ミステリー要素ありなので、話が込み入ってきました。最初は夢主の名前を出さないつもりだったので、少し読みにくい部分があるかもしれません。
DC×刀剣乱舞×相棒 越境者
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案内された会議室では、安室の見知らぬスーツの男が待っていた。
メガネをかけた神経質そうな男だ。
神戸とスーツのメガネ男が、互いに驚いた表情をする。
小野田がいつも通りの柔和な表情で、スーツの男を見た。
「時間もないし、本題に入ろうか。大河内くん、説明を」
大河内が手元の機材を操作し、照明が落ちた。
すでに垂れていたスクリーンに、数名の顔写真が写る。
安室の身体が一瞬、硬直した。
スクリーンの写真の中に、諸伏景光がいた。
大河内の淡々とした声が響く。
「彼らは全員、六年前に警視庁公安部にいた捜査員たちです。担当事件は、反米イスラム過激派テロリストの捜査でした。テロリストの潜伏場所だった船内を捜査中、爆弾が爆発。爆発に巻き込まれ、捜査員一名が殉職。捜査チームにいた他の捜査員も、この六年間にほぼ全員が変死しています」
安室は瞠目した。
(ほぼ全員が変死?)
違和感が、驚愕に塗り潰されていく。
直視してしまった、諸伏の遺体を安室は思い出す。
あの夜の冷たい風が、安室の頬を撫でて行った気がした。
諸伏景光は安室の幼馴染であり、警察学校でも同期だった。
安室と同じ組織に諸伏も潜入していたが、殉職した。
諸伏は自殺だった。胸ポケットにしまったスマホごと、諸伏は自分の心臓を撃ち抜いた。
潜入捜査員だと、潜入先の犯罪組織に露見したからだ。
スマホごと諸伏が心臓を撃ち抜いたのは、家族や友人の個人情報を、犯罪組織に渡さないためだった。
安室の腹の底から、ぐらぐらと熱い憎しみと怒りが湧き上がる。
諸伏の自殺の現場には、FBIからの潜入捜査官だった赤井秀一がいた。
(赤井ほどの男ならば、いくらでもヒロを自殺させない手段を選べたはずなのに……あの男は、ヒロを……!)
神戸の驚きの声が、安室を現実に引き戻す。
「彼女」と神戸が、写真の中の一人を指差した。
長い黒髪の女性の写真だ。
杉下が頷く。
「なるほど、朝比奈圭子。一昨日発生した、警視庁立てこもり事件の関係者ですね。犯人である、八重樫哲也の同期」
安室は冷たい戦慄と、奇妙な齟齬を感じる。
一昨日、警視庁で発生した立てこもり事件の詳細は、安室も風見から聞いていた。
警視総監以下、警視庁の幹部十二人の集まる定例部長会議に不審者が侵入。
不審者は幹部十二人を人質に取り、会議室に籠城した。
迅速に機動隊と刑事部特殊犯が対応し、会議室に突入。
会議室内にいた幹部たちも不審者に抵抗し、もみ合いの末、拳銃が暴発。
不審者は死亡した。
しかし、不審者の素性も死に方も警察にとって不都合だった。
不審者の素性は、警視庁OBの八重樫哲也。
八重樫は懲戒免職者であり、事件の動機は警視庁への怨恨と予想できる。
不審者とはいえ死者が出ているため、警視庁幹部に対し、監察官聴取が行われた。
聴取の場でも正当防衛の意見が強く、検察には鈴木地域部長が発砲者と報告されたらしい。
(検察でも正当防衛が認められる可能性が高い。特命係の杉下さんだけが事件の結末に納得していない様子と、風見は報告していた。すでに警視庁内では終わった案件だが……)
神戸が難しい表情をしたまま、口を開く。
「一昨日、朝比奈さんも死亡していた可能性は十分ありましたよね。たまたま、エレベーターで僕と行き会い、なんとかなりましたが……もし、八重樫に連行されたまま、立てこもり事件に巻き込まれていたら、どうなっていたか」
安室は言葉にならない怒りと共に、掌を握り締めた。
(ヒロがノックだと組織にバレた原因は、未だに発覚していない。組織への内通者が警視庁にいる可能性もある。つまり……つまり、ヒロの死は。赤井のせいだけではなく)
「捜査員たちの変死は、誰かの故意。一昨日の立てこもり事件も、捜査員の連続殺人の一環だった。しかし、誰が? 八重樫ですか?」
安室の質問を、大河内が否定する。
「捜査員全員の殺害が、八重樫一人の犯行とは思えない。殺した人数が多すぎる。八重樫が関わっていると仮定しても、共犯者がいるはずだ。捜査員の死因は全員バラバラで、日時も不規則。現時点で、何かの法則性や接点は見えん」
大河内がスクリーン内のカーソルを動かす。
パッと一人一人の写真の上に、死因と死亡日時が表示される。
諸伏の死因と日時を見て、安室は瞠目した。
『十二月七日未明 屋上からの転落死』
(バカな! ヒロは拳銃自殺で、遺体も俺が適切に処理したはず……!)
「亡くなった捜査員の内、現在発生している松田警部補の事件との接点は一つ。諸伏景光です」
諸伏の写真がスクリーン上に大きく表示される。
「公安部のデータベースを確認したところ、諸伏のデータに、外部から不正アクセスされた形跡が発見されました。海外のサーバーを転々としており、発信元も不正アクセスの犯人も不明。サイバー犯罪対策課の調査によると、諸伏を含め、個人データに不正アクセスを受けた警察官は四人です。警視庁だけでなく、警察庁のデータベースへの侵入も確認されました」
大河内の操作で、スクリーンの内容が変わる。
安室の全身から冷や汗が噴き出した。
諸伏景光、伊達航、松田陣平、『降谷零』の名前と所属が標示された。
諸伏たち三人は顔写真も出ているが、『降谷零』のみ、名前と所属だけの表示だ。
「降谷零……警察庁警備局警備企画課……なるほど。以前、神戸くんがいた部署ですね」
あっさりとした杉下の指摘に、安室は胃の辺りが寒くなった。神戸の顔色も悪く見える。
「降谷くんたち四人の共通点及び、四人全員が関わった事件は?」
杉下が淡々と大河内に尋ねる。
「降谷を含む四人は、警察学校の同期です。彼ら四人が関わった事件のうち、未解決は一件のみ。三年前の十一月六日の爆破未遂事件が関わっていると思われます」
誰かの携帯の着信音が響く。
「失礼」と断ってから、杉下が通話に出た。相手の話を聞き、杉下が返答する。
「杉下です……なるほど。松田くんは米花サンプラザホテルから逃亡……現場は混乱している様子ですね。僕はまだ警察庁です。そのまま伊達くんは、松田くんを追わないでください。公安部の風見くんは、その場にいますか?」
杉下が電話口から顔を離した。「官房長」と一言、杉下が許可を促す。
小野田が頷く。
「強権を振るうのは趣味じゃないけど、今回は必要だよね。もう小田切くんには、話を通してあるから」
「どうもありがとう。伊達くんは、風見くんと共に行動してください。伊達くんの指摘通り、今回の事件は、松田くんを追跡しても解決しません。君たちには、頼みたいことがあります。移動するため、一旦切ります」
杉下が電話を切り、コートに携帯を仕舞う。
「神戸くん、君は大河内監察官と共に行動してください。警視庁内の捜査会議を頼みます。何か動きがあれば、逐一僕へ連絡を。そして、安室透くん」
杉下が振り向き、安室に向き直る。
毅然とした杉下の立ち姿に、安室は銃口を突き付けられた気分だった。
「君には、僕と行動してもらいます。よろしいですね」
メガネをかけた神経質そうな男だ。
神戸とスーツのメガネ男が、互いに驚いた表情をする。
小野田がいつも通りの柔和な表情で、スーツの男を見た。
「時間もないし、本題に入ろうか。大河内くん、説明を」
大河内が手元の機材を操作し、照明が落ちた。
すでに垂れていたスクリーンに、数名の顔写真が写る。
安室の身体が一瞬、硬直した。
スクリーンの写真の中に、諸伏景光がいた。
大河内の淡々とした声が響く。
「彼らは全員、六年前に警視庁公安部にいた捜査員たちです。担当事件は、反米イスラム過激派テロリストの捜査でした。テロリストの潜伏場所だった船内を捜査中、爆弾が爆発。爆発に巻き込まれ、捜査員一名が殉職。捜査チームにいた他の捜査員も、この六年間にほぼ全員が変死しています」
安室は瞠目した。
(ほぼ全員が変死?)
違和感が、驚愕に塗り潰されていく。
直視してしまった、諸伏の遺体を安室は思い出す。
あの夜の冷たい風が、安室の頬を撫でて行った気がした。
諸伏景光は安室の幼馴染であり、警察学校でも同期だった。
安室と同じ組織に諸伏も潜入していたが、殉職した。
諸伏は自殺だった。胸ポケットにしまったスマホごと、諸伏は自分の心臓を撃ち抜いた。
潜入捜査員だと、潜入先の犯罪組織に露見したからだ。
スマホごと諸伏が心臓を撃ち抜いたのは、家族や友人の個人情報を、犯罪組織に渡さないためだった。
安室の腹の底から、ぐらぐらと熱い憎しみと怒りが湧き上がる。
諸伏の自殺の現場には、FBIからの潜入捜査官だった赤井秀一がいた。
(赤井ほどの男ならば、いくらでもヒロを自殺させない手段を選べたはずなのに……あの男は、ヒロを……!)
神戸の驚きの声が、安室を現実に引き戻す。
「彼女」と神戸が、写真の中の一人を指差した。
長い黒髪の女性の写真だ。
杉下が頷く。
「なるほど、朝比奈圭子。一昨日発生した、警視庁立てこもり事件の関係者ですね。犯人である、八重樫哲也の同期」
安室は冷たい戦慄と、奇妙な齟齬を感じる。
一昨日、警視庁で発生した立てこもり事件の詳細は、安室も風見から聞いていた。
警視総監以下、警視庁の幹部十二人の集まる定例部長会議に不審者が侵入。
不審者は幹部十二人を人質に取り、会議室に籠城した。
迅速に機動隊と刑事部特殊犯が対応し、会議室に突入。
会議室内にいた幹部たちも不審者に抵抗し、もみ合いの末、拳銃が暴発。
不審者は死亡した。
しかし、不審者の素性も死に方も警察にとって不都合だった。
不審者の素性は、警視庁OBの八重樫哲也。
八重樫は懲戒免職者であり、事件の動機は警視庁への怨恨と予想できる。
不審者とはいえ死者が出ているため、警視庁幹部に対し、監察官聴取が行われた。
聴取の場でも正当防衛の意見が強く、検察には鈴木地域部長が発砲者と報告されたらしい。
(検察でも正当防衛が認められる可能性が高い。特命係の杉下さんだけが事件の結末に納得していない様子と、風見は報告していた。すでに警視庁内では終わった案件だが……)
神戸が難しい表情をしたまま、口を開く。
「一昨日、朝比奈さんも死亡していた可能性は十分ありましたよね。たまたま、エレベーターで僕と行き会い、なんとかなりましたが……もし、八重樫に連行されたまま、立てこもり事件に巻き込まれていたら、どうなっていたか」
安室は言葉にならない怒りと共に、掌を握り締めた。
(ヒロがノックだと組織にバレた原因は、未だに発覚していない。組織への内通者が警視庁にいる可能性もある。つまり……つまり、ヒロの死は。赤井のせいだけではなく)
「捜査員たちの変死は、誰かの故意。一昨日の立てこもり事件も、捜査員の連続殺人の一環だった。しかし、誰が? 八重樫ですか?」
安室の質問を、大河内が否定する。
「捜査員全員の殺害が、八重樫一人の犯行とは思えない。殺した人数が多すぎる。八重樫が関わっていると仮定しても、共犯者がいるはずだ。捜査員の死因は全員バラバラで、日時も不規則。現時点で、何かの法則性や接点は見えん」
大河内がスクリーン内のカーソルを動かす。
パッと一人一人の写真の上に、死因と死亡日時が表示される。
諸伏の死因と日時を見て、安室は瞠目した。
『十二月七日未明 屋上からの転落死』
(バカな! ヒロは拳銃自殺で、遺体も俺が適切に処理したはず……!)
「亡くなった捜査員の内、現在発生している松田警部補の事件との接点は一つ。諸伏景光です」
諸伏の写真がスクリーン上に大きく表示される。
「公安部のデータベースを確認したところ、諸伏のデータに、外部から不正アクセスされた形跡が発見されました。海外のサーバーを転々としており、発信元も不正アクセスの犯人も不明。サイバー犯罪対策課の調査によると、諸伏を含め、個人データに不正アクセスを受けた警察官は四人です。警視庁だけでなく、警察庁のデータベースへの侵入も確認されました」
大河内の操作で、スクリーンの内容が変わる。
安室の全身から冷や汗が噴き出した。
諸伏景光、伊達航、松田陣平、『降谷零』の名前と所属が標示された。
諸伏たち三人は顔写真も出ているが、『降谷零』のみ、名前と所属だけの表示だ。
「降谷零……警察庁警備局警備企画課……なるほど。以前、神戸くんがいた部署ですね」
あっさりとした杉下の指摘に、安室は胃の辺りが寒くなった。神戸の顔色も悪く見える。
「降谷くんたち四人の共通点及び、四人全員が関わった事件は?」
杉下が淡々と大河内に尋ねる。
「降谷を含む四人は、警察学校の同期です。彼ら四人が関わった事件のうち、未解決は一件のみ。三年前の十一月六日の爆破未遂事件が関わっていると思われます」
誰かの携帯の着信音が響く。
「失礼」と断ってから、杉下が通話に出た。相手の話を聞き、杉下が返答する。
「杉下です……なるほど。松田くんは米花サンプラザホテルから逃亡……現場は混乱している様子ですね。僕はまだ警察庁です。そのまま伊達くんは、松田くんを追わないでください。公安部の風見くんは、その場にいますか?」
杉下が電話口から顔を離した。「官房長」と一言、杉下が許可を促す。
小野田が頷く。
「強権を振るうのは趣味じゃないけど、今回は必要だよね。もう小田切くんには、話を通してあるから」
「どうもありがとう。伊達くんは、風見くんと共に行動してください。伊達くんの指摘通り、今回の事件は、松田くんを追跡しても解決しません。君たちには、頼みたいことがあります。移動するため、一旦切ります」
杉下が電話を切り、コートに携帯を仕舞う。
「神戸くん、君は大河内監察官と共に行動してください。警視庁内の捜査会議を頼みます。何か動きがあれば、逐一僕へ連絡を。そして、安室透くん」
杉下が振り向き、安室に向き直る。
毅然とした杉下の立ち姿に、安室は銃口を突き付けられた気分だった。
「君には、僕と行動してもらいます。よろしいですね」