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Welcome to the Villains' world

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学園長の後ろを小走りで付いていってると大きな扉の前で急に止まった。
中から話し声が聞こえ、聞き耳を立てていたかと思うと、学園長はドカッと大きな音を立てながら扉を開いた。

「違いますよ!」

大きな声で怒りながら叫ぶ

「まったくもう。新入生が二人足りないので探しに行っていたんです。さぁ、寮分けがまだなのは君だけですよ。狸くんは私が預かっておきますから、早く闇の鏡の前へ。」
「ふぐぐー!!!」

あぁ…なんだか可哀想だなと横目で見つつも、闇の鏡とやらの前に二人で歩きだした。ユウに先にどうぞと言われたので、前に進む……あぁ、、、、周りの目線が痛いよ…。遅れてきた新入生とか目立ちすぎちゃうよ…と顔を下げ足元をみながら出来るだけ、緊張しないように歩く。

「汝の名を告げよ」

闇の鏡が私に声をかけ、下げていた顔をあげた。
あ、これって、白雪姫に出てくる鏡じゃない?

苗字名前です。』
名前……汝の魂の形は……」

ごくりとツバを飲み込む。

「オクタヴィネル!」

オタクヴィネル?あ、私がオタクだからですか?

「ふむ、では、名前くんはあちらのアズールくんの方に向かってください」

脳内でボケをかましているうちに、学園長に背中を押され、アズールと呼ばれたメガネの青年の元へかけよる。イケメンだな…。

「ようこそ、オクタヴィネルへ。」と一言だけ微笑みかけられ、ポッとなってしまったのは言うまでもない。

次はユウくんの番だった…だけど、虚しくも彼の番には寮の名前はあげられなかったのだ…。

「なんですって?」学園長が声を荒げる。
「この者からは魔力の波長が一切感じられない…色も、形も、一切の無である。よって、どの寮にもふさわしくない!」

えぇ、、、そんなのってあり?私の夢の中だからとはいえ、私だけが振り分けられるのも胸糞悪いな…。魔力もなけりゃ、寮にも振り分けられないだなんてあんまりだよ…こういうのって最強設定みたいなのがつくんじゃないの?某頭に傷がついたメガネの少年みたいに…全部の寮にふさわしいから自分で選べ…みたいな…さぁ…。とユウくんを気の毒そうに眺めていると、周りがザワつき始めたことに気づく。

「魔法が使えないニンゲンを黒き馬車が迎えに行くなんてありえない!生徒選定の手違いなどこの100年ただの一度もなかったはず。一体なぜ……」

クロウリー学園長が声をあらげ悩ましげに仮面を直す。

「もごもご…ぷはっ!」

そこで忘れ去られていた存在が動きだした。

「だったらその席、オレ様に譲るんだゾ!」
「あっ待ちなさい!この狸!」

するりと学園長の鞭から抜け出した狸は堂々とした態度で喋り始める。

「そこのニンゲンと違ってオレ様は魔法が使えるんだゾ!だから代わりにオレ様を学校に入れろ!魔法ならとびっきりのを今見せてやるんだゾ!」

あ、あの構えは…と思った頃には遅く、赤毛の少年の声が広場に響く

「みんな伏せて!」

反応が遅れそうになった私に対して誰かがおいかぶさった。

「ん゛な゛〜〜〜!!」

狸の青い炎魔法が鏡の間に広がった。どこかしらで、尻が燃え上がったと叫ぶ声も聞こえてくる。

「このままでは学園が火の海です!誰かあの狸を捕まえてください!」

学園長がそう叫ぶと共に、うちの寮長が高らかに声をあげる
「クロウリー先生、このアズールめにお任せください。いたいけな小動物をいたぶって捕獲するというみなさんが嫌がる役目、この僕が儲け負います。」

そんなことは裏腹に、

「偉大なる魔法士になる男・グリムとはオレ様のことだぞー!」と狸は暴れ回ってるではないか…。ユウくん鏡の前でポカンと唖然としている。

「威勢のいい小動物ですね。リドルさん、お願いできますか?」

リドルと呼ばれた赤毛の男がコクンと頷き返事をする。

「違反者は見逃せないからね。さっさと済ませるとしよう。」

二人の男がグリムと名乗った狸を追いかけにいったのを確認し、私を庇ってくれていた人が起き上がり、体に自由が戻ってきたため、立ち上がった。

「大丈夫でしたか?」

おかしいな?私はまだしゃがんでいただろうか、ものすごい高い所から声が聞こえる。庇ってくれていた人の方へ顔を向けると、私と頭が2個分は身長差があるであろう男性が立っていた。

『あ、大丈夫です…庇ってくれてありがとうございます。』
「いえいえ、あまりにも間抜けそうな顔をして突っ立っていた者でしたから…目の前で丸焦げにされてしまうのも気持ちのいい者ではないので」

なんか凄くひどいことを言われた気がするが、助けてくれたのは変わらない。

『貴方が庇ってくれなかったら、言われた通り丸焦げになってたと思います…本当にありがとうございます。』

ぺこりとお辞儀をする。と頭上からクツクツと笑い声が聞こえる。

「ジェイドォ〜何してんの?」
「あぁ、フロイド、遅刻してきたお間抜けそうな新入生さんとお話していたんですよ。」

私は幻覚でも見ているのだろうか?さきほど庇ってくれていた男性が二人になっている…。ポカンと見つめていると。

「なんだこいつ、ちっちぇ〜、小エビみたい。そうだ、小エビちゃんってよぼ!」
『え…小エビって…』
「いいよね?小エビちゃん?」

おそらく190cmはあるであろう高身長の男に上から見下されたら断れるわけもなく必死にうなずく。それを横でまだクツクツと笑う同じ顔をした男。

「失礼いたしました。自己紹介がまだでしたね、彼は双子のフロイド、僕がジェイド・リーチと申します。貴方の名前を伺っても、小エビさん?」

物腰の柔らかい言葉遣いとは裏腹につくづく腹がたつ言い方をしてくるな…とムッとなりながらも答える。

名前です…。苗字名前…。』
名前さんですね?では、炎から守った件は貸し1つということで…、よろしくお願いしますね。では、そろそろ寮へ向かいましょうか、フロイド。アズール達も終わったようですよ。」
「は〜〜い。ついておいで〜」

フロイドと呼ばれた方に髪の毛をぐしゃぐしゃと撫でられ、ジェイドにはぺこりとお辞儀をされた。なんだか、すごい寮に入ってしまったのではないか?ユウくんとグリムを置いてきてもいいのだろうか?と後ろ髪を引かれる思いになりながらも大人しくついていくことにした。
貸し一つってなんだろう…絶対に貸しを作ってはいけない人に作ってしまった気がするな…と直感で感じ一人身震いするのであった。
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