最終決戦編
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実弥殿と黒死牟がぶつかる。
私と切国はその間に互いの傷を癒した。
実弥殿が姿勢を低くして足元を狙えば、黒死牟が宙を舞う。
「壱ノ型 塵旋風・削ぎ!!」
回転と共に黒死牟へと迫る実弥殿。
それを受け止めた為に、今まで見せなかった黒死牟の刀身が顕になった。
「はァア!こりゃあまた、気色の悪ィ刀だぜェ!なァオイ!!」
黒死牟の刀は確かに幾つもの目が付いていて……
「……気持ち悪い」
「はっきり言うんだな」
「敵だから」
「確かに」
キイイイイ
「月の呼吸 伍ノ型」
「「!」」
「月魄災禍」
振りも無いのに広範囲の技。
実弥殿は跳んで避け、余波は切国と共に相殺する。
「はッはアッ、振り無しで斬撃を繰り出しやがる!」
「笑ってる場合か」
「雫!」
「行けます……風と雪の演舞」
「刻んでやらァ!」
実弥殿の横に並んだ。
「風の呼吸 参ノ型」「雪の呼吸 壱ノ型」
「晴嵐風樹」 「細雪」
「やりおる…肉体的にも技の…全盛と見た…」
雪の呼吸は恋の呼吸と組み合わせると、柔軟な技術を中心とした舞い散らせる技に。
音の呼吸と組み合わせると、更に響かせ威圧する吹雪の技に。
風の呼吸と組み合わせと、素早く斬り込む鋭い冷たい氷柱の技になる。
対する黒死牟の刀は不規則で変形する上に速い。
何より呼吸。
「おもしれぇ…!!おもしれぇぜ!!殺し甲斐のある鬼だ!!」
「私からしたら面倒なんだが……」
「風の呼吸 弐ノ型」「雪の呼吸 漆ノ型」
「爪々・科戸風」 「霰」
実弥殿の刀を受け払っている間に上から攻めるが、受け止められる。
そこから型を出されそうになるが……
「俺を忘れるな!」
切国が私の横から更に攻めた。
その隙に実弥殿が下から狙うのを、体を反らされて避けられる。
ギャリン
黒死牟の一撃を避け、左右から狙った。
互いに互いを庇いながら、黒死牟へと連撃を放つ。
「古くは…戦国の…世だった…私は…このように…そうだ…風の柱とも…剣技を…高め合った…」
やはり、こいつは元鬼狩り……!
「月の呼吸 陸ノ型“常夜孤月・無間”」
強烈な技。
私は右腕を、切国は左足を、実弥殿は腹を斬られた。
「フウ、フウ」
「ふむ…随分堪えたが…ここまで…動けば…手足が…もげ…臓物が…まろび出ずる…」
「残念だが……生きていれば私が治せる。それに、此方を気にしてる余裕はないだろ?」
実弥殿が血を流したという事は……あの状態になるという事。
「猫に木天蓼。鬼には稀血」
再び斬り込めば、黒死牟の足がたたらを踏む。
「オイオイどうしたァ?千鳥足になってるぜぇ!上弦も効くみてェだなァこの血は!!俺の血の匂いで鬼は酩酊する!稀血の中でも更に稀少な血だぜ!存分に味わえ!!」
「私は勿体無いから味わわせるつもりないけどな!」
私の血も相手を弱らせるものだったら、良かったんだが……
羽織で右腕を固定して、構えた。
「風の呼吸 陸ノ型」「雪の呼吸 伍ノ型」
「黒風烟嵐」 「水雪」
私と実弥殿の技の合間を切国が攻める連携。
実弥殿は呼吸と筋肉で、切国は額に巻いている鉢巻きで応急処置をしている状態である。
「どちらにせよ、人間にできて良い芸当ではない…初見なり…面白い…」
ぐらり トトッ
よろめくのを見逃さずに攻めた。
「微酔う感覚も何時振りか…愉快…さらには稀血…」
その時、実弥殿の刀が踏まれて体勢を崩す。
それを庇うように切国が下から刀を振るい、実弥殿も何時の間に取ったのか、玄弥の銃を射った。
が、何れも止められる。
「月の呼吸 参ノ型厭忌月・銷り」
「っ雪の呼吸 肆ノ型……」
黒死牟の一撃によって舞い上がる土煙に、視界が覆われる。
ジャリリン
「次々と…降って湧く…」
「我ら鬼殺隊は百世不磨。鬼をこの世から、屠り去るまで…」
行冥殿……来てくれたのか……って
「私と切国は鬼殺隊じゃありませんよ」
「……不死川、雫に治して貰え。その間は私が引き受ける」
「!!はい、すみません」
まさかの無視ですか……。
一先ず、私達は引き下がった。
無一郎君と玄弥君の手を借りながら、傷を治す。
一方で、行冥殿が鉄球を回していた。
そして……鉄球を放つ。
避けた黒死牟が技を放つ前に手斧で追撃。
体を反らして避けた黒死牟に……
「岩の呼吸 弐ノ型“天面砕き”」
上からの鉄球が迫った。
更に避けた黒死牟に鎖が絡まり、咄嗟に屈んだが絡まった髪が妬け切れる。
そんな猛攻を避け切った黒死牟が行冥殿に迫るが、それを跳んで回避し更に猛追。
やがて、行冥殿の鎖が黒死牟の刀を折った。
「月の呼吸 弐ノ型」「岩の呼吸 肆ノ型」
「珠華の弄月」「流紋岩・速征」
息つく間もない攻防。
此れが……鬼殺隊最強の男の戦い。
「折られた所で…すぐに再生するのだ…攻撃は…無意味…」
確かに折った刀は再生していた。
「哀れな…人間よ…」
行冥殿の顔に傷が入り、血が流れる。
「これは…無惨の時まで温存しておきたかったが」
「!」
「ここで負けては元の木阿弥。今使うも止む無し!!」
行冥殿の両腕に浮かぶ痣。
此処からが本気の戦い。
「そうか…お前も…痣の者…残念だ…」
「残念とは?」
「見た所…お前の…年の頃合いは…二十七…と、いったあたりか…」
「それが何だ?」
「喪失を…嘆いている…痣の者は
その言葉に、私の傷の治療をして居た切国が固まった。
「痣を出現させ…力を向上できたとしても…所詮それは寿命の前借りに過ぎない…お前は二十五を超えて…痣を出した…」
「…」
「今宵の内にも死ぬだろう…これ程までに…研鑽し極められた肉体と技が…この世から消えるのだ…嘆かわしいと思わぬか…」
「思わない。その話も痣の者たちはすでに承知済み」
そう、私も聞かされている。
それに加え、此方に戻ってから止まっていた体の成長が始まった。
恐らく、私もこの体が二十五を迎える前に……
「知って…いたのか…」
「例え痣が出なかったとしても鬼殺隊である限り、明日の命の保証はない。何を今更、己が命など惜しもうか。そのような生半の覚悟で柱になる者などおらぬ。大切な者の為に戦いの日々に戻る者などおらぬ。甚だしき侮辱。腸が煮えくり返る」
そう……私達は元より命懸けで戦っているんだ。
「命云々のつまらぬ話をしているのではない……鬼となることで、肉体の保存…技の保存ができるのだ…何故それがわからぬ…愚かな…」
「わかるはずもなし。我らは人として生き、人として死ぬことを矜持としている。貴様の下らぬ観念を、至上のものとして他人に強要するな」
人として生き、人として死ぬ。
其れが、俺の選んだ道で、私の願い。
「ほう」
「今話していて気づいたが、お前は一つ虚偽を述べたな」
「ふ…何を言う……私は何一つ偽ってなど…」
「例外はあっただろう。痣を持ち、二十五を超えて尚、生き続けた者がいた」
この時、初めて黒死牟が黙り込む。
「動揺したな。私の読みは適中のようだ…な…」
ほぼ反射で体が動いた。
行冥殿の首に迫っていた黒死牟の刀を弾く。
「雪と岩、そして風の演舞……」
「全てを滅殺する!」
再び始まる斬り合いに今度こそ混ざった。
更に切国と実弥殿も混ざる。
各々私と切国、行冥殿と実弥殿で連携して黒死牟の頚を狙った。
切国以外、私達には件の痣が出ている。
「柱稽古しといて良かったなァ!悲鳴嶼さんよォ!」
「うむ」
「主、後で話がある」
「ああ……全部終わったら、沢山話そう」
紙一重で私達の刃が交わされた。
途中、実弥殿が武器破壊を狙われるが、直ぐに反応して黒死牟の刀を床へと叩き付ける。
『奴をよく見ろ……大丈夫。順応の仕方は魂が覚えてる』
軈て、私達の一撃が当たる様になり……行冥殿の刃が黒死牟の左耳を斬り飛ばした。
「塵旋風・削ぎ!!」「風花!!」
黒死牟が距離を取り、其の間に次の一手を整える。
「風の呼吸 漆ノ型」「岩の呼吸 壱ノ型」「雪の呼吸 玖ノ型」
「勁風・天狗風」「蛇紋岩・双極」「銀世界」
私達の型を受け、黒死牟の服が裂かれた。
今までで一番の一撃。
「まだだっ!!畳み掛けろ!!頚を!頚を斬るまでは!頚を!!」
「そうだ。その通りだ」
ぞくり…
咄嗟だった。
嫌な予感に、皆を庇う様に前に立つ。
「主!!!」「「雫!!!」」
その直後……私の体が斬り裂かれた。
立つ事すら出来ない程の傷を受けた私を、切国が抱き止めて下がらせてくれる。
「着物を裂かれた程度では…赤子でも死なぬ……貴様ら三人を討ち果たしてしまえば…残りは容易く済み…狐を手に入れられそうだ…」
大きく三つ、横に突き出されている刀。
此れが、あの独特の攻撃を生み出しているのか。
「雫兄ちゃん!」
「雫兄さん、大丈夫?」
「っ……大丈夫だ」
駆け寄って来た玄弥君と無一郎君に何とか返した。
幾ら痛みがなくても、傷が癒えようとも、何度も出血した体が動かなくなって来ている。
私が二人によって柱に寄り掛からされたのを見て、切国が行冥殿と実弥殿のフォローに集中し始めた。
其処に無一郎君が加勢し、玄弥君も覚悟を決めた表情をする。
クソ……クソクソっ!
まだ皆、戦っているのに……!
『焦るな。もう……順応は始まってる。何せ、あの型は……初めてじゃない』
初めてじゃない?
確かに奴と相対するのは二度目……
『銀!また来たのか!』
『そうみたいだ』
『そうだ、今日は弟を紹介しよう』
『弟?──も兄上様なのか?』
「……巌……勝」