最終決戦編
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早く、早く皆と合流しないと。
駆けている途中で、城が崩壊して外に放り出された。
それでも、まだ皆が戦っているのが分かる。
「……炭治郎……君……?」
「!雫!!」
仰向きに寝かされて、村田先輩の心臓マッサージを受けている炭治郎。
その右目があった所は醜く腫れ、口から血が流れていた。
「……よもや」
「あ、雫!!」
「よもや……絶対に許さない!!」
姿を変え、猛撃を仕掛けている鬼舞辻無惨。
柱や切国達が応戦する中を潜り抜ける。
「鬼舞辻無惨!!」
「……お前か」
「絶対にお前だけは此処で倒す!!」
「…お前も喰らってやろう。私の一部となれ」
「「「させるか!!」」」
「うむ!許し難い!」
「ああ!」
「これ以上奪わせねぇ!」
まだ夜明けまでは長い。
それでも……
「絶対に終わらせてやる!!」
この戦いは、俺達の勝ちで終わらせるんだ。
幾つもの管の様な物と変化する腕……其処から繰り出される攻撃に翻弄され、中々近付けない。
心は燃やしても、頭は落ち着かせろ。
そして、見極めて順応しろ。
フオ パキィ…!
「え、あ!」
蜜璃嬢の体が、無惨の身体中にある口の呼吸で引き寄せられるのに対し、氷で斬り裂かれる阻止した。
其に小芭内殿が彼女を連れていく。
その直後に猛攻を仕掛ける柱達の援護をした。
「(雫の動きが…)」
「(…変わった。まるで、無惨の攻撃を読むみたいに…)」
「主め……!」
「此処に来て、順応してるのか……!」
頭が冴えて来てるのが分かる。
あの口が呼吸するタイミングで氷柱を出せば、皆の体力も多少は温存出来……
「……!」
視界の端で、義勇殿の日輪刀が飛んだ。
もう、握力がもう殆ど残ってないのか……!
そして、無惨の攻撃を小芭内殿と行冥殿の鎖が払い除け、飛ばされた日輪刀を実弥殿が義勇殿の所に弾き返す。
「ボケッとすんじゃァねえ!!ブチ殺すぞォォ!!」
「義勇!!まだ戦えるだろう!!」
「うむ!まだ終わっておらんぞ!!」
例え嫌悪していた間柄でも、皆がフォローし合い、無惨を倒す為に夜明けまで何とか持ち堪えようとしていた。
なら、私も……
「来い!!鶴丸国永!!」
「ああ!!」
顕現を解いた鶴永が、俺の手に収まる。
一方で、何処からか飛んできた珠世殿と愈史郎少年の使い猫が柱達に何かを打ち込んだ。
「おおっ?」
ヒュヒュン
「何か知らんが通りすがりの猫に、助けられたぜェ!!」
どうやら治癒薬を打ち込まれたらしく、皆の動きが格段に鋭くなる。
「またあの女…珠世の差し金か。私の細胞破壊を止める血清のようなものまで…無駄な足掻きをするな!!潔く死ね亡者共!!」
「死ぬのはお前だ!!鬼舞辻無惨!!」
ガヒュ ガヒュ ガヒュガヒュ
「!?」
無惨が放った鞭の様な攻撃を全て弾いた。
片手に特性の日輪刀、片手に鶴丸国永を持つからこそ出来たもの。
流石に隙が出来てしまうが、其処を突かせないのが切国と月近だ。
……前世の俺にとって、切国は俺の初期刀、月近は初鍛刀だった。
俺には審神者の才能が無かったから、俺が鍛刀したり顕現したりするのには、限界があった。
だから、兄上様の本丸に居させて貰って……軈て、ブラック本丸と呼ばれる所から鶴永が来た。
鶴永は酷く怯えていて、初めは声も出せず、顕現も儘ならなかった。
だから、こうして俺が握って、二刀流でやる事も沢山あった。
こうすれば俺はもっと戦える。
そして……今の私なら、もっと戦える筈だ。
五感を研ぎ澄ませ。
勘をフル活用しろ。
私自身が奴から時を奪う氷になれ。
雪を融かさせず、吹雪と成せ。
「雫!!」
「!」
「少しだけ時を稼げ!!」
「承知!!」
さぁ、もう順応したぞ。
「ついて来いよ!!切国!月近!」
「「ああ!!」」
無惨の手と管を何度も斬り捨てていった。
「「「……!!」」」
何度か斬っている内に、刀を振るっているのは私だけじゃないのを察する。
三……いや、四、五、か?
「…………!」
ヒュオッ
「やだァァもォォ!!」
「くっ…」
「この糞虫が!!」
「ちっくしょう!」
「雫兄さんごめん!」
「問題ない!まだ札はあるか!?」
軌道は逸らしたが、隠れて共に斬っていてくれた善逸君、伊之助君、カナヲ嬢、玄弥君、無一郎君が姿を現した。
其々貼っていただろう札が切り落とされている。
「!!お前たち生きていたか…!!」
「カナヲ!伊之助君!」
「ったく、どこ行ってやがった玄弥ァ!時透!」
「おっせーぞ!善逸!」
「死んでたまるかボケェ!!あと俺この紙いっぱい持ってるからな!」
伊之助君の周りにばら蒔かれる沢山の札。
「いっぱい拾ってきてんだぜ!!何枚切られても山程あるんだよ!テメェの攻撃なんざ…うわいィィ!!」
「其は上々だけど今は集中!」
「無駄口をきくな!!」
煽っていた伊之助君が慌てて攻撃を避けた。
「!」
その隙を見逃さず、小芭内殿が無惨を斬る。
その刀身は赫く、斬られた箇所は明らかに再生が遅かった。
「遅い!!赫い刃で斬られると無惨でさえ再生が遅くなる!」
その間に札を一枚拾い上げ、額に付ける。
「ひいいい!!」
同じく額に付けたカナヲ嬢、善逸君、切国が駆けた。
「雪の呼吸 玖ノ型“銀世界”」「花の呼吸 肆ノ型“紅花衣”」「雷の呼吸 壱ノ型“霹靂一閃”」
「俺は、偽物なんかじゃない!」
「つまらぬ小細工ばかりするな!!蝿共が!!」
「蛇の呼吸 参ノ型“塒締め”」
「これでどうだ?」
私達が猛攻を仕掛けている間に、行冥殿が斧と鉄球をぶつけて赫く染める。
それに義勇殿と実弥殿、杏兄さんと天元殿、錆兎殿としのぶ嬢が続いて赫くしていった。
俺の日輪刀はシズ先生の剣と合わせた物だから、赫くはならない。
其でも、異世界の加護を持つ刀と神が宿った刀にだから、多少威力が落ちても同じ効果が発揮出来る。
皆で、無惨に斬り掛かった。
「善逸!!カナヲ!!俺もアレやりてえ!刃ァ赫くするやつ!!」
「簡単にできるものじゃないから!!まず腕力が同じくらいじゃなきゃ…」
「伊之助君!我が儘言うなら後で説教するぞ!」
「わ、悪い!」
「雫!!」
「はい!」
伊之助君を叱ったら、実弥殿に呼ばれる。
「風の呼吸 漆ノ型“勁風・天狗風”」「雪の呼吸 捌ノ型“風花”」
何度も何度も斬るが、鬼舞辻無惨は其でも倒せない。
何故だ……コイツはあの人達とは違うのに……
「伊黒ーーっ!!雫ーーっ!!体を注視しろ!見え方が変わらないか!他の者でもいい!!体が透けて見えないか!」
体が透けて……?
ゾクリ…
「避けろ!!!」
「「!」」
パギャ ドン
凄まじい衝撃。
何とか受け流そうとしても、受け切れず……
「切国!!!月近!!!」
二人が俺を庇って倒れた。
周りを見れば、カナヲ嬢以外が吹き飛ばされて、周辺の建物に叩き付けられている。
「っ!!」
無惨が座り込んでしまっているカナヲ嬢の前に立ったのを視認し、その間に割り込んだ。
「……やはり、その目…」
「お前の世話係……愛しかった女に似ているか?」
「「「!?」」」
新しい声がした直後、俺とカナヲ嬢が引っ張られる。
俺達を引っ張ったのは獪岳で……目の前の金髪の人は誰だ?
「彼女……俺の母様もこの子と同じ稀血だったしな?」
「貴様…」
「転生しても、母様の眼差しだけは俺と同じでこの子も持っていた。嘗て兄弟だった頃に、母様から受け継いだ数少ないものだ」
金髪の青年が振り返り……俺を見て愛しそうに目を細めた。
「兄……上……様……」
「おい、呆然としてんじゃねぇ。さっさとカスや柱達を治せ」
「あ、ああ。分かった」
獪岳に揺さぶられて逸らした視線を戻したが……もうあの人は俺を見ておらず、無惨を睨んでいる。
その間に俺は癒しの炎を使った。
「嘗て病弱な人間だったお前の世話係を任せられて……いや、押し付けられてだな。押し付けられていた母様は、軈てお前と心を通わせ……何だったか、お前も病を克服したら娶ってやるとか言ったらしいな」
「………覚えていないな」
「母様は覚えていたさ。お前が人でない事を察し、どうしたもんかと考えてる時に時の政府に拉致られた。そして、刀剣男士達と心を通わせ、俺とこの子の前世である弟が生まれた……あんたは無意識にこの子の眼差しと母様の眼差しを重ねていた。だから、欲しかったんだろ?」
……前世の母の事は覚えていない。
だけど、そんな時から俺は無惨と因縁があったのか?
「よく喋る口だ」
「弟の為だからな」
「!兄上様!!」
無惨の手が彼に向けられる。
その時だった。
「ヒノカミ神楽 輝輝恩光」
その腕が斬り落とされる。
あの人の横に並んでいるのは……炭治郎君だった。
「炭治郎君……」
「炭治郎、炭治郎…」
「うん、遅くなってごめん。頼みます」
「…………おう」
「何という、醜い姿だ。これでは」
炭治郎君の右目は、醜く腫れ上がったまま。
「どちらが鬼か。わからないな、竈門炭治郎」
其でも、お前よりよっぽど格好いい。
「……虫酸が走る」
「終わりにしよう。無惨」
少しの間、睨み合っていた二人だが……遂に炭治郎君が動き出す。
其を援護しないといけないのに……!
「雫」
「!」
「まだ治癒が終わっていないぞ。幾らあの鬼の医者達が動いていても、あんたの炎が一番効果がいい……それに、山姥切国広と三日月宗近の手入れをしないとな」
「っ……」
分かってる……二人は傷を負い過ぎたから、癒しの炎じゃなくて、手入れをしないといけないのは。
「大丈夫。俺を誰だと思ってるんだ?……人の子の治癒は俺に任せろ。手入れも出来る様にするし、奴も逃がさない。だから、今は此方に集中」
「……分かったよ」
あの人に頭を撫でられながら言われ、俺は治癒に集中する事に。
「糞餓鬼、手伝え」
「うるせぇ」
「其処の覆面は雫を支えろ」
「は、はい!」
「───手入れ開始」