最終決戦編
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ドォン
凄まじい音と衝撃。
それに手入れの手が止まりそうになる。
駄目だ……今は、彼等を信じて此方に集中しないと。
「百万回死んで償え!!」
伊之助君の涙混じりの声と同時に、遂に終わった。
「氷よ!!」
手入れが終わると同時に、伊之助君を喰らおうとしていた腕を氷で止める。
直後、その腕が斬れた。
「伊之助踏ん張れ!!炭治郎はまだ生きてる心音がする!」
善逸君の言葉に、炭治郎君を探す。
彼は先程の衝撃の時にやられたのか、仰向けで倒れていた。
「炭治郎!生きることだけ考えろ!聞こえるかお前は死なない!絶対死なない!禰豆子ちゃんと帰るんだ!人間に戻った禰豆子ちゃんと!生まれ育った家に帰るんだ!家族みんな待ってる!二人が帰ってくるのを!」
「──そうだ」
「!」
善逸君に放たれた腕を斬る。
私に迫ってきたのは、伊之助君が斬ってくれた。
互いに助け合い、鬼舞辻無惨の逃亡を食い止める。
「すまない、遅れた!」
「俺達ももう一度戦おう!」
手入れで直ったばかりの切国と月近が合流した。
「獣の呼吸 肆ノ牙“切細裂き”!!」
「神速 霹靂一閃」
「雪の呼吸 玖ノ型“銀世界”!!」
「漆ノ型“火雷神”」
型を放ち、直ぐ次の型の準備に入る。
「斬る!!」
「伍ノ牙“狂い裂き”!!」
「はいっ!」
「参ノ牙“喰い裂き”」
「…………!!」
あの衝撃が来る……!
ドン パキィイ
咄嗟に作った氷の壁で、あの衝撃波と相殺させた。
「………っ…」
「兄ちゃん!」
手入れからの度重なる技や氷による疲労で、一瞬目眩に襲われる。
「日の呼吸 灼骨炎陽」
「炭治郎君!」
「烈日紅鏡 火車 輝輝恩光」
戻ってきた炭治郎君が連擊を重ねた。
「日暈の龍・頭舞い 飛輪…ゲホッ」
その時、炭治郎君が吐血する。
「陸ノ牙“乱杭咬み”」
「漆ノ型“霰”」
直ぐに伊之助君とフォローした。
「日の呼吸 炎舞 碧羅の天 幻日虹」
「参ノ型“牡丹雪”」
「霹靂一閃!!」
「獣の呼吸」「日の呼吸」「雪の呼吸」
「狂い裂き」 「炎舞」 「斑雪」
四人で鬼舞辻無惨に仕掛け、迫る腕は切国と月近が斬ってくれる。
「神速 霹靂一閃」
「日の呼吸 日暈の龍・頭舞い 烈日紅鏡 陽華突!!!」
炭治郎によって、鬼舞辻無惨が壁に縫い付けられた。
そんな炭治郎に迫る腕。
ギチ
「もういい加減にしてよぉ!!馬鹿ァ!!」
それを止めたのは、密璃嬢だった。
そのまま彼女は鬼舞辻無惨の片腕を引き契る。
「俺は、偽物なんかじゃない!」
彼女に迫る攻撃は切国が落としてくれた。
「風の呼吸 捌ノ型“初烈風斬り”」
もう片腕を実弥殿が斬り、そのまま固定するように日輪刀を突き刺す。
ピシ
その時、鬼舞辻無惨の顔が割れて口になり、炭治郎へと迫った。
「雪の呼吸 伍ノ型“水雪”!!」
その口に型を放つ。
「……!」
そのまま飲み込まれそうな俺の腕だったが、小芭内殿、しのぶ嬢、天元殿、月近が阻止してくれた。
「夜明けだ!!このまま踏ん張れェェェ!!」
実弥殿言った直後、視界に夜明け前の光が入る。
もうすぐ、もうすぐだ……!
「っ!」
「チィッ!」
兄上様の式札が目の前に来たかと思うと、あの衝撃波に襲われた。
刀を突き刺していた私と炭治郎以外衝撃で吹き飛ぶ。
俺と炭治郎も式札で護られたが、ダメージは大きかった。
それでも、この手だけは放さない。
後、もう少しなんだ……!
「「!」」
炭治郎の日輪刀に義勇殿が、俺の刀に杏兄の手が重ねられる。
それにより、炭治郎の刀は赫く、俺の刀は熱くなった。
鬼舞辻無惨は吐血し、差し込み始めた陽の光に焼かれる。
よし、もうすぐ……
「えっ」
鬼舞辻無惨の肉が膨れ上がり、巨大な胎児の姿になった。
それに一瞬呆気に取られると、俺と杏兄、義勇殿が弾き飛ばされる。
「「「炭治郎!!」」」
残された炭治郎はそのまま肉の胎児に飲まれてしまった。
「ギャアアアア」
悲鳴を上げた胎児が動き出す。
「…………此処まで来て、逃がすか」
やっと、終わる筈だったんだ。
「雪の呼吸 拾ノ型……“一陽来復”!!!」
残った全ての力と渾身の氷を込めて放つ。
例え、此れで俺の命が終わっても……
「ぁああああ!!」
氷の舞い……普段なら放つ熱い一撃をギリギリまで粘った。
「…………くそっ!!」
渾身の一撃でも……奴を止め切れない。
フラつく体を、錆兎殿が支えてくれる。
「どら゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛!!」
ゴッ
私の氷で歩みが遅くなった胎児の上から、瓦礫や本棚が落とされた。
「ギャアア」
「当たった」
「まだ……」
ドゴン
胎児へと突っ込む車。
「死ねェエ!!」
隠が運転してるのか……
ドゴン
「ギャアアッ」
その車も潰されるが、隠は何とか脱け出してくれたらしい。
「うおおおおお!!」
「押せ押せ押せ押せぇえええ!!」
胎児の行く手を阻む様に置かれたバスを、隠達が押して妨害する。
「退がるな!!何があっても!柱はもう戦えない!!」
「ギャアア」
「危ない……!!」
胎児の腕が振り上げられると同時に、支えがなくなった。
「退がるなァア押し続けろ!!皆一緒だ怖くない!!」
「風の呼吸 玖ノ型“韋駄天台風”」「水の呼吸 拾ノ型“生生流転”」
実弥殿と錆兎殿が斬る。
「しぶてェんだよ糞がァアア!さっさと塵になりやがれェ!!」
「悪足掻きするな!弟弟子を返せ!!」
刀を支えにしようとすると、顕現した鶴永が支えてくれた。
「うわぁあ乗っかって来た!!」
「どっどっどうするどうする!」
バスに乗り掛かる胎児の首に、行冥殿の鎖が掛けられる。
「オオオオオ!!」
行冥度や柱、隠達が引っ張る事で、バスから引き摺り落とされた。
「…………とっとと焼かれろ!!」
其でも足掻く胎児が地面に潜ろうとするのを見て、氷で体と地面を凍らせる。
「く……っ……」
「!!主と氷が保たない!!斬れ!切国!月近!」
抵抗により砕ける氷を何度も作った。
それに気付いてくれた鶴永の声で切国と月近が胎児を斬る。
「「水の呼吸 拾ノ型“生生流転”」」
「風の呼吸 伍ノ型“木枯らし颪”」
「蛇の呼吸 肆ノ型“頸蛇双生”」
「炎の呼吸 伍ノ型“炎虎”」
義勇殿、錆兎殿、実弥殿、小芭内殿が斬り、他も行冥殿と共に引っ張っていた。
ビチッ パキッ
行冥殿の鎖が斬れ、氷が割れた時……胎児が内側から血を出す。
そして……
「ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛」
陽に焼かれ、その体は灰になった。
ウォオオオオオォォォォ
歓喜の声が上がる。
「!主」
その声を聞きながら……意識を飛ばした。
《起きろ!!早く起きるんだ!!》
「…………!」
誰かの声がして、意識が覚醒する。
そして、最初に見たのは……禰豆子嬢に噛み付く炭治郎の姿だった。
情報の整理が追い付かない。
何故……何で……何で炭治郎が鬼になってるんだ……!!
グオオオォ
皆が、炭治郎を止めようとする中……動けずにいた。
「世話の焼ける……!」
幾つも繋げた式札が、炭治郎を拘束した。
「今ですカナヲ!」
「はい!」
その時、しのぶ嬢の言葉でカナヲ嬢が炭治郎に何か射ち込む。
「雫、よく聞け」
「兄上様……」
炭治郎を拘束する兄上様は片手を私に差し出した。
「俺が干渉し、あんたが順応して、あの子の精神世界に入るんだ。そして……戻ってくる様に手を貸してやれ」
「……手を……貸す」
「その間、あんたは無防備になる。ただでさえ疲労している体……死ぬかもしれない。出来るか?」
「……勿論」
私はその手を取る。
直後、深く沈む様な感覚があった。
「お前だけ生き残るのか?大勢の者が死んだというのに。お前だけが何も失わずのうのうと生き残るのか」
「私の弟分に余計な事を吹き込むな」
「「!」」
肉塊の世界を進むと、飲み込まれ掛けている炭治郎を見つける。
そして、纏わり付く鬼舞辻無惨を引き剥がした。
「炭治郎、皆待ってるぞ」
「雫兄ちゃん」
「ああ、此処は任せて、お前は戻るんだ」
「邪魔をするな!炭治郎は私を受け継げる唯一なのだ!」
「邪魔はお前だ。炭治郎は既に沢山のものを受け継いでる。お前の入る隙はない…………お前、いつまで独りで居る気だ」
「!」
鬼舞辻無惨が動揺すると同時に、上から伸びた手に掴まって上がっていく。
「手を放せ!こっちに戻れ!太陽すら克服したというのに!お前は類稀なる生物なのだ!そっちに行くな炭治郎!死んだ者たちの…「其れ以上は駄目」!!」
炭治郎にしがみつこうとする鬼舞辻無惨の口を押さえた。
その間にも、炭治郎へと伸ばされた手は増えて、引っ張り上げる。
「炭治郎!炭治郎行くな!!私を置いて行くなアアアア!!」
鬼舞辻無惨は固定されていて、彼方には行けない。
「私は……私は……」
「…………!」
気配を感じて振り返った。
其処には、兄上様と似た眼差しの女性が。
「…………一緒に逝くのか?多分、結構な地獄巡りだぞ?」
「!不知火…」
鬼舞辻無惨も気付き、そして目を瞠る。
それに女性は微笑むだけ。
「……そうか。もし、罪を洗い流せて転生出来たら、一緒に居てあげなくもない」
「えっ」
鬼舞辻無惨が固定されている所を斬り放すと、女性が彼の手を引いて行った。
『……雫も戻ろうか』
「はい、シズ先生」
私もシズ先生の手を握って歩き出す。
「鬼舞辻無惨って、意外と寂しがりだったんですね」
「そうかもしれないね」
「まぁ、許されないだろうけど。精々地獄で罪を償え」
こうして、長い長い戦いは終わった。
「…………あ、れ?」
そして、私は目覚めると炎柱の屋敷でも蝶屋敷でもなく……何故か向こうの世界の部屋。
「あ、起きたのか。お疲れさん」
「……リムル殿……」
「お前、結構危なかったからこっちで治したんだ。それでも、1ヶ月寝てたぞ」
「…………え。1ヶ月?」
「そ。で、リハビリもあるから暫くこっちな…………よく頑張った」
「……はい」
人型のリムル殿に頭を撫でられる。
この後、此方の世界の仲間達が駆け付け、大騒ぎになり……久々に心から笑った。
end.