ミステリー要素ありなので、話が込み入ってきました。最初は夢主の名前を出さないつもりだったので、少し読みにくい部分があるかもしれません。
DC×刀剣乱舞×相棒 越境者
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救急車の音が建物の外から聞こえる。
廊下を慌ただしく、何人もの警察関係者が通っていく。
「ごめんなさいね、なんだかバタバタしていて」
ドアを開けて、佐藤刑事が入ってくる。
コナンは子供らしい愛想笑いを浮かべた。
「ううん、全然大丈夫だよ! 刑事さんたち、忙しそうだね」
「そうね、もう通り魔事件が五件目だから……」
佐藤刑事の表情に影が差す。
「松田くんなんて、自分の奥さんが被害にあったからキレちゃって。今、事情聴取を受けているけれど後が心配。松田くんは、もう捜査から外される。家族、知人が事件に関わった時、警察官は捜査できない。だから、独断で動くんじゃないかしら。三年前と、今年の事件みたいに」
コナンは頷いた。
「観覧車の事件と、東都タワーの事件だね」
コナンは東都タワーの事件を思い出した。
東都タワーの事件の際、コナンは高木刑事と一緒にエレベーター内に閉じ込められた。
エレベーター上部にあった爆弾を松田刑事の指示のもと、コナンが解体。
爆弾犯は佐藤刑事と高木刑事、松田刑事が逮捕した。
この爆弾犯は、三年前に観覧車爆破未遂事件、病院爆破未遂事件。
七年前にも高層マンション爆破事件を起こしている。
七年前の爆破事件では、機動隊爆発物処理班の萩原隊員を含む十数名が殉職。
萩原隊員は、松田刑事の親友だったそうだ。
「ねえ、佐藤刑事。東都タワーの時の犯人って、今も収監されているんだよね?」
「もちろんよ。だから、あの犯人と今回の事件は無関係なはずだわ。七年前の事件で共犯は死んでいるし、他に仲間はいないようだから」
「今回の通り魔事件って、どんな事件なの? 若い女性ばかり狙われるってニュースで見たけど、被害者の特徴は? みんな注射で刺されたの?」
「被害者の特徴は、二十代のロングヘアの女性ね。みんなスカートとハイヒールを履いていて、とっさに逃げにくい人を選んだみたい。すれ違いざまに髪を切られたり、バックをひったくられたり。三件目の被害者は、背中を刺された」
コナンは、なんとも嫌な予感がした。
「だんだん、手口が過激になってきているね」
「四件目の被害者は、帰宅途中にスタンガンで気絶させられて、誘拐されそうになったの。でも、運よく巡回中の警察官が通りがかって。被害者は保護できたけど、犯人は逃亡してしまったの」
(それで五件目が注射……妙だな。佐藤刑事の話を聞く限り、この通り魔事件は若い女性を狙った性犯罪に近い気がする。注射は薬物を入手するという手間がかかる。スタンガンを所持しているのに、わざわざ手口を変更するだろうか?)
「コナンくんが見つけた時には、もう記憶を失っていたのね」
「うん。スマホに向かって音声入力していたみたいだった。渚さん、ボクが話しかける前から、ちょっとフラフラしていて様子が変だったんだ。それで、名前がわからないって聞こえてきたから、びっくりして声をかけたんだけど……」
「音声入力?」
「うん。たぶん、渚さんも、わからないなりに自分の状況を残しておこうと思ったんじゃないかな」
「でも、どうして音声入力なのかしら」
佐藤刑事がメモを止める。
「普通、誰かに電話しようとするんじゃない? 通話履歴を見れば、松田くんや友人知人の連絡先も残っているはず。なぜ、彼女は誰にも助けを求めようとしなかったのかしら」
コナンは、発見時の女性の様子を思い浮かべた。
「……たぶんだけど、誰に電話していいかわからなかったんだと思う。渚さん、記憶が無いなりに、周りを警戒しているみたいだった。ねえ、スマホの内容ってわからないの?」
佐藤刑事が首を傾げる。
「えっ?」
「ボク、ちらっと見ちゃったんだけど、渚さんはインターネットの掲示板に繋いでいたみたいだった。もしかしたら、匿名掲示板に繋いで何か見ていたのかもしれない」
「……妙ね。普通、そんな状態で匿名掲示板なんて見るかしら」
「ボクも佐藤刑事と同じように思ったんだ。だから、渚さんのスマホを見れば、何かわかるんじゃないかと思ったんだけど」
「佐藤さん、少しよろしいですか」
白鳥刑事が入室してくる。
手には鑑識用の透明袋に入れられたスマホがあった。
黒いスマホだ。
「それ、渚さんが持っていたスマホじゃない?」
佐藤刑事が目を見開いた。
「コナンくん、それ本当? 私、彼女のスマホ見たことあるけど白いスマホだったような……」
白鳥刑事が息を呑む。
「松田さんも同じことを言っています。あいつのスマホじゃねえ、と」
佐藤刑事が不審そうに顔を顰める。
「つまり、別人のスマホってこと?」
「そのスマホ、情報は? 中には何が入っていたの?」
コナンの質問に、白鳥刑事が苦い顔をした。
「それが、このスマホ、妙なんですよ。電源が落ちていて、起動しないんです。松田さんがパスワードを入れようとしてもダメでした。正直、鑑識の方でもお手上げで」
「それは妙ね。じゃあ、科捜研に回したら……」
「目暮警部も、佐藤さんと同じ判断です。しかし、放っておくと、今にも松田さんが分解して調べ出しそうだったので、とりあえずコナンくんや安室さんにも見てもらおうと」
松田の様子を思い出したのか、白鳥が苦笑する。
「えっ、安室さん来てるの!? ポアロのバイトは!?」
コナンは瞠目した。
「おや。僕がここに来ていると、君に何か不都合があるのかな?」
再びドアが開く。
安室透が立っていた。安室透――本名、降谷零。
ある組織に潜入捜査中の、公安警察だ。
コナンは安室から不穏な気配を感じた。
(なんだ? 安室さん、何かを警戒している)
「佐藤さん、白鳥さん。少しいいですか?」
扉の外から、高木刑事が顔を出す。
佐藤刑事と白鳥刑事が呼ばれ、退出していく。
ほんの一瞬、高木刑事と安室が何か目で合図し合った。
安室が緊張した顔で、佐藤刑事と白鳥刑事を見送る。
「安室さんがそんな顔をしているなんて。何があったの?」
「コナン君、正直に言うよ。僕は今、とても動揺している」
安室が額を拭った。
冷や汗をかいているのか、安室の顔色が悪い。
声がかすかに震えている。
「死んだはずの人間に会った」
「えっ」
コナンは言葉を失った。
安室が椅子に座り、コナンにぐっと身を乗り出す。
低く、重く安室が囁いた。
「松田陣平。あいつは三年前に死んでいる」
廊下を慌ただしく、何人もの警察関係者が通っていく。
「ごめんなさいね、なんだかバタバタしていて」
ドアを開けて、佐藤刑事が入ってくる。
コナンは子供らしい愛想笑いを浮かべた。
「ううん、全然大丈夫だよ! 刑事さんたち、忙しそうだね」
「そうね、もう通り魔事件が五件目だから……」
佐藤刑事の表情に影が差す。
「松田くんなんて、自分の奥さんが被害にあったからキレちゃって。今、事情聴取を受けているけれど後が心配。松田くんは、もう捜査から外される。家族、知人が事件に関わった時、警察官は捜査できない。だから、独断で動くんじゃないかしら。三年前と、今年の事件みたいに」
コナンは頷いた。
「観覧車の事件と、東都タワーの事件だね」
コナンは東都タワーの事件を思い出した。
東都タワーの事件の際、コナンは高木刑事と一緒にエレベーター内に閉じ込められた。
エレベーター上部にあった爆弾を松田刑事の指示のもと、コナンが解体。
爆弾犯は佐藤刑事と高木刑事、松田刑事が逮捕した。
この爆弾犯は、三年前に観覧車爆破未遂事件、病院爆破未遂事件。
七年前にも高層マンション爆破事件を起こしている。
七年前の爆破事件では、機動隊爆発物処理班の萩原隊員を含む十数名が殉職。
萩原隊員は、松田刑事の親友だったそうだ。
「ねえ、佐藤刑事。東都タワーの時の犯人って、今も収監されているんだよね?」
「もちろんよ。だから、あの犯人と今回の事件は無関係なはずだわ。七年前の事件で共犯は死んでいるし、他に仲間はいないようだから」
「今回の通り魔事件って、どんな事件なの? 若い女性ばかり狙われるってニュースで見たけど、被害者の特徴は? みんな注射で刺されたの?」
「被害者の特徴は、二十代のロングヘアの女性ね。みんなスカートとハイヒールを履いていて、とっさに逃げにくい人を選んだみたい。すれ違いざまに髪を切られたり、バックをひったくられたり。三件目の被害者は、背中を刺された」
コナンは、なんとも嫌な予感がした。
「だんだん、手口が過激になってきているね」
「四件目の被害者は、帰宅途中にスタンガンで気絶させられて、誘拐されそうになったの。でも、運よく巡回中の警察官が通りがかって。被害者は保護できたけど、犯人は逃亡してしまったの」
(それで五件目が注射……妙だな。佐藤刑事の話を聞く限り、この通り魔事件は若い女性を狙った性犯罪に近い気がする。注射は薬物を入手するという手間がかかる。スタンガンを所持しているのに、わざわざ手口を変更するだろうか?)
「コナンくんが見つけた時には、もう記憶を失っていたのね」
「うん。スマホに向かって音声入力していたみたいだった。渚さん、ボクが話しかける前から、ちょっとフラフラしていて様子が変だったんだ。それで、名前がわからないって聞こえてきたから、びっくりして声をかけたんだけど……」
「音声入力?」
「うん。たぶん、渚さんも、わからないなりに自分の状況を残しておこうと思ったんじゃないかな」
「でも、どうして音声入力なのかしら」
佐藤刑事がメモを止める。
「普通、誰かに電話しようとするんじゃない? 通話履歴を見れば、松田くんや友人知人の連絡先も残っているはず。なぜ、彼女は誰にも助けを求めようとしなかったのかしら」
コナンは、発見時の女性の様子を思い浮かべた。
「……たぶんだけど、誰に電話していいかわからなかったんだと思う。渚さん、記憶が無いなりに、周りを警戒しているみたいだった。ねえ、スマホの内容ってわからないの?」
佐藤刑事が首を傾げる。
「えっ?」
「ボク、ちらっと見ちゃったんだけど、渚さんはインターネットの掲示板に繋いでいたみたいだった。もしかしたら、匿名掲示板に繋いで何か見ていたのかもしれない」
「……妙ね。普通、そんな状態で匿名掲示板なんて見るかしら」
「ボクも佐藤刑事と同じように思ったんだ。だから、渚さんのスマホを見れば、何かわかるんじゃないかと思ったんだけど」
「佐藤さん、少しよろしいですか」
白鳥刑事が入室してくる。
手には鑑識用の透明袋に入れられたスマホがあった。
黒いスマホだ。
「それ、渚さんが持っていたスマホじゃない?」
佐藤刑事が目を見開いた。
「コナンくん、それ本当? 私、彼女のスマホ見たことあるけど白いスマホだったような……」
白鳥刑事が息を呑む。
「松田さんも同じことを言っています。あいつのスマホじゃねえ、と」
佐藤刑事が不審そうに顔を顰める。
「つまり、別人のスマホってこと?」
「そのスマホ、情報は? 中には何が入っていたの?」
コナンの質問に、白鳥刑事が苦い顔をした。
「それが、このスマホ、妙なんですよ。電源が落ちていて、起動しないんです。松田さんがパスワードを入れようとしてもダメでした。正直、鑑識の方でもお手上げで」
「それは妙ね。じゃあ、科捜研に回したら……」
「目暮警部も、佐藤さんと同じ判断です。しかし、放っておくと、今にも松田さんが分解して調べ出しそうだったので、とりあえずコナンくんや安室さんにも見てもらおうと」
松田の様子を思い出したのか、白鳥が苦笑する。
「えっ、安室さん来てるの!? ポアロのバイトは!?」
コナンは瞠目した。
「おや。僕がここに来ていると、君に何か不都合があるのかな?」
再びドアが開く。
安室透が立っていた。安室透――本名、降谷零。
ある組織に潜入捜査中の、公安警察だ。
コナンは安室から不穏な気配を感じた。
(なんだ? 安室さん、何かを警戒している)
「佐藤さん、白鳥さん。少しいいですか?」
扉の外から、高木刑事が顔を出す。
佐藤刑事と白鳥刑事が呼ばれ、退出していく。
ほんの一瞬、高木刑事と安室が何か目で合図し合った。
安室が緊張した顔で、佐藤刑事と白鳥刑事を見送る。
「安室さんがそんな顔をしているなんて。何があったの?」
「コナン君、正直に言うよ。僕は今、とても動揺している」
安室が額を拭った。
冷や汗をかいているのか、安室の顔色が悪い。
声がかすかに震えている。
「死んだはずの人間に会った」
「えっ」
コナンは言葉を失った。
安室が椅子に座り、コナンにぐっと身を乗り出す。
低く、重く安室が囁いた。
「松田陣平。あいつは三年前に死んでいる」