上弦との戦い編
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私は切国達と共に出る。
俺の友人だった青年の元へ行く為に。
彼は廃村に出る鬼を調べる任務の最中らしい。
現在、私は鶴永を、切国が月近を背負って駆けていた。
私達の早さに太刀組みはついて来れないからだ。
「彼処が例の……!?」
目的の廃村に近付いた時……上弦の気配を感じ取る。
「獪岳!!!」
「「!!」」
その場に着くと、見覚えのある後ろ姿と鬼が居た。
獪岳の方は、今にも膝を着きそうな体勢である。
「炯……?」
「今は雫だ」
少しの間だけ狐面を外し、着け直して鬼と対峙する。
そんな私の前に切国達が出ていた。
「無理だ!!相手は上弦の壱だ!!」
「!上弦の……壱」
俺を殺した奴より……上。
「獪岳、柱を呼んでくれるか?」
「は?何言って…」
「それまでは生き延びる……言っただろ?『何かあったら俺を囮にしていい』って」
「……っ!!」
「大丈夫……揃えば最強だから」
「………絶対に呼んでくる。死ぬなよ」
獪岳が背を向けて駆け出した。
「ずっと引っ掛かっていた……」
「成る程?だから駆け付けたのか」
「うむ、何としても逃がさねばな」
「ああ……主の友人だからな」
全員構え、前の鬼を見る。
「狐の面…あの方の所望のか…」
「……流石に特徴が狐面になったか」
「狐は…あの方の元へと連れていく…大人しくていれば…傷つけない」
「却下だ」
「そうか……ならば…仕方ない」
そして、飛び出した。
今までで一番息の合う動きが出来ている。
驚くくらいだ。
唯、向こうも上弦の壱だけあって手強い。
「私は雫……そちらは?」
「…黒死牟…」
「酷い名前だな。俺は山姥切国広だ」
「良い名前ではないな。俺は三日月宗近」
「まぁ、ある意味驚きの名前だが…俺は鶴丸国永」
「そうか…」
『順応しろ。それが、勝つ為の一番手だ』
誰かの声がする。
『お前なら出来る……俺なんだからな』
君は誰だ。
『お前が私になる前、更に俺となる前のもの。かつての彼等の主だった者だ』
「……主?」
「俺となる前……?」
「何を…」
「「雫!!!」」
声に視線を向けた。
そこには……水柱の二人が立っている。
更にその二人が入り、私は切国に抱えられて離脱した。
「炯……」
「……雫」
「主?どうしたんだ」
「私は……雫だ」
「おい、どうした!」
獪岳が私の肩を掴む。
それにハッとして彼を見た。
「獪岳……」
「…なんだよ」
「俺は……炯寿郎は死んだ」
「……ああ」
「今の私は雫だ」
「だから?」
「もう一回、私と友人になって欲しい」
「獪岳は……壱ノ型が使えないのか?」
「……だから何だよ」
「俺は……炎の呼吸そのものが使えない」
「は?煉獄なのに?」
「煩い、散々言われたわ……どいつもこいつも、煉獄なのに炎の呼吸が使えないのかよとか言いやがって……どうせ雪なんて弱いとか……」
「……わかる、ウゼェよな」
「本当にそれ」
獪岳は俺と気が合う同期だった。
あの煉獄杏寿郎の弟なのに、と言われる俺。
雷の呼吸の基礎である壱ノ型が使えない、と言われる獪岳。
「本当……獪岳だけだ」
「は?」
「俺の一番の友だちは獪岳だけだな」
「……そうかよ」
何度か任務をしたり、お茶したりしている内に、獪岳も色々話してくれる。
「……そもそも追い出さなければ良かったんじゃないか?」
「そもそも俺が金を盗んだんだよ」
「金を盗んだのだって……他の子供が関わってるじゃないか」
「…そうだけど」
「獪岳は生きる為の判断をしただけだ……もし、悲鳴嶼殿にそれ関連で何か言われたら、俺が直訴してやる」
「出来んの?」
「あ、に……経由で関わりが出来た」
「そんなに兄って言うの嫌かよ」
「アレだけ否定されたら……躊躇いたくもなる」
「確かに」
獪岳は俺の言葉によく頷いてくれた。
「……もし、俺が死んだら赤い花を供えてくれ」
「うわ、物騒。何で赤」
「好きだから……黒いのは無いし」
「俺のこと好きかよ」
「煩せぇ」
「まぁ、いいぜ…俺は柱になるまで死なねえからな」
「頑張れよ……将来の鳴柱」
「そしたら、継子な」
「今から勧誘かい」
唯一、獪岳と未来を話せた……大寺な友人。
「……面倒くせぇ。炯とか雫とか。俺からしたらどっちでもいいっての」
「そりゃ有難い……獪岳、壱ノ型は放てるか」
「ハッ、舐めんな」
私と獪岳は同時に駆け出す。
「「雪の呼吸 壱ノ型“細雪”!!」」
「「!?」」
「ほう」
獪岳は雷の呼吸の壱ノ型は習得出来なくても、私の雪の呼吸の壱ノ型は習得出来た。
その隙を突いて切国達が斬り込む。
「時間切れ…か」
「「待て!!」」
黒死牟とか言うのは、夜明け前に立ち去った。
「雫、大丈夫か?」
「ああ」
水柱の二人に頷く。
……やっと、俺を全て回収したな。
此れで、改めて私として生きられる。
「獪岳、話す事が沢山ある」
「そうかい」
「その前にお前たち……」
「「?」」
水柱の二人に引き摺られる様に本部へ連れてかれて報告。
柱全員に叱られ、私は監視も兼ねて強化訓練基“柱稽古”に参加させられる目に。
そこで獪岳が善逸君と遭遇して、喧嘩するのを眺めたり、不死川兄弟の喧嘩に巻き込まれたりした。
その合間……
「主、話がある」
「……ん」
切国達と向き合う。
「俺となる前……そう言っていたな」
「……ああ」
「……俺達には、あんたの前の主がいる」
「その主は……我等の同胞の一人の血を引いていた」
「その所為もあって……主は俺達三人しか契約出来なかった」
彼等は昔話を始めた。
かつての主……仮に銀としよう。
銀には兄が居た。
銀の兄……金も同じく同胞の血を引いていたが、母の才を受け継いで、沢山の同胞を率いていた。
銀は金の強い希望で、同じ本丸の離れに拠点を置いていた。
銀は母の才は受け継がなかったが、俺達と共に沢山の戦場を駆け抜けた。
本丸では母屋の同胞達と混ざって遊んで……
穏やかと戦いの繰り返しの日々だった。
悲劇の日までは。
金と銀が所属していた時の政府に間者が紛れ込んでいて、本丸の襲撃を手引きしたのだ。
それにより、本丸は酷い有り様に。
それでも……死んだのは一人だけ。
そう、銀だ。
敵の目的は金を殺す事と、銀を手中に納める事だった。
銀は金を護り切り……我等の目の前、鶴永の腕の中で死んだ。
それに我等は眠りにつき……
「荒れて昇格した金の誘導で、あんたの元に来た」
「……つまり、私は銀の生まれ変わりか」
「うむ、だが……」
「俺達は主とかつての主を……」
「目の前で死んだ大切な人の生まれ変わりと重ねるなとは言えん……唯、君達は今の私に仕えてくれてるのだろう?」
「「「勿論」」」
「ならいい……それに、君達がやけに私に過保護なのも、私を知ってるかの様な素振りなのかも納得がいった」
となると……あの声は前世である銀の声、といった所か。
「前世の銀は銀髪に青い目だったか?」
「あ、ああ……」
「だから異世界行って変わったのか」
もう一つ謎が解明したな。
「そう言えば……やたら“順応しろ”と言っていたな」
「ああ……銀は特異体質だったんだ」
「特異体質?」
「うむ。銀はどのような場所でも順応し、敵の能力にすら順応するというものだ」
チートか、前世の銀は。
「まぁ、金もやばいけどな」
「兄の方も?」
「ああ……金はどの時代、時空にも干渉出来るってのものだからな」
……マジか。
「つまり、干渉出来るから君達を私の元へと送れた……と」
「「「正解」」」
「だが、結構な歳だろう?」
「いや、俺達の同胞の血を引いてるから……」
「全然歳取ってないんだよ……」
「外見だけな……」
「凄いんだな、兄上様は」
「「「(しかも超ブラコン……多分、見られてるぞ。主)」」」
「……?」
……そう言えば、今無意識に兄上様と言ったな。
前世でそう呼んでたのか?
「……雫、居るか?」
「行冥殿?」
一通り話し終わった所で、行冥殿が現れる。
「お館様がお呼びだ……来てくれ」
「?はい」
《お前がどの立場かは知らないが、弟を悲しませるのは許さん》
「そうかい」
《だから手を貸してやる。弟の為だからな。私の愛しい愛しい弟の為だからな》
「わかっているよ。ありがとう」
最終決戦が……近付いている。
end,