人魚姫とまでは
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4月中旬
自分自身のスケジュールと部活動の時間を先生と照らし合わせた私は、休憩時間にスケジュール手帳とにらめっこをする事が増えた。
「櫻、今日は隣のクラスと合同体育だから早めに行こ」
「あ、そっか」
キャーッ
聞きなれた歓声。
1年の時だけ同じクラスだった跡部君は誰がどう見てもハイスペック男子。
生徒会長と部長もやってるから頭が上がらないわ。
そして今も短距離走で走ってただけで女子の注目の的。
って言うと周囲は「いや、あんたもだから」なんてツッコミが飛んでくる。
「水泳だけがハッキリと得意分野として即答できるんだけどなぁ」
「さっきぶっちぎり先頭とったの誰よ」
「走るのも得意だよ」
「成績も良いでしょ」
「勉強も嫌いじゃない」
「充分あんたは才色兼備」
「じゃあ...跡部君は智勇兼備だね」
「んなの2人揃ってずっと言われてたじゃねぇか」
「跡部君」
声がした方に振り向くと走り終えた跡部君がいつの間にか私達が座ってる近くにある水呑場を使っていた。
「またクラス違ったな」
「そうだね」
「いや、あんたら2人が揃ったらうちのクラス煩くて困るわ」
「授業の進みが早い」
「跡部の言う通りだわ」
「フン、相変わらず現金なやつだな。コイツ幼稚舎ん時からコレか?」
それだけ言って跡部君は自分のクラスの人達が集まってる場所に戻っていった。
「うちには忍足君が居るじゃん」
「あのエセ眼鏡はデキる風だから駄目」
厳しいね、なんて笑いながら私達も自分達のクラスの群れに戻った。
午後は2年の復習テストがあるからそれで分かる、なんて言うから私はつい忍足君に聞いてしまった。
「なんや失礼な...」
そしたら自己採点で答え合わせをすると「ほら、言った通りでしょ」ってバカにされてて2人のやりとりが可笑しかった。
「今日の部活は終了だ!レギュラー以外は片付けをして各自解散!」
「「「はい!」」
監督の一声で今日の部活動が終わった。
まだ春先だからか日が暮れ初めて空がやや薄暗い。
「岳人帰るで」
「おう......あれ、あそこでまだ走ってるのって藤堂さんじゃね」
忍足に話しかけた向日の言葉に何気なく俺もグランドに視線を向けると藤堂が1人で走っていた。
もうすぐ部活動時間が過ぎる筈だが、あいつはたまにあぁやって視界に入る。
俺は中等部から氷帝だから昔からいる藤堂がどういう奴かは知らない、だから1年の時に初めてこの光景を見た時はストイックという言葉が浮かんできた。
それを直接本人に伝えたら
『テニス部の噂は聞いてるよ、跡部君のがストイックだと思う。私はただ自分のノルマをこなしたいだけだから』
藤堂の知名度は俺も微かに知ってたが、正直自分の事以外に興味が無かったから同じ学校でこんなに凄い生徒が居るとは当時知らなかった。
「お、走り終えたみたいやな。藤堂も相変わらずやで」
「うちの母親がスポーツ全般好きでいっつもTVがスポーツ番組なんだよ。今度大会あるらしいぜ」
膝に手をついて息を荒くしている藤堂に、いつも一緒に居るアイツがタオルと荷物を持って近寄っていった。
アイツは制服に着替えていたが藤堂はそのままの格好で鞄を背負い2人で下校していった。
これも初めは そのままの格好かよ... とか思ったりしたが特に疑問は思わなくなった。
『その時は、その後コーチに教わりにプール行ってるからそのまま帰ってるの』
『...やりすぎじゃねぇの』
『えへ、泳ぐの好きだから』
今よりもまだ幼さが残る笑顔で答えられた。
てっきり大人の期待に応えるだとか、その類いかと思いきや自分の意思で強い目標を持ってるだとか、そうじゃなく単純に好きだから、と。
それからだ。水泳関連のニュースを気にする様になったのは。
進んで調べたりしてる訳じゃねぇが今まで眼中に無かったのが、水泳と聞けば不思議と耳が傾くようになった。
同じクラスじゃねぇから普段の日常生活ですれ違うか部室棟位しか顔を合わせる事が無かったが、たまにプール方面から歓声が聞こえるのは多分藤堂のものなんだろう。
「俺達は寄り道してくけど跡部どーする?」
「今日はこのままジムに行く」
「なんや、しっかり触発されるんかいな」
「あーん?...地区予選に備えてだ」
努力をする奴は嫌いじゃねぇ
ただそれだけだ
自分自身のスケジュールと部活動の時間を先生と照らし合わせた私は、休憩時間にスケジュール手帳とにらめっこをする事が増えた。
「櫻、今日は隣のクラスと合同体育だから早めに行こ」
「あ、そっか」
キャーッ
聞きなれた歓声。
1年の時だけ同じクラスだった跡部君は誰がどう見てもハイスペック男子。
生徒会長と部長もやってるから頭が上がらないわ。
そして今も短距離走で走ってただけで女子の注目の的。
って言うと周囲は「いや、あんたもだから」なんてツッコミが飛んでくる。
「水泳だけがハッキリと得意分野として即答できるんだけどなぁ」
「さっきぶっちぎり先頭とったの誰よ」
「走るのも得意だよ」
「成績も良いでしょ」
「勉強も嫌いじゃない」
「充分あんたは才色兼備」
「じゃあ...跡部君は智勇兼備だね」
「んなの2人揃ってずっと言われてたじゃねぇか」
「跡部君」
声がした方に振り向くと走り終えた跡部君がいつの間にか私達が座ってる近くにある水呑場を使っていた。
「またクラス違ったな」
「そうだね」
「いや、あんたら2人が揃ったらうちのクラス煩くて困るわ」
「授業の進みが早い」
「跡部の言う通りだわ」
「フン、相変わらず現金なやつだな。コイツ幼稚舎ん時からコレか?」
それだけ言って跡部君は自分のクラスの人達が集まってる場所に戻っていった。
「うちには忍足君が居るじゃん」
「あのエセ眼鏡はデキる風だから駄目」
厳しいね、なんて笑いながら私達も自分達のクラスの群れに戻った。
午後は2年の復習テストがあるからそれで分かる、なんて言うから私はつい忍足君に聞いてしまった。
「なんや失礼な...」
そしたら自己採点で答え合わせをすると「ほら、言った通りでしょ」ってバカにされてて2人のやりとりが可笑しかった。
「今日の部活は終了だ!レギュラー以外は片付けをして各自解散!」
「「「はい!」」
監督の一声で今日の部活動が終わった。
まだ春先だからか日が暮れ初めて空がやや薄暗い。
「岳人帰るで」
「おう......あれ、あそこでまだ走ってるのって藤堂さんじゃね」
忍足に話しかけた向日の言葉に何気なく俺もグランドに視線を向けると藤堂が1人で走っていた。
もうすぐ部活動時間が過ぎる筈だが、あいつはたまにあぁやって視界に入る。
俺は中等部から氷帝だから昔からいる藤堂がどういう奴かは知らない、だから1年の時に初めてこの光景を見た時はストイックという言葉が浮かんできた。
それを直接本人に伝えたら
『テニス部の噂は聞いてるよ、跡部君のがストイックだと思う。私はただ自分のノルマをこなしたいだけだから』
藤堂の知名度は俺も微かに知ってたが、正直自分の事以外に興味が無かったから同じ学校でこんなに凄い生徒が居るとは当時知らなかった。
「お、走り終えたみたいやな。藤堂も相変わらずやで」
「うちの母親がスポーツ全般好きでいっつもTVがスポーツ番組なんだよ。今度大会あるらしいぜ」
膝に手をついて息を荒くしている藤堂に、いつも一緒に居るアイツがタオルと荷物を持って近寄っていった。
アイツは制服に着替えていたが藤堂はそのままの格好で鞄を背負い2人で下校していった。
これも初めは そのままの格好かよ... とか思ったりしたが特に疑問は思わなくなった。
『その時は、その後コーチに教わりにプール行ってるからそのまま帰ってるの』
『...やりすぎじゃねぇの』
『えへ、泳ぐの好きだから』
今よりもまだ幼さが残る笑顔で答えられた。
てっきり大人の期待に応えるだとか、その類いかと思いきや自分の意思で強い目標を持ってるだとか、そうじゃなく単純に好きだから、と。
それからだ。水泳関連のニュースを気にする様になったのは。
進んで調べたりしてる訳じゃねぇが今まで眼中に無かったのが、水泳と聞けば不思議と耳が傾くようになった。
同じクラスじゃねぇから普段の日常生活ですれ違うか部室棟位しか顔を合わせる事が無かったが、たまにプール方面から歓声が聞こえるのは多分藤堂のものなんだろう。
「俺達は寄り道してくけど跡部どーする?」
「今日はこのままジムに行く」
「なんや、しっかり触発されるんかいな」
「あーん?...地区予選に備えてだ」
努力をする奴は嫌いじゃねぇ
ただそれだけだ