第4話 動き出す恋心
ベッドにテレサを降ろし、そのまま押し倒すようにキスをした。
「……ん、」
テレサが小さく声を漏らす。
何が始まるか分かっているような、いないような。いや、きっと想像できていないだろう。XANXUSが処女を相手にするなんて、想像できるはずがない。
ちゅ、ちゅ、と小さなキスを何度か交わしながら、テレサの太ももに手を這わせ、ワンピースをはだけさせる。下着が見えそうになって、テレサの体が少し緊張するのが伝わった。
さすがのテレサも勘付いたか。
柔らかな曲線を描く胸を、下から包んで持ち上げてみる。その膨らみは決して大きいとは言えないが、ふわふわとした感触は今まで触ってきたものの中で1番柔らかくて、どきどきと高鳴る鼓動を手に伝えた。
「ぁ……、っ……」
精一杯顔を赤くして戸惑うテレサに構わず、尻にも触れてみる。背中から太ももまで、手の届くまで一直線に撫でてみると、その体は適度な丸みを帯びていた。無理にでも食わせている成果か、少しは肉が付いたらしい。
ワンピースの肩紐をゆっくり解く。テレサの体はいよいよさらけ出された。そういえば、素っ裸を見るのは初めてだ。
胸を揉むと、しっとりとした肌が手に吸い付いてくる。体に栄養が回り始めたのか、前よりも若々しさが増し、水も弾きそうなほどきめ細かでハリのある肌になっていた。
胸の膨らみは確かな弾力と重力に逆らい形を保つ張りがあり、それでいてとろけるように柔らかくてふわふわとしている。その形はオーダーメイド品のようにXANXUSの手に馴染んだ。
つー、と首筋に舌を這わせると、ぴくっとテレサの肩が跳ねた。内股を撫でて、秘部を触るか触らないかの加減で触れると、息を詰めた。ちゅっ、と耳にキスすると、ふっ、と息が漏れた。
気が済むまで全身を撫で、テレサの体が震えてきたところで、またキスを落とす。テレサの唇が息を吸うために薄く開いた。白い歯の間から覗く舌を絡め取る。小さい舌を玩びながら、愛でるように髪を撫でた。
舌を引き抜くと、飲み込みきれなかった2人の唾液がテレサの口の端から溢れて頬を伝う。それを舐めとり口に押し込んでやると、喉が小さく動き飲み込んだ。
弱い力で片手で胸を揉みながら胸元にキスマークを付けた。血が通っていないかのような青白い肌に、自分のつけたマークが映えたのに気を良くして、ついもう一つ首に赤い花を散らした。
キスしながら、手を内腿に這わす。視界の端に、テレサがぎゅっと手を握りしめるのが見えて、左手を重ね指を絡ませた。
人差し指で子宮の辺りをくすぐるようになぞる。そうして少しフェザータッチでテレサの緊張を解してから、そっとその陰核に触れる。
きっと、いや絶対に、他の男どころかテレサ本人でさえ、文字通り誰一人触れたことがないであろう。弱い力で刺激すると、初めて体験する快感に怖気付いたのか、少し腰を引いた。
力をわずかに強くすると、テレサの足がぴくっと動き、繋いだ手にわずかに力が込められる。
「、ぁっ……」
ぽっ。と小さな蕾が恐る恐る花開くかのような声。
とぷっと溢れる液と、たまらず漏らした熱い吐息。
快感に耐性が無いとこんなものかと、一瞬で達したテレサに少し驚きながらも、わずかに漏れた澄んだソプラノがクセになった。
「っ……」
生まれて初めて感じる快感に、テレサは顔を真っ赤にして、耐えられないとでも言いたげに両手で顔を覆った。
「隠すな」
「…っ…はい……」
手首を掴んで顔の横に置く。テレサは恥ずかしそうに目を逸らすものの、大人しく言うことを聞いた。
予想はしていたが、こんな時でもやはり従順な性分は変わらないらしい。
再び陰核に指を触れる。
テレサは思わず手が浮いたが、「隠すな」というXANXUSの言葉を思い出して、咄嗟に枕の端を握った。
「…っ……!」
ぎゅっと握った手が震える。今度は少し慣れたのか、声を押し殺して達した。
あの控えめな声が聞けなかったのが不服で、快感が引かないうちにもう一度陰核を弱く刺激し始めた。
「…っあ、ぁ……!」
脳にキリキリと痛いほどの快感が押し寄せた。涙が溢れそうなほどの背徳感と快感との板挟みで、頭の中は混乱した。
しかし、快感に慣れていない体は、XANXUSの指の刺激に勝手に悦んでしまい、ぷるぷると小動物のように震えながら達した。
「あっ……ぁう…っ……、…はぁ、は……あ……」
泣きそうな顔で荒い呼吸を整える。快感の名残に悶えるように、脚を閉じた。
「邪魔だ」
「は、ぁっ……はい……すみませ
…っ…」
膝を軽く押して払うと、大人しくまた足を広げた。
濡れやすい質らしく、十分な量の愛液が下に垂れていく。もういいだろうと指を入り口に当てる。ちらっと見た局部の内側が鮮やかなピンク色だったのに、本当にこんな色を持つ奴がいたのかと少し驚いた。
テレサは怖くなって目を瞑った。経験したことがなくて、中に何かが入る事が痛いのかどうかも分からない。少し不安になってしまう。
XANXUSの指が、ゆっくりと沈んでいくと、痛みは無かったが異物感が生まれ、思わず眉尻が下がってしまう。
「(………狭ぇ…)」
中は狭くて、指一本でさえ動かしにくい。ゆっくりと中の壁を撫でながら探っていきながら、ちらりとテレサの顔を見た。
何かに耐えるように目を瞑って、とても気持ち良さそうには見えない。
内側を触りながら奥へと指を進めていく。すると、ふとスポットに指を掠めた瞬間…
「っあ…!」
びくんっと腰が跳ねた。パチっと目が開いて、戸惑ったような顔をする。
「……ぁっ、…え……?」
異物感と、圧迫感しかなかったはずなのに、唐突に背筋を貫くような快感が走った。
ここか、と探り当てた性感帯から指を離す。テレサは頭にハテナを浮かべているから、中を触られるのに慣れるまで、もう少しゆっくりと解してやろう。
感じるスポットにそっと指を乗せて、少しの力で押す。
「っはぁ……あ、ぁ……ぅあ、あ…っ……」
ぶるぶると腰を震わせて、愛液が溢れ出す。外の陰核を刺激されるのとはまた違う感覚に、吐息が震える。
一定のリズムで優しい圧でそこを押されると…
「…っふ、ぅ……ぁあ、っあ……あ、…!」
ぎゅうぅ、と指が痛いほど中が締まって、脚先までガクガクと痙攣する。ふうっと体の力が抜けるのと同時に、指を抜いた。
中でのイき方も分かったようだ。意外と飲み込みが早いのか、いや、感度が良いせいか。
息を整えながら余韻に耐えるテレサに、なにか、心臓の奥の方がむず痒いような感覚が走った。それは何という感情なのか分からないが、本能の赴くままにテレサの髪を撫でた。
「(…あ……これ、…………好き……)」
目も開けられない、意識もぼんやりした余韻の中で、まるで壊れ物を扱うような手つきで撫でられると、どうしようもない安心感が押し寄せる。
震える瞼を開くと、XANXUSの赤い瞳と目が合った。
「っ…!」
なんだか急にすごく恥ずかしくなって、すぐに俯いた。ああでも、撫でられるのが心地良くて、口元は緩んでしまう。恥ずかしいのに、優しく触られるのが嬉しくて心地良くて…もう、どうすれば良いのか分からない。
「……うぅ………っ…」
「(………分かりやすい奴…)」
顔を見れば、よほど喜んでいるのが一目瞭然だ。テレサが犬なら、耳を折り畳んで尻尾を振っていることだろう。
テレサの性格からして何も不思議なことはないが、こうして愛しむように繊細に触れられるのが好きらしい。
両手で頬を包んで、静かに唇を合わせる。柔らかい唇の感覚に、テレサは思わず息を止めた。呼吸を促すように、離して、また付けて、離して、と啄むようなキスを繰り返した。
一体、前戯に何十分時間を溶かしたのか。XANXUS本人でさえ驚いてしまうくらい、あっという間に時間が過ぎていく。
初めてだからといって、少し甘やかし過ぎだろうか。と思いつつ、ようやくテレサが気持ち良さそうな顔をし始めたから、つい中をもう少し探りたくなった。
割れ目を指でなぞると、とろとろな愛液が指に絡む。滑るように中に指を挿れると、先ほどよりもすんなりと受け入れた。
「…んっ……、ぁっ、あ………」
性感帯を掠めながら指を進めると、指先が奥に当たる。華奢な体に収まる内臓は小さいのか、奥に指が届いた。
最奥の手前を撫でると、また良い所に当たったらしく、テレサの体が跳ねた。
「あっ…!」
「(ここもか……)」
テレサにしては大きな声が出た。つくづく弱点が分かりやすい体の反応に、XANXUSはつい笑いが込み上げる。
「ひっ、ん……っ」
そのスポットをくるくるとくすぐるように擦ると、途端に泣きそうな顔で、怖気付いたように腰を引いた。
「…逃げるな」
細い腰を片手で浮かせて、引き戻す。そのまま子宮を上から軽く押さえつけて、暗に動くなと伝える。
「はっ……ぁ、えぅ……ぁ…っ……!」
返事をする余裕も無いのか、ぎゅっと体に力を入れてシーツを握りしめる。中が締まって、体が震えて、瞼の裏に白い火花のようなものが散った。
「あっ、…ん…っ!」
びくっと腰が跳ねて、テレサの声が途切れる。少し深く達したのか、声が出せなくなったが、中が痙攣するように震えるからむしろ分かりやすい。
少し辛そうなので、すぐに指を抜くと、蓋が外れたように愛液が溢れた。指に絡まる愛液をテレサの内股で粗雑に拭った。
反応が分かりやすいとは言え、テレサの体は弱点が多そうだ。処女の開発は面倒だとばかり思っていたが、意外にも面白いかもしれない。
テレサが落ち着いたのを感じ取ったXANXUSは、体を起こし行為を再開しようと、右手をテレサの横についた。すると、偶然テレサの左手に触れた。ちらっと見ると、色の違いがテレサの肌の白さを引き立てていた。ただの気紛れで、その左手を絡め取った。
細く白い指は特に壊れやすいように思え、加減しやすいようゆっくりと力を込めていく。テレサから握り返されることはなかったが、視線を泳がせて戸惑っていた。
そして、テレサの片足を広げさせ、今度は自身を入り口にあてがう。
「……っ…!」
指とは違うその感覚に、何が入るのか察して、緊張で身を硬くした。緊張のせいか中が狭まったが、XANXUSは特に気にすることなくゆっくり先を入れた。
想像以上の圧迫感に、テレサは思わず涙が滲んだ。
「(…………こ…こわい………)」
一方、XANXUSは本気でやめようかと考えていた。単純に、入るとは思えなかったのだ。
細い骨格の内側に収まる臓器は、普通より一回り小さそうだ。倣って膣も狭いだろう。
ただでさえ華奢な体に、更にそんな泣きそうな顔をされたら、もはや拷問のように感じた。まずは少し小さいサイズのディルドか何かで拡張した方がいいかもしれない。
まあ、まずはやってみてからだと思い、テレサの腰を掴んで少し奥に入れた。
「っぃ…!」
テレサの肩が跳ね、生じた痛みに眉根を寄せる。痛みを逃すためか、足がシーツを滑る。その音が遠慮がちにXANXUSの耳に届いた。
本当に裂けそうになったら止めるが、テレサの腰をグッと引き寄せ、もう少し入れてみた。
「(い……痛い……)」
ヒリヒリとした痛みを感じ始めて、テレサは何も言わずに枕の端をギュッと握った。手が微かに震えて、緊張が高まって息が吸いにくい感じがした。
「(…………恐い………)」
痛くても怖くても、終わらないのだろうか。このまま痛い時間が続いて、そのまま自分はどうされてしまうんだろう。
そんなことを感じて、テレサは自分の心の中に小さな恐怖心が生まれたのに気づいた。まるで虐められているみたいに。
ーーぽろっ
テレサの瞳から、小さな涙の粒が零れた。
その時、ふとテレサの顔を見たXANXUSと目が合う。テレサが泣いているのに気付いたXANXUSは、訝しげに眉根を寄せた。その瞳は辛そうに濁っていて、どんな種類の涙かは一目で察しが付いた。
「っごめんなさい…!」
テレサは慌てて涙を拭った。
そんなテレサの顔を見て、少しやる気が失せて、テレサの中から自身を引き抜いた。
やはりその細身な体の中は狭くて、その上これまで一度も誰の物も受け入れたことのないとなると、慣れるまで何度か回数が必要そうだと、XANXUSは一気に気が遠く感じた。
同時に、本当に処女だったのかと、疑っていたわけではないが、この歳にもなって本当にいるもんだと、改めて思わされた。特にこの界隈の女は何かと早熟だ。
自分をこれほど煩わせられるのは、後にも先にもこいつだけだとXANXUSは呆れた。
「(めんどくせぇ……)」
XANXUSの物が引き抜かれると、痛みは和らぎ、異物があった感覚が残った。テレサはそれに少し安心してしまった。
XANXUSは自身の熱を持て余したまま、口でさせるかと、ふと考えながらテレサの唇を眺めた。そして無意識に、まるで花の蜜に誘われたかのように、その唇を奪った。
「っ……」
テレサは一瞬驚いたように喉を鳴らした。
しかし、ほんの少し前の出来事、あの夜の海を眺めながら、永遠とも思える甘いキスを交わしたのを思い出した。テレサの心にわずかに甘い気持ちが湧き、ふっと体の力が抜けた。
「(…………XANXUS様は………私が恐くなったら、やめてくれるのかしら……)」
正直なところ意外だった。うざいと怒られるか、強行されると思っていたから。
XANXUSは思いがけずテレサの唇が柔らかくて、何度か角度を変えてその感覚を味わった。
全身でテレサの肌を感じたくて、抱きしめるように体を寄せた。
こつ、と胸の前で組んだテレサの両手がXANXUSの胸板に当たる。邪魔な両手をバラすように、手首を掴んで顔の横に持っていくと、ギュッと力を入れた指がテレサ自身の手の平に食い込むのが横目に見えた。血でも出るんじゃないかと思うほどで、思わず指と指を絡ませるようにテレサの手を握った。そんなXANXUSの行動にテレサも何かを悟ったようで、ふっと手の力を抜いた。
片方の手だけ繋いだまま、もう片手でテレサの髪を撫でた。体を密着させて、全身でテレサを感じると、二人の心と体の境目が朧げになっていくようだった。
もう何分と、飽きもせずに唇を交わしていると、XANXUSは自身の熱が昂まってくるのを感じた。とは言ってもテレサは使い物にならないしなと、ぼんやり考えながら、やはり今から娼婦を呼ぶかと思い立った。
そうと決まれば。と、少し惜しむ気持ちがありながらもテレサの唇から離れた。
長い長い口付けの終わりに、テレサはゆっくりと瞼を開ける。そして、その青い瞳は、しっかりとXANXUSの赤い瞳を捉えた。
「…………あ……XANXUS様……」
テレサの瞳は熟れた果実のように濡れていた。零れんばかりのその雫は、ほんの少し前にテレサの頬を濡らした涙とは全く別の意味を持っていると、すぐに分かった。きっとその涙は温かいのだろう。
「………っXANXUS様………」
ほんの僅かな力で、テレサが繋がった手を握る。
「………………っ………やめ、……ないで………」
そっ…、とテレサの手がXANXUSの胸板に伸びる。テレサの指は微かに震えていて、それは緊張か羞恥か、その両方か。なにせ、あのテレサが自分からXANXUSに触れ、誘っているのだから。
XANXUSは、本当にあのテレサか?と確かめるように頬を包んで瞳を覗き込んだ。
「…、ぁ…っ」
頬に触れた時、ぴく、とテレサの体が揺れて、甘い吐息が漏れた。
その心地よい声が鳴る唇を、再び奪う。指を絡めて、まるで抱き締めるように体を密着させて。
テレサが初めて自分からXANXUSに求めたキスを、もう一度。
「……っん……ふ…ぅ………」
角度を変えるたび、テレサの唇から吐息が漏れる。気持ち良さそうな、どこか幸せそうな。
あの長いキスの間に、テレサにどんな心変わりが起きたのか、XANXUSも全く予測していないことだった。ただ、XANXUSは欲のまま、気の向くままに、ただキスしただけなのだ。
XANXUSは自然とテレサの秘部に指を滑らせた。滴るほどの愛液が溢れていたそこは、簡単にXANXUSの指を受け入れた。
「っん……!」
テレサの体の力が完全に抜けたからか、中は熱くて柔らかくて、そして敏感になっていた。
XANXUSはキスしながら、優しく中を擦ると、テレサの体がビクッと揺れるのを全身で感じた。
「…ぁ、あっ……」
テレサの吐息が余裕の無い嬌声に変わっていく。
キスも相まって、呼吸が苦しくなってきたようで、XANXUSは唇を離した。テレサは甘く蕩けた顔で、体を震わせていた。
刺激を少し早めると、テレサは押し寄せる絶頂に、堪らず目を閉じて快感に耐えた。
「んぅ、ぁっ……!」
びくんっ、とテレサの腰が跳ねる。ゆっくり指を抜くと、とろりと蜜が溢れ出た。
「…ふ、……ぁ…」
テレサの体がくたりと脱力して、軽く息を荒げた。そして薄く目を開けて、XANXUSの瞳を見詰めた。
「……は、ぁ……XANXUS、さま……」
溶けるような快感の余韻で、懸命に瞼を開けて見詰めてくるテレサに、XANXUSはその瞳が何を言っているか、十分過ぎるほど伝わった。
「……良いんだな」
テレサの頬を包むように片手を添える。
すると、テレサは頷くかのように柔らかく微笑んだ。
「……………私の初めて、……ぜんぶXANXUS様のために…あるから………」
すり、とXANXUSの手に頬を寄せると、テレサは心の底から幸せそうな瞳でXANXUSを真っ直ぐに見詰めた。その宝石のように澄んだ青色が、本当に綺麗だと思った。
堪らず唇を重ねる。
テレサの秘部に自身を当てると、熱くてとろとろに濡れた中は抵抗感無くXANXUSの物を受け入れた。
「あ……っ…」
中は狭くて締まっているが、先ほどのような緊張感は無いからか、痛みも無いようだ。
抱き締めたテレサの体も緩んでいた。それでXANXUSは合点が行った。
今までの女と同じような、建前の前戯は通用しないのだと。
濡らすためだけの、慣らすためだけの行為ではなくて。もっと視線と指を絡ませて、抱き締めて肌と肌で触れ合って。甘い言葉こそ無くても、愛撫とキスで心を溶かして。
そうしないとテレサの心は受け入れないらしい。
すると、密着したその肌が汗で濡れてきたのに気づいた。生理現象として当然のことだが、やはりテレサも汗をかくのかとなぜか感心してしまった。
ゆっくりと沈めていくと、やがて奥に当たった。テレサの小さな体は、XANXUSの物を全て受け入れた。
––––ピリ
「っ…」
処女膜を通ると、小さな痛みが一瞬脳を貫き、すぐにどこかに去った。
すると、挿入半ばのXANXUSの物に、じわあっと何かの液体が這ってくる感覚がした。
反射的に、結合部に目を落とす。
そこで初めて、自身の根本を這う一筋の赤い血を見た。
膣がかつてないほど広げられることで処女膜が裂け、出血したのだろう。
同時に、一つの驚きが生まれた。
「(……本当に生きていたのか)」
––––いや、その瞬間から、XANXUSの中のテレサが生を受けた。
途端に、世界が変わったようにテレサの細部が一気に目に入ってきた。
テレサの小さい顔に、芸術のように美しいパーツが、奇跡のようなバランスで配置されていて、どんな距離や角度から見ても誰もが美しいと感じるだろう。いや、美しい以上の、テレサだけのための新しい言葉が必要だとさえ思った。なぜ自分がこれまでそれほど気にしていなかったのか不思議だ。
薄桃色でふっくらとした唇は赤子のそれのようで、その小ぶりさがあまり物を言わないテレサの性格をよく表している。薄く開く大きな目はぱっちりとした二重で、両目の間隔も眉との間隔も左右完全対称の黄金比。覗く大きな瞳は宝石のように深く鮮やかな青で、まるで母なる海のようだ。
鼻筋や、顎から胸の頂点にかけてのラインや、ウエストに向かって細くなっていく胴や、首から背中にかけてなどのあらゆる曲線が計算し尽くされた流麗で、目が縫い付けられて離れない。薄い体が余計にテレサを小さく見せていて、そのくせ胸はしっかりと女性らしさを強調している。
指の先まで白い体は光を放っているようにすら見え、どこを触っても滑らかな肌は足跡の付いていない雪原のようだ。作り物のように形の良い爪は力を込めすぎて今は白く変色していた。つやつやと光沢のあるシルクのような髪は先まで潤っていて、一度触れたが最後、ずっと触っていたくなって、繋いでいた手を一つテレサの頭に置き、小さく撫でていた。その特徴的な髪色は、透けるような肌とテレサの儚げな雰囲気によく馴染み、少しの違和感も生み出さない。むしろ、それが完成度を高めていた。
骨格が細いので華奢に見えるが、胸や丁度いい大きさの尻は綺麗な弧を描く。長く細く傷一つない綺麗な脚が、しっかりしなければと言うようにシーツを蹴るものの、痺れに負けて止まってしまうのも、テレサらしく感じた。その足の先が、さも遠慮するように軽く丸まっていることに、わずかに笑いが込み上げる。必死で呼吸を整えながら、懸命にXANXUSの手を握り返してくる態度もなんだか健気さを感じ、悪い気はしなかった。
形の良い胸が呼吸のたびわずかに当たったり離れたりする感触。体全体で感じる潤んだ体の瑞々しさ。胸元にかかる熱い息。その艶っぽい表情。肌に散る局部からのわずかな血。それらが途端に自分の手中の出来事となり、自身に熱が集まるのを感じた。
「……?」
テレサは、ほとんど中に収まったXANXUSの物がグッと更に大きくなるのを感じた。
圧迫感に息が苦しくなる。しかし、それすら安心を運んだ。
「……XANXUS様………い、いっぱいで……」
ころんとした甘い声に反応してテレサの顔を見ると、至極幸せそうに微笑んでいた。理性が溶けて、つい溢れた独り言だとはわかった。
長さも太さも、小さい体に収まること自体奇跡のようで、相当の圧迫感があるはずだ。その証拠に、きゅっと目を瞑って、息が乱れ、頬が紅潮している。
それでも、全て飲み込むことができた。
「(……こいつはいつもそうだ…。俺のことなら何でも受け入れる)」
壊れるんじゃないだろうかと危惧しながら、テレサの中をゆっくり刺激する。やはりキツイのでゆっくりと出し入れして穴を慣らしていった。
最奥を押し潰すように、ゆっくりと触られると、大きな快感の波に飲まれてしまい、思わず口を手で押さえた。
「んんっ、ぅ…っ…」
しかし、どうしても艶めかしい声が漏れてしまう。
「っふ……ん、ん………」
「おい、…見せろ」
顔を隠すなという意図を込めてその手をどけ、握りしめた。
世界で一番美しいテレサの、初めて男を受け入れる時。その顔も声も言葉も、余すことなく記憶に残したいのだ。
「っ…、XANXUS様…ぁっ、んっ…XANXUS様ぁ…っ」
子宮を揺らすように奥を突く。
テレサの瞳から涙が溢れる。
もうXANXUSの中にその涙を鬱陶しく思う気持ちはなかった。ただ美しいと感じた。
何度も何度も名前を呼ぶテレサが、たぶん、愛しいのだと思った。
「……………テレサ…」
「……!」
テレサがわずかに目を開く。XANXUSに名前を呼ばれたのは初めてだった。ここに来てから、"おい"とか"てめえ"しか覚えがない。
同時に、膣がギュッと収縮し、XANXUSの物をさらに強く締め付けた。
奥を短い間隔で突くと、テレサがぎゅっと手を握りしめ、絶頂が近いのだとわかった。
「ぁ、あっ……XANXUS様…っ…」
「(………コイツの声…っ……)」
XANXUSは思わず眉根を寄せた。決して機嫌を悪くしたわけではなく、むしろその逆だった。
何度も名前を呼ぶテレサの声。楽器のような声が鼓膜に触れるたびに、自身の熱が高まるのを感じた。
最初から薄々気づいていたが、テレサの声は耳に心地良い。砂のように解け、そよ風のように遠慮がちに、小花のように控えめに、清水のように透き通っている。
喘ぐ声さえそれは変わらなくて、その声を聞いていると、それだけで何かの欲が満たされる気がする。
かといって、その欲のままにテレサの体を貪るわけにもいかない。ようやくテレサが体を許したのに、今さら振り出しに戻るなんて御免だ。実際、見下ろすテレサは少しの余裕も無さそうで、トラウマにさせないためにも、手加減は必至だろう。
「ぁっ……ん、…っは、ぁ……っ」
テレサの頭の中は、快感で一杯だった。もう、自分がどんな存在かも忘れてしまいそうなほど。
同時に、どうしようもなく怖くなる。
経験したことのない大きな絶頂が来るとわかるから、脳も体もおかしくなってしまうのではないかという漠然とした恐怖に、小さく首を横に振った。
「うぅっ…XANXUS様、あっ、あっ……こわいっ…」
これまでとは違う意味の「怖い」。XANXUSはそれを聞いて、わずかに口角を上げた。
すると、XANXUSの大きな手がテレサの頬を包んだ。そのまま軽いキスをされると、その物言う手は「大丈夫だ」と囁いた気がした。
名前を呼ぶのと同時に吐息のような喘ぎ声を散らしながら、薄く目を開け見上げると、その紅い瞳と目が合った。
紅かった。
普段より赤みの増したその瞳は燃え盛る炎のよう。血の色が透ける赤眼は、怒りや興奮などで血の巡りが活発になると色が濃くなると聞くが、このルビーのような瞳もそうなのだろう。
テレサはXANXUSも少なからず感じているのだとわかると、妙な気持ちになった。XANXUSの相手が少しでも出来て安心したのか、別の理由があるのかはわからなかった。ただ、なぜか子宮がきゅうっと痛くなり、膣が締まるのが自分でもわかった。
––––そして、達する。
「ぁっ…!」
身体が大きく跳ねたので刺激を止めた。少し激しくしただけで、と小さな舌打ちをした。
あまりにも余裕の無いテレサに、これ以上快感を注いだら心臓が止まるんじゃないかと、そう思わせるほど呼吸が乱れていた。
ハナからXANXUSのペースに付いて来れるなんて思ってはいなかったが、XANXUSは少し暇を持て余すような気持ちで、テレサに口付けた。
遊ぶような軽いキスを何度かしていると、そのうちにテレサの体から力が抜けて、呼吸も整ったのに気付いた。
「(………XANXUS様…)」
自分が「こわい」と言ったから、手を止めて待ってくれたのか。
テレサはそう考えて、酷く安心して、頬を赤く染めた。実際は、密着した胸と胸で伝わるテレサの鼓動が、思いがけず強く脈打っていたから休ませた方が良いと判断しただけだったが。
XANXUSに左手を絡め取られると、脳に甘い痺れが走った。心の中で名前を呼んだのに気づかれたんじゃないかとテレサが思うほど、XANXUSを求めるテレサの瞳は分かりやすいものだった。
「(……こいつ、意外と…)」
すぐ根を上げるか泣き出すかするかと思っていたが、意外にもまた求めるような瞳で見詰めてくるテレサに、XANXUSは少し感心した。
そして再びテレサの中に自身を沈め、緩く動く。
「ぁ…あっ…は、ぁっ…」
吐息さえ、艶やかな声を伴って漏れる。
XANXUSは気まぐれに何度もキスを落としながら、その奇跡の体を味わった。
だんだん動きを早め、テレサを追い詰めていった。汗に濡れた体は、XANXUSを求めるように吸い付いた。
「っ…は、XANXUSさまっ…ぅ…っ…」
テレサは、感じれば感じるほど声が出なくなり、代わりに呼吸が深く早くなっていった。というより、声なんて出すこともできなくて、荒い呼吸に少し声が混じるだけだった。
「〜〜〜ッ!」
甲高い声が小さく鳴り響き、テレサは絶頂を迎えた。体に力を込めてXANXUSに抱きついていると、ぷるぷると小刻みに震えた。くらっ、と気を失いかけたが、なんとかXANXUSの体に縋った。
XANXUSは、初めてでこれ以上中を擦れば、傷になるか腫れるかと思い、自身を引き抜く。
が、緊張した体が弛緩することはなかった。
「はぁっ、はっ、はっ、」
通常とは大きくかけ離れた早い呼吸を繰り返すテレサに、XANXUSはすぐに過呼吸だと気づいた。当然だ、あれだけ声の代わりに息を吸っていたら。
「吸うな。吐け」
簡潔な言葉なら、パニックになった頭でも理解できた。テレサはなんとかそうしようとするが、呼吸が上手く出来ない恐怖感に、どうすればいいのかわからなくなってしまい、ただXANXUSの体に力一杯抱きつくだけだった。
「(息、できない…っ…)」
「…俺がさせてやるから出来る」
「出来るから吐け」なんて言っても、自分を信じないテレサには出来ないだろうと思って言った言葉だが、なんだか優しげで、逆にこちらの息が詰まった。
過呼吸なんてそんなに焦ることじゃないだろうと呆れながら、テレサの腹を手で軽く圧迫した。少しずつ力を加えていくと、強制的に息が吐き出される。手の力が弱まり、それに合わせて息を吸う。すると、すぐにまた圧迫されたので、流されるままに息を吐いた。吐く時間を次第に長くしながらそれを繰り返しているうちに、テレサは普通の呼吸が出来るようになったのに気づいた。
「はぁ……は……、」
流石のXANXUSも、行為中に過呼吸を起こす女に会うのは初めてで、少々面食らった。処女でもそうはならないだろう、普通は。
だが、抱き締めたテレサの身体があまりにも華奢で、この小さな体ではきっと快感を受け止めきれないのだろうと、変に納得していた。
「……XANXUS様…、ありがとう……ございます……っ」
テレサにとっても恐怖だったのか、涙目で礼を言う。
純粋なテレサは色気には欠けるが、小さな体で、臆病な心で、懸命に快感を受け止める様は健気で、たまにはこういう女を抱くのも悪くないとは思わせた。
しかし細すぎる。骨格自体細いので骨が浮くことはないが、もう少し肉をつけたほうが色気や生気が出て美しいと思い、明日からは朝食を倍食わせようと決めた。そのうち夕食も押し込んでやろう。
腕の中で大人しくしているテレサを見下ろす。なんだか、色がついたように感じる。
せっかくなら破瓜をもっと味わえばよかったと、面倒だとばかり思ってやったのを後悔した。初めて達した顔もよく見ておけば良かったとも。
左手に指を絡めてみる。テレサが少し息を詰めた。
握り返すことはないが、行為中のあの控えめな力加減が蘇る。
ーーまた抱いてやってもいい。
そんなことを考えながら、キスを一つ落とした。