束で著作を頂いています」
「でも、その口ぶりだと杉下警部は知っているんですよね? なぜですか?」
「随分、松田君の奥さんと親しいようですな」
佐藤刑事と目暮警部の目に疑念が浮かぶ。
「少々ご縁がありまして」
「確か、高校生の時にいきなり特命係を訪ねて来たんですよね?」
神戸が助け船を出した。杉下が頷く。
「彼女、刑事ドラマも好きなので一度、現役の警察官に会ってみたかったようですよ。いやあ、懐かしいですねえ。警視庁内も見てみたかったようで、亀山君と一緒に見学ツアーを。ほら、僕たち暇な部署ですから」
杉下の発言に、目暮警部や佐藤刑事が苦笑いする。だが、コナンは奇妙さを感じていた。
(おかしい……明らかに、杉下警部は何か隠している。それに、この長船と長谷部って人、本当に公安なのか? 風見さんが安室さんに怯えている。安室さんも、この二人を訝しんでいるみてえだし……一体、なんなんだ? 何が起こっている?)
「僕からしてみれば、彼女は長く成長を見守ってきたお嬢さんです。成人式の際、振り袖姿も見せていただきました。一度、お見舞いさせていただきたいのですが可能ですか?」
長船が笑う。何かを隠した切ない笑みだった。
「もちろん。貴方が訪ねれば、松田も喜ぶでしょう」