人魚姫とまでは
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バーベキューの楽しさとは!
向日君がトングを空に掲げて叫ぶ。
太陽光がアルミ素材のトングの先端に反射してキランと光った。
「...とは?」
「皆で楽しく焼く!」
「まんまやないか」
「でもお肉に下味つけなきゃ。野菜もカットしないと。炭はあるの?そもそもコンロは?」
「...」
「跡部君はともかく二人は知っててよ...」
「藤堂は知ってんのかよ」
「毎年夏休みに必ずうちでバーベキューやってるから手伝い程度だけど、でも今からコンロを用意するなんて」
まさかの展開に皆が肩を落とした時に跡部君が「ミカエル」と呼んだ執事に何も説明もせず、対する執事さんは「かしこまりました」と言って少し足早に下がっていった。
今ので一体何が伝わったのか...
「取り敢えず座って待てよ」
跡部君はメイドさんが用意してくれた椅子に座りさっきから飲んでいる冷たいジュースを一口吸い上げた。
お花が刺さっててやたらトロピカルなのに加えて、パラソルと広々と青々としてる庭で果たして今は目ここはどこなのかと錯覚を覚える。
所詮子供達だけが事を始めるのには色々と限界がある。普通こういったものは大人が用意してくれるもの。そもそも前から計画してやるものじゃないかと...
向日君と忍足君が買ってきた物を物色する跡部君にあーだこーだと説明をしてるけど、跡部君はこれが肉なのかだとか野菜は生じゃねぇかとか〆に使うであろう3玉入った焼きそば麺の袋の端を摘まんで持ち上げてこれからやるバーベキューの全貌が全く想像できてないその何とも言えない表情である。
面白すぎる。
もう片手に向日君が選んだ焼肉のたれを疑心暗鬼に見てる姿もまた笑えてくる。
「おい、何がおかしいんだ」
「お坊っちゃまなんだなと思って。ほら、私プライベートの跡部君は初めてだから」
「せやな。俺らは慣れてるけど最初はビックリしたもんやで」
二人が跡部君家に初めて来た時の事を楽しそうに思い出話してる姿も何だか新鮮でこれもまた笑えてくる。
でもふと思った。クラスの男子ってこんな感じだったっけって。男子が会話してる姿をこんなマジマジと見た事なんて無かったから、とにかく見てるだけで楽しい。
そんな私を見かねて輪には入れてないと気を使った忍足君が、お前も混ざれやといった感じに手招きしてくれた。
3人が漂わせてるどこか神聖な空気に私も良いのかなといった感じで上手く会話に混ざれてるか不安なぎこちなさを皆が読み取ってくれつつ、さっきの執事さんが戻ってくるまで世間知らずの跡部君をネタに談笑して楽しい。
それから少し経って「お待たせ致しました」との前には次々とこれからやるにあたって必要な用具が次々とセットされていった。
コンロはオーソドックスに炭を扱うタイプで私達が扱ったら危ないからと火起こしはミカエルと呼ばれてた執事さんよりも大分歳が若めの別の執事さんが側に付いてくれた。
安易式のテーブルの上には必要不可欠な包丁とまな板、後はあって便利なボウルやザル等のキッチン用具数々。
どこか少し高価な感じがしなくもない。
「全部やらせりゃいいじゃねぇの。庶民のバーベキューは結構めんどくせぇな」
「それじゃあバーベキューにならないよ。自分達で準備して屋外で食べる、これが楽しいんだよ?」
「ちっ」
「せやせや、ホンマは随分前からあれ買うこれ買うとか話し合って当日までワクワクするっちゅうもんやで」
「流石忍足君。結構マトモな事言えるんだ」
「藤堂...今日はアイツおらへんのに居るみたいや...どんどんアイツに似て...」
「ふふ、少しずつ忍足君の扱い方が分かってきたかも」
「おいおい」
教室でも中々やらない掛け合いの楽しさ。同じクラスになってからしか話した事なかったけど忍足君は思ってたよりも接しやすい。
普段とは違う空間に私も楽しみ始めながら出来る限りの指示出しをした。自分達は食べるだけ、の状況を作り出せそうな環境だけどそこはちゃんと自分達でやらないと意味がない。
テーブルを囲む私達から一歩下がってる跡部君に玉葱を剥いてほしくてジュースを持った手とは反対の手によろしくね、と置いた瞬間に異様な空気が流れた。
向日君はキャベツを持って
忍足君は人参を持って
執事さんはピタリと固まってる
「調理実習でやったでしょ?よろしくね」
(アイツ樺地がやってたの知らねぇのか?)
( [#dn=2#]は跡部と同クラになった事ないから知らんのや)
(あぁ...)
二人がヒソヒソと側で喋ってるけど内容が聞こえてこなかった私は未だに固まってる跡部君の顔を覗く。
すると直ぐに跡部君はジュースを置いて
俺様に出来ない物は無い
と...たかが玉葱相手に不敵な笑み。
ジューッ
ジューッ
「はい、向日君お肉」
「サンキュー」
「 [#dn=2#]も食えや、ずっと焼いてばっかやろ」
「あ、じゃあ野菜食べたいな」
網の上で焼き終えたピーマンととうもろこしをトングで高級そうなお皿に忍足君が取り分けてくれた。
紙皿やプラスチック製よりは食べやすいけど落とさないか不安ですぐにテーブルの空いたスペースにすぐに置いて食べた。
バーベキューには紙皿が一般的だけどここは跡部君家なので、やっぱりといえばやっぱりで割り箸も無かったのでカトラリーセットが用意されている。
そこからフォークを取って焼かれて少し甘くなった玉ねぎを一口食べた。
「ふふ、跡部君て家庭科が苦手だったんだ」
「苦手じゃねぇ。やった事がねぇだけだ」
「やる必要が無いの間違いやろ」
「将来困るよ」
「俺の将来には必要ねぇな。一生」
「分からないでしょ?」
決まってんだよ。
一言だけ呟いて四苦八苦しながら剥いて切った玉葱の輪切りをお皿に戻し、トイレに行くと言って席を立った。
少しだけ跡部君の纏う空気が重くなった気がした。
向日君がトングを空に掲げて叫ぶ。
太陽光がアルミ素材のトングの先端に反射してキランと光った。
「...とは?」
「皆で楽しく焼く!」
「まんまやないか」
「でもお肉に下味つけなきゃ。野菜もカットしないと。炭はあるの?そもそもコンロは?」
「...」
「跡部君はともかく二人は知っててよ...」
「藤堂は知ってんのかよ」
「毎年夏休みに必ずうちでバーベキューやってるから手伝い程度だけど、でも今からコンロを用意するなんて」
まさかの展開に皆が肩を落とした時に跡部君が「ミカエル」と呼んだ執事に何も説明もせず、対する執事さんは「かしこまりました」と言って少し足早に下がっていった。
今ので一体何が伝わったのか...
「取り敢えず座って待てよ」
跡部君はメイドさんが用意してくれた椅子に座りさっきから飲んでいる冷たいジュースを一口吸い上げた。
お花が刺さっててやたらトロピカルなのに加えて、パラソルと広々と青々としてる庭で果たして今は目ここはどこなのかと錯覚を覚える。
所詮子供達だけが事を始めるのには色々と限界がある。普通こういったものは大人が用意してくれるもの。そもそも前から計画してやるものじゃないかと...
向日君と忍足君が買ってきた物を物色する跡部君にあーだこーだと説明をしてるけど、跡部君はこれが肉なのかだとか野菜は生じゃねぇかとか〆に使うであろう3玉入った焼きそば麺の袋の端を摘まんで持ち上げてこれからやるバーベキューの全貌が全く想像できてないその何とも言えない表情である。
面白すぎる。
もう片手に向日君が選んだ焼肉のたれを疑心暗鬼に見てる姿もまた笑えてくる。
「おい、何がおかしいんだ」
「お坊っちゃまなんだなと思って。ほら、私プライベートの跡部君は初めてだから」
「せやな。俺らは慣れてるけど最初はビックリしたもんやで」
二人が跡部君家に初めて来た時の事を楽しそうに思い出話してる姿も何だか新鮮でこれもまた笑えてくる。
でもふと思った。クラスの男子ってこんな感じだったっけって。男子が会話してる姿をこんなマジマジと見た事なんて無かったから、とにかく見てるだけで楽しい。
そんな私を見かねて輪には入れてないと気を使った忍足君が、お前も混ざれやといった感じに手招きしてくれた。
3人が漂わせてるどこか神聖な空気に私も良いのかなといった感じで上手く会話に混ざれてるか不安なぎこちなさを皆が読み取ってくれつつ、さっきの執事さんが戻ってくるまで世間知らずの跡部君をネタに談笑して楽しい。
それから少し経って「お待たせ致しました」との前には次々とこれからやるにあたって必要な用具が次々とセットされていった。
コンロはオーソドックスに炭を扱うタイプで私達が扱ったら危ないからと火起こしはミカエルと呼ばれてた執事さんよりも大分歳が若めの別の執事さんが側に付いてくれた。
安易式のテーブルの上には必要不可欠な包丁とまな板、後はあって便利なボウルやザル等のキッチン用具数々。
どこか少し高価な感じがしなくもない。
「全部やらせりゃいいじゃねぇの。庶民のバーベキューは結構めんどくせぇな」
「それじゃあバーベキューにならないよ。自分達で準備して屋外で食べる、これが楽しいんだよ?」
「ちっ」
「せやせや、ホンマは随分前からあれ買うこれ買うとか話し合って当日までワクワクするっちゅうもんやで」
「流石忍足君。結構マトモな事言えるんだ」
「藤堂...今日はアイツおらへんのに居るみたいや...どんどんアイツに似て...」
「ふふ、少しずつ忍足君の扱い方が分かってきたかも」
「おいおい」
教室でも中々やらない掛け合いの楽しさ。同じクラスになってからしか話した事なかったけど忍足君は思ってたよりも接しやすい。
普段とは違う空間に私も楽しみ始めながら出来る限りの指示出しをした。自分達は食べるだけ、の状況を作り出せそうな環境だけどそこはちゃんと自分達でやらないと意味がない。
テーブルを囲む私達から一歩下がってる跡部君に玉葱を剥いてほしくてジュースを持った手とは反対の手によろしくね、と置いた瞬間に異様な空気が流れた。
向日君はキャベツを持って
忍足君は人参を持って
執事さんはピタリと固まってる
「調理実習でやったでしょ?よろしくね」
(アイツ樺地がやってたの知らねぇのか?)
( [#dn=2#]は跡部と同クラになった事ないから知らんのや)
(あぁ...)
二人がヒソヒソと側で喋ってるけど内容が聞こえてこなかった私は未だに固まってる跡部君の顔を覗く。
すると直ぐに跡部君はジュースを置いて
俺様に出来ない物は無い
と...たかが玉葱相手に不敵な笑み。
ジューッ
ジューッ
「はい、向日君お肉」
「サンキュー」
「 [#dn=2#]も食えや、ずっと焼いてばっかやろ」
「あ、じゃあ野菜食べたいな」
網の上で焼き終えたピーマンととうもろこしをトングで高級そうなお皿に忍足君が取り分けてくれた。
紙皿やプラスチック製よりは食べやすいけど落とさないか不安ですぐにテーブルの空いたスペースにすぐに置いて食べた。
バーベキューには紙皿が一般的だけどここは跡部君家なので、やっぱりといえばやっぱりで割り箸も無かったのでカトラリーセットが用意されている。
そこからフォークを取って焼かれて少し甘くなった玉ねぎを一口食べた。
「ふふ、跡部君て家庭科が苦手だったんだ」
「苦手じゃねぇ。やった事がねぇだけだ」
「やる必要が無いの間違いやろ」
「将来困るよ」
「俺の将来には必要ねぇな。一生」
「分からないでしょ?」
決まってんだよ。
一言だけ呟いて四苦八苦しながら剥いて切った玉葱の輪切りをお皿に戻し、トイレに行くと言って席を立った。
少しだけ跡部君の纏う空気が重くなった気がした。