第6話 昔のはなし
夢を見ていた。
ふんわり落ちてくる月明かりの中、少女の私が、あの日恋に落ちた少年の肩に頭を預け、あの時の手の行き先を教えてもらう夢。
––––あの少年は一体、誰だったのかしら…
そんなことを夢から引きずりながら目が覚めた。
とても素敵な空間。まるで夢とは思えないくらい、光や温度や音を、体が覚えている。
目の前にはいつもと変わらないXANXUSの姿がある。しかし、自分が服を着たまま横になっているのを見て驚いた。それに、今は朝の6時ごろで、早く起きたのか、それとも一周回って寝坊したのか、頭がこんがらがった。そういえば、昨日は眠りにつく前の記憶がない。
「(もしかして、どこかでうたた寝してしまって、XANXUS様に運ばせてしまったのかしら…?)」
その考えに行き着き、テレサは顔を青くした。
強張る体に気づいたのか、XANXUSが目を開く。
はっと息を飲むテレサ。恐る恐るその口を開いた。
「あ、の…XANXUS様……私、もしかして何かご迷惑を……?」
「…………」
XANXUSは無言でテレサを見つめる。
その瞳に、テレサはつい目を逸らしてしまう。
「……夢でも見てたんじゃねえか」
首を傾げるテレサに構わないで、ベッドを出る。おかげで大分寝坊してしまった。どの道、何時に起きようがXANXUSには関係ないことだが。
早足で部屋を出るXANXUSに、慌ててテレサも後を追う。
それは、いつもの朝の風景だった。