ミステリー要素ありなので、話が込み入ってきました。最初は夢主の名前を出さないつもりだったので、少し読みにくい部分があるかもしれません。
DC×刀剣乱舞×相棒 越境者
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「死んでいるって、そんな……詳しく聞かせて。三年前って、もしかして観覧車の事件?」
安室が強張った顔のまま、頷く。
「三年前の十一月七日。松田は杯戸ショッピングモールの大観覧車で殉職した。ゴンドラに仕掛けられた爆弾の解体中だったらしい。……松田の技術は完璧だった。本来なら解体出来る爆弾だったが、犯人のせいで解体できなかったんだ。爆発の三秒前、次の爆弾を仕掛けた場所のヒントを表示すると犯人から連絡があり、犠牲となった」
安室が、柔らかく切ない表情になる。
「次の爆弾は、米花町近郊の病院に仕掛けられているとわかっていてね。でも、病院の特定ができなかったんだ。松田は死の寸前にヒントを見て、佐藤刑事に連絡……あいつは手先が器用だったから、メールを打つのも早かった。最後まで冷静に、警察官としての職務を全うしたんだ」
「随分詳しいんだね、松田刑事のこと」
安室が微笑み、目を閉じる。
「警察学校の同期なんだ。学生の頃は、随分やんちゃしたものさ。そうだ、捜査の役に立つかもしれないし、この写真を見せてあげるよ」
安室が自分のスマホを取り出した。
画面には、五人の青年の写真があった。
コナンは目を見開く。頭のどこか、使っていない回路が開く気分だった。強烈なデジャブ。
「左から、諸伏、松田、伊達、僕。そして萩原だ……ん?」
何か違和感を持ったのか、安室が首を傾げた。
「ねえ、安室さん。前にもこの写真、見せてくれたことあったよね? どこだったか、覚えてる?たしか、どこかの地下室だった気がするんだけど」
「……いや、記憶にない。見せるはずもない。この写真は、僕の素性に関わるもので……だが、確かにどこかで……」
「安室さんが、松田刑事に最後に会ったのはいつ?」
安室が眉を顰める。
一度大きく息を吸い込み、瞬きをした。
「三年前の十一月六日。萩原の墓参りだった。久しぶりに同期四人で集まったんだ。その次の日に」
安室が、机の上で組んだ両手に力を込める。
俯いてしまい、コナンから安室の顔が見えなくなる。
「まさか、あんなことが起きるなんてね……」
安室の声には、深い悲しみが滲んでいた。
コナンはまじまじと安室を観察した。
(とても、安室さんが嘘をついているようには見えねえが……)
コナンの疑念が伝わったのか、安室が顔を上げる。
硬い表情で、安室が訴えた。
「松田は死んだ。僕は松田の墓の場所も知っている。葬式だって出たんだ。証人は僕の他にもいる。高木刑事だよ。あと、おそらく佐藤刑事……救急車に同乗する松田を見て、血相を変えていたから」
「でも、佐藤刑事はさっき、普通に松田刑事について話していたけど……」
「その点が奇妙なんだ。コナンくん、君は松田と一緒に救急車に同乗したから、見ていないだろうけど……佐藤刑事、高木刑事を叱ったんだ。松田さんは死んだはずって呟いた高木刑事に、変なこと言わないで頂戴! って」
「白鳥警部や目暮警部の様子はどう? この病院に来ているんでしょう?」
「さっきチラッと様子を見たけれど、目暮警部たちは松田の存在を受け入れていたよ。白鳥警部なんて、高木刑事をからかっていた。高木くんも人が悪い。さっきのは笑えないジョークだよって。まだ佐藤刑事が少しピリピリしているからね」
「安室さん、松田刑事と話した? 可能性は低いけど、誰かが変装しているんじゃ……」
安室が首を横に振る。
「いや、変装の線は薄い。ただ松田に変装しているだけなら、記憶の齟齬に説明がつかない。風見にも調べさせたが、なぜか松田の殉職そのものがなかったことになっている」
「でも松田刑事の死を覚えている人と、覚えていない人が存在する……」
「そう。現状発生している問題は、記憶の書き換えや洗脳に近い。松田の挙動や発言も、本人としか思えない。まあ、僕ともう少し長く話したら、どこかボロが出るかもしれないけどね」
安室が唇を噛んだ。
一度目を閉じ、壁の方に顔を逸らす。
深呼吸をして、安室がコナンを振り返った。
「コナンくん、なぜ君は松田と共に救急車に同乗した? 君も、何か感じていたんじゃないか?」
コナンは口を閉じ、数時間前の記憶を思い出した。
救急車とパトカーのサイレン。
蘭の静止の声。
扉が閉まる寸前の救急車。
飛び乗った救急車内で見た、心配そうな松田と気絶した女性。
松田は、女性の手を握って声をかけ続けていた。松田の挙動に不自然な点はなかった。だが、なんともぬぐえぬ違和感がコナンの中にもある。
コナンが答えようとしたとき、怒号が聞こえた。
佐藤刑事や目暮警部の声だ。
「ちょっと待ってください! あまりに横暴です!!」
「連続通り魔事件を、なぜ公安が担当する!? 説明してくれ!」
コナンと安室は目を見開いた。
ドアを開け、室外へ出る。
廊下で数人の大人が向き合っていた。
目暮警部、佐藤刑事、公安の風見。
もう一人は、コナンの知らない男だ。
ハーフなのか、藤色の目と煤色の髪。端正な顔立ちだが冷淡な印象が強い。
コナンは冷ややかな殺気を男から感じた。押さえているようだが、男は何かにイラついている。
(なんだ、この人? すごく綺麗な顔だけど……まるで作り物みてえな……)
安室に気付いた風見が、わずかに顔を強張らせた。だが、目暮警部たちに淡々と通達する。
「今回の事件は、今まで発生した四件の通り魔事件とは関係がありません。ゆえに、我々公安が担当します」