第1章
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彼の後を早く追いたくて冷めたパンを口に放り込む。食べ終えた後は食器を軽く洗い、干し、そのまま家から飛び出した。
扉を開けた先に見える馬小屋で彼は愛馬と何か言葉を交わしている。彼は少し笑みを浮かべながら何かを語りかけ、それに応えるようエポナも彼の顔に擦り寄った。
遠くから見てもイケメンとは…彼の造形はどうなっているのだろう。
神様は彼のことをよっぽど愛しているに違いない。そうでなければ世の男たちはもっと美形に生まれていたはずだから。
「来たか」
「ごちそうさまでした」
「お粗末様でした」
「ココからは徒歩ですよね?」
「ああ」
早朝から出掛けたにも関わらず、あっという間に日は西に傾きかけていた。目を凝らしても見えないハイラル城を探しては、本当に遠くへ来てしまったのだと改めて気づき、そして本当に冒険が始まるのだという実感がズシリと重くのしかかった。
「これから真っ直ぐコキリの森へ行く。コキリ族は警戒心が強いから気をつけてくれ」
「わかりました」
ハイラル城からここに来るまで、腰に短剣を携帯していた彼だったが、よく見るとそれはロング・ソードに変わっていた。よっぽど危険な場所に行くのか、それともただの護身用だろうか。
私の住んでいるマーロンはヒト族しかいない。古き時代には海の神に愛された人魚族なんてものもいたらしいが、それも遠い昔に伝承となって真実は迷宮入りした。
そんな平凡国マーロンとは違い様々な種族が暮らすハイラル王国。初めて出会う普通の「人」とは違う生き物。不安もあったが、好奇心が今は勝った。
「コキリ族って本当に子供だけなんですか?」
「ああ」
「どんな家に住んでいるんだろう」
「普通だよ」
「スカイさんはいつも見てるからそう思えるんですよ」
「どうだろう。ゴロン族やゾーラ族より普通だとは思う」
「そうかなぁ…」
ゴロン族やゾーラ族にも冒険の途中で会えたりするのだろうか。
名前からその姿を想像するのは難しいが、ゴロン族は岩のような、ゾーラ族は魚のような姿をしていると旅の商人から聞かされてきた。
写生された絵を見たこともあるが、この目で見なければ信用はできない!
「っていうか、あのさ」
「はい」
「敬語になったり、タメ口になったり、どっちなワケ?」
「え?」
今までに色々とありすぎてタメ口になったりしていただろうか。
マーロン国…いや、私が住んでいる地域では敬語やタメ口のルールが曖昧だった。過剰に反応する人もいたが、ほとんどがゆるーくかるーくで…。
「すみません。私、あの」
咄嗟に言い訳を考えたのに。
「敬語とか嫌いなんだ。堅っ苦しくて嫌になる」
「え…っと、あの…?」
思わぬ言葉に戸惑う私を見て彼は一歩近づいてきた。
「あ、いや、ごめんなさい、スカイさん」
「さん付けも嫌いなんだけど」
また一歩近づくから思わず一歩引きそうになる。
「スカイ…」
「ん」
私の言葉にニッと笑う姿を見て、イケメンの笑顔は心臓に悪いと知った。ドクドクと高鳴る心臓に耐えきれずスッと彼から視線を逸らした。
「…じゃあ、行こうか。コキリの森へ」
彼は愛馬に別れを告げると、そのまま出口へと向かっていく。私も慌てて彼の後を追った。ギュッと胸の部分が締め付けられたまま。
彼の家からコキリ族の村に続く入り口は目と鼻の先だった。
幼い頃、読み聞かせのために母が与えてくれた絵本では妖精と共存する神秘的な森が描かれていた。高い木々に囲まれた世界で煌めく妖精の光。人を誘う不思議な森。
本当にあったらどれだけ素敵だろうと幼心をときめかせたあの日を鮮明に思い出せるほど、訪れた世界は美しかった。
木でできた入り口の先、その奥に進んで現れた吊り橋が風に吹かれて左右に揺れる。私は恐る恐る足を置いて一歩ずつ慎重に進んでいたが、中心まで来た時、横に広がった景色に目が釘付けになった。
「うわぁ…」
深い森の奥にほんの少しだけ届く日の光、それが暗い霧を照らし神々しささえも感じる。騒めく葉の音がまるで人の声のように歌い、私を歓迎していくれているようにも感じた。
絵本で見たあの絵よりもっともっと素敵な世界。
神々が舞い降りた神話の世界に迷い込んでしまったように…。
「うろこ」
突如手を掴まれ、ハッとして彼の顔を見る。
私、今…?
「気をつけて。この森は人を誘うから」
「人を…誘う…?」
「二度とこの森から出れなくなるってことだ」
「そんな!」
「…嫌なら気を抜かず俺の傍にいろ。いいな」
「わかり…ううん、わかった」
真っ直ぐに見つめる彼の青い瞳は青空のようだったが、今は暗い森に隠されて深い海の底のようにも見える。
最初に会った時よりもずっとずっと暗い瞳をしていて何故か胸が痛みを感じた。彼が迷わず一歩進むたびにグラグラと揺れる吊り橋。
同じように私の気持ちもグラグラと揺れていた。
知ってる。これ、吊り橋効果ってやつでしょ?
揺れる橋の上を歩くのは簡単じゃなかったけれど、必死に彼の背中を追いかけた。一歩足を踏み出して彼の背中が近くなるたびにギュッと締め付けられるこの痛みはきっとひと時の幻想。
痛む胸をまた抑えて、渡り切った吊り橋の向こう。
「うわぁ…!」
進んでいった先に広がった景色は美しいなんて言葉じゃ足りなかった。キラキラと輝く光の玉が無数に散らばり、地面に当たっては跳ねて、まるで妖精達が踊っているようだ。近くに見えた大きな木は家のようでつけられた窓から暖かなオレンジの光が見えた。家々に扉はなく、気が大きな口を開くように開放的で、家の中の様子をここからでも少し伺うことができる。
そう、本当に絵本の世界。
「わ!スカイじゃねぇか!」
そんな美しい世界の入り口で私たちに背を向けて立つ少年。
私たちの気配を感じたらしくゆっくりと振り返っては驚き派手に転んだ。
「やぁ、ミド。元気だったか?」
ミド、というらしい。膝や腕に切り傷がある辺り、やんちゃな子供なのだろうと思うけれど、ニカッと笑った顔は愛らしい。驚いて転けたミドにスカイが手を差し伸べると同時にあらゆる場所から子供達がひょこり顔を覗かせた。
「スカイが来てるって本当!?」
「スカイ!久しぶり!」
「スカイー!!!元気だったかー!!!」
コキリ族は警戒心が強いなんてよく言ったものだ。
彼はこんなに彼らから人気者で、私がいるにも関わらずひょこひょこと近づいてくるのだから。
「ねぇ、スカイ、その女の子だぁれ?」
「ほんとだ!女の子だ!」
「私、ハイリア人の女の子見るの初めて!」
「ときどき来る人たち、男の子ばっかりだもんね」
草の茂みから岩の影から突如として現れた子供たちはあっという間に私達を取り囲み、返答する暇も与えず会話を続ける。本当に子供しかいないようだ。ハイラル人と見た目は何も変わらないのに。
「みんな、落ち着いてくれ。彼女の名前はうろこ。今日はサリアに会いに来たんだ」
「サリアに?」
「どうして?」
「彼女も迷いの森に行くの?」
「王女様からの命令だよ。従わないわけにはいかない」
「遊べないの?」
「そうだよ。少しくらいなら遊ぼうよ」
こちらを見て懇願する子供たちに少しならと思ったのだが、それすらも遮るように彼は私の前に立って首を横に振る。
「ダメだ。急ぎの用事だから」
彼がハッキリそういうと、子供たちは互いの顔を見合わせ頷いた。
「スカイがそういうなら、わかった」
中央を陣取るミドがそう答える。
「その代わり、俺がサリアのとこまで案内してやるよ」
「助かるよ、ミド」
「いいさ!スカイと俺の仲だからな!」
ハイラル平原では蒼く煌めいて見えた彼の瞳はまだ暗い。
「こっちだ!ついて来い!うろこもなれてねぇんだから、気ぃつけろよ!」
周りの子供たちが進む道を開けてくれる。どうやらこの先に彼らはついてこないらしい。
「彼女たちは?」
「コキリ族にとっても迷いの森は危ないんだ」
「ミド、くんはいいの?それに、サリアちゃんも」
「サリアとミドは特別だからな」
「特別…」
走ってはまた止まって私たちが来るのを待っているミド。その後ろを彼は黙ってついていく。迷う暇もなく覚悟して私も歩みを進めたが、なんとなく後ろを振り返ってしまった。
こちらをジッと見ている少年少女たち。子供だけの種族だと前々から聞いていたけれど、本当に親はいないのだろうか。子供達しかいないなんて異様な光景だ。
「うろこ」
彼に呼ばれてハッとし、私は再び前を向く。
「ほんとに…そそっかしいな」
「ご、ごめんなさい」
「いいよ。気になるよな、あいつらのこと」
満面の笑みで走るミドとそれを羨ましそうに見つめる子供たち。
皆、同じ緑の服を着て…。
「っ…!!!」
彼らの隣を羽ばたく光玉にある光景が浮かんで消えた。
金髪碧眼の少年がその光を見て喜ぶ姿。
「これは…」
ハイラル城のときと同じだ。見たことがないはずなのに知っている光景。妄想というのにはあまりにも鮮明で、過去というには知らなさすぎる。くらりと歪む世界で捉えた、梯子のついた小さな家。
その家の主は行方知れず……。
扉を開けた先に見える馬小屋で彼は愛馬と何か言葉を交わしている。彼は少し笑みを浮かべながら何かを語りかけ、それに応えるようエポナも彼の顔に擦り寄った。
遠くから見てもイケメンとは…彼の造形はどうなっているのだろう。
神様は彼のことをよっぽど愛しているに違いない。そうでなければ世の男たちはもっと美形に生まれていたはずだから。
「来たか」
「ごちそうさまでした」
「お粗末様でした」
「ココからは徒歩ですよね?」
「ああ」
早朝から出掛けたにも関わらず、あっという間に日は西に傾きかけていた。目を凝らしても見えないハイラル城を探しては、本当に遠くへ来てしまったのだと改めて気づき、そして本当に冒険が始まるのだという実感がズシリと重くのしかかった。
「これから真っ直ぐコキリの森へ行く。コキリ族は警戒心が強いから気をつけてくれ」
「わかりました」
ハイラル城からここに来るまで、腰に短剣を携帯していた彼だったが、よく見るとそれはロング・ソードに変わっていた。よっぽど危険な場所に行くのか、それともただの護身用だろうか。
私の住んでいるマーロンはヒト族しかいない。古き時代には海の神に愛された人魚族なんてものもいたらしいが、それも遠い昔に伝承となって真実は迷宮入りした。
そんな平凡国マーロンとは違い様々な種族が暮らすハイラル王国。初めて出会う普通の「人」とは違う生き物。不安もあったが、好奇心が今は勝った。
「コキリ族って本当に子供だけなんですか?」
「ああ」
「どんな家に住んでいるんだろう」
「普通だよ」
「スカイさんはいつも見てるからそう思えるんですよ」
「どうだろう。ゴロン族やゾーラ族より普通だとは思う」
「そうかなぁ…」
ゴロン族やゾーラ族にも冒険の途中で会えたりするのだろうか。
名前からその姿を想像するのは難しいが、ゴロン族は岩のような、ゾーラ族は魚のような姿をしていると旅の商人から聞かされてきた。
写生された絵を見たこともあるが、この目で見なければ信用はできない!
「っていうか、あのさ」
「はい」
「敬語になったり、タメ口になったり、どっちなワケ?」
「え?」
今までに色々とありすぎてタメ口になったりしていただろうか。
マーロン国…いや、私が住んでいる地域では敬語やタメ口のルールが曖昧だった。過剰に反応する人もいたが、ほとんどがゆるーくかるーくで…。
「すみません。私、あの」
咄嗟に言い訳を考えたのに。
「敬語とか嫌いなんだ。堅っ苦しくて嫌になる」
「え…っと、あの…?」
思わぬ言葉に戸惑う私を見て彼は一歩近づいてきた。
「あ、いや、ごめんなさい、スカイさん」
「さん付けも嫌いなんだけど」
また一歩近づくから思わず一歩引きそうになる。
「スカイ…」
「ん」
私の言葉にニッと笑う姿を見て、イケメンの笑顔は心臓に悪いと知った。ドクドクと高鳴る心臓に耐えきれずスッと彼から視線を逸らした。
「…じゃあ、行こうか。コキリの森へ」
彼は愛馬に別れを告げると、そのまま出口へと向かっていく。私も慌てて彼の後を追った。ギュッと胸の部分が締め付けられたまま。
彼の家からコキリ族の村に続く入り口は目と鼻の先だった。
幼い頃、読み聞かせのために母が与えてくれた絵本では妖精と共存する神秘的な森が描かれていた。高い木々に囲まれた世界で煌めく妖精の光。人を誘う不思議な森。
本当にあったらどれだけ素敵だろうと幼心をときめかせたあの日を鮮明に思い出せるほど、訪れた世界は美しかった。
木でできた入り口の先、その奥に進んで現れた吊り橋が風に吹かれて左右に揺れる。私は恐る恐る足を置いて一歩ずつ慎重に進んでいたが、中心まで来た時、横に広がった景色に目が釘付けになった。
「うわぁ…」
深い森の奥にほんの少しだけ届く日の光、それが暗い霧を照らし神々しささえも感じる。騒めく葉の音がまるで人の声のように歌い、私を歓迎していくれているようにも感じた。
絵本で見たあの絵よりもっともっと素敵な世界。
神々が舞い降りた神話の世界に迷い込んでしまったように…。
「うろこ」
突如手を掴まれ、ハッとして彼の顔を見る。
私、今…?
「気をつけて。この森は人を誘うから」
「人を…誘う…?」
「二度とこの森から出れなくなるってことだ」
「そんな!」
「…嫌なら気を抜かず俺の傍にいろ。いいな」
「わかり…ううん、わかった」
真っ直ぐに見つめる彼の青い瞳は青空のようだったが、今は暗い森に隠されて深い海の底のようにも見える。
最初に会った時よりもずっとずっと暗い瞳をしていて何故か胸が痛みを感じた。彼が迷わず一歩進むたびにグラグラと揺れる吊り橋。
同じように私の気持ちもグラグラと揺れていた。
知ってる。これ、吊り橋効果ってやつでしょ?
揺れる橋の上を歩くのは簡単じゃなかったけれど、必死に彼の背中を追いかけた。一歩足を踏み出して彼の背中が近くなるたびにギュッと締め付けられるこの痛みはきっとひと時の幻想。
痛む胸をまた抑えて、渡り切った吊り橋の向こう。
「うわぁ…!」
進んでいった先に広がった景色は美しいなんて言葉じゃ足りなかった。キラキラと輝く光の玉が無数に散らばり、地面に当たっては跳ねて、まるで妖精達が踊っているようだ。近くに見えた大きな木は家のようでつけられた窓から暖かなオレンジの光が見えた。家々に扉はなく、気が大きな口を開くように開放的で、家の中の様子をここからでも少し伺うことができる。
そう、本当に絵本の世界。
「わ!スカイじゃねぇか!」
そんな美しい世界の入り口で私たちに背を向けて立つ少年。
私たちの気配を感じたらしくゆっくりと振り返っては驚き派手に転んだ。
「やぁ、ミド。元気だったか?」
ミド、というらしい。膝や腕に切り傷がある辺り、やんちゃな子供なのだろうと思うけれど、ニカッと笑った顔は愛らしい。驚いて転けたミドにスカイが手を差し伸べると同時にあらゆる場所から子供達がひょこり顔を覗かせた。
「スカイが来てるって本当!?」
「スカイ!久しぶり!」
「スカイー!!!元気だったかー!!!」
コキリ族は警戒心が強いなんてよく言ったものだ。
彼はこんなに彼らから人気者で、私がいるにも関わらずひょこひょこと近づいてくるのだから。
「ねぇ、スカイ、その女の子だぁれ?」
「ほんとだ!女の子だ!」
「私、ハイリア人の女の子見るの初めて!」
「ときどき来る人たち、男の子ばっかりだもんね」
草の茂みから岩の影から突如として現れた子供たちはあっという間に私達を取り囲み、返答する暇も与えず会話を続ける。本当に子供しかいないようだ。ハイラル人と見た目は何も変わらないのに。
「みんな、落ち着いてくれ。彼女の名前はうろこ。今日はサリアに会いに来たんだ」
「サリアに?」
「どうして?」
「彼女も迷いの森に行くの?」
「王女様からの命令だよ。従わないわけにはいかない」
「遊べないの?」
「そうだよ。少しくらいなら遊ぼうよ」
こちらを見て懇願する子供たちに少しならと思ったのだが、それすらも遮るように彼は私の前に立って首を横に振る。
「ダメだ。急ぎの用事だから」
彼がハッキリそういうと、子供たちは互いの顔を見合わせ頷いた。
「スカイがそういうなら、わかった」
中央を陣取るミドがそう答える。
「その代わり、俺がサリアのとこまで案内してやるよ」
「助かるよ、ミド」
「いいさ!スカイと俺の仲だからな!」
ハイラル平原では蒼く煌めいて見えた彼の瞳はまだ暗い。
「こっちだ!ついて来い!うろこもなれてねぇんだから、気ぃつけろよ!」
周りの子供たちが進む道を開けてくれる。どうやらこの先に彼らはついてこないらしい。
「彼女たちは?」
「コキリ族にとっても迷いの森は危ないんだ」
「ミド、くんはいいの?それに、サリアちゃんも」
「サリアとミドは特別だからな」
「特別…」
走ってはまた止まって私たちが来るのを待っているミド。その後ろを彼は黙ってついていく。迷う暇もなく覚悟して私も歩みを進めたが、なんとなく後ろを振り返ってしまった。
こちらをジッと見ている少年少女たち。子供だけの種族だと前々から聞いていたけれど、本当に親はいないのだろうか。子供達しかいないなんて異様な光景だ。
「うろこ」
彼に呼ばれてハッとし、私は再び前を向く。
「ほんとに…そそっかしいな」
「ご、ごめんなさい」
「いいよ。気になるよな、あいつらのこと」
満面の笑みで走るミドとそれを羨ましそうに見つめる子供たち。
皆、同じ緑の服を着て…。
「っ…!!!」
彼らの隣を羽ばたく光玉にある光景が浮かんで消えた。
金髪碧眼の少年がその光を見て喜ぶ姿。
「これは…」
ハイラル城のときと同じだ。見たことがないはずなのに知っている光景。妄想というのにはあまりにも鮮明で、過去というには知らなさすぎる。くらりと歪む世界で捉えた、梯子のついた小さな家。
その家の主は行方知れず……。