上弦との戦い編
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「雪の呼吸 壱ノ型“細雪”」
息つく間もなく斬り込む。
どれだけ自分自身が傷付こうと……唯、斬った。
音波や雷や風が来ても、唯斬る。
どうせ、苦痛は感じない。
護るものに迫るものは全て壊す。
「「兄ちゃん!!!」」
「!!」
その時、後ろから引っ張られた。
「一緒に戦うから!だから!」
「そんなにボロボロになってまで守らないでくれ!」
「…………!」
二人を突き飛ばす。
直後、龍の頭に食われた。
ミシミシミシ
「…………」
強い圧迫……どう脱出する?
ズバババッ
「!」
「キャーーッ!すごいお化けなあにアレ!!大丈夫!?ごめんね遅れちゃって!!ギリギリだったね!」
気付いたら蜜璃嬢に助けられている。
「主!!」
「……!!」
解放された私は月近と鶴永に抱き締められていた。
直ぐに月近がペンダントに触れて治す。
「この大馬鹿者!」
「……月近」
「何という無茶を…お主は!!」
「ある…じ…」
「「!」」
鶴永がポロポロと涙を流しながら、私にしがみついて来た。
「いやだ……もう、目の前で……主を……」
ズキン
「主……主、主」
「……鶴永」
「鶴永だけではない…っ…俺も切国も二度と主を失いたくはない!」
……切国と月近の過保護も、鶴永が喋らないのも……──が目の前で死んだから、か。
それを私が繰り返そうとした……のか。
「……二人共、すまない」
「「!」」
「間違える所だった」
全く、向こうの世界でも叱られたというのに……私は護るものの為に死ぬんじゃなくて、一緒に生きると決めたんじゃないか。
「……!!」
気付くと、蜜璃嬢が膝をついた状態で意識を飛ばしている。
私は駆け出して蜜璃嬢を回収した。
「「兄ちゃん!」」
「三人で彼女を抱えて逃げ回れ。私も回避しながら皆を護る……蜜璃嬢の力無くしては、命と引き換えにしないといけないみたいだからな」
「「ああ!!」」
それから蜜璃嬢を抱えて私達は逃げ回る。
どうしても当たりそうな攻撃は私と月近、鶴永で何とか相殺した。
「立て立て立て!次の攻撃くるぞ!」
「わかってるっつーの!!💢」
「甘露寺さんを守るんだ!!一番可能性のあるこの人が!希望の光だ!!この人さえ生きてくれてたら、兄ちゃんと一緒に絶対勝てる!!みんなで勝とう!!誰も死なせない!俺たちは…」
「伏せろ!!」
無数の雷が迫る。
「みんなありがとお~~!!柱なのにヘマしちゃってごめんねぇぇ!仲間は絶対死なせないから!鬼殺隊は私の大切な居場所なんだから!上弦だろうが何だろうが関係ないわよ!私悪い奴には絶対負けない!覚悟しなさいよ本気出すから!」
起きたか。
私は蜜璃嬢に手を差し出した。
「私と君で止めるぞ」
「うん!任せといて。みんな私たちが守るからね。こっちは私たちが何とかするから!!」
「月近と鶴永は全体フォローを!!」
「「御意!」」
私と蜜璃嬢が駆け出す。
先程よりも早く鋭い蜜璃嬢につられる様に、私の体も動きやすくなっていた。
鼓動が早く、体が熱く感じる。
今なら……やれる。
そこから無我夢中で、蜜璃嬢と共闘した。
気付けば炭治郎君達が居なくなっていたが、本体を追っているのだろう。
今までで一番動きやすい。
「やれるぞ!!蜜璃嬢!!」
「うん!!」
「恋と雪の演舞!」
「魅せて上げましょう!」
どれくらい戦っていたか。
そろそろ体力がやばそうな時……
「「!?」」
迫ってきた龍が崩れる。
鬼を見れば、そちらも崩れていた。
「ひゃあ、助かった…!!炭治郎君たち、本体の頚を斬ったんだわ」
「そう……みたいだな。やっと終わった」
二人して安堵の息を吐きながら座り込む。
「……皆の所に行くか」
「うん!」
立ち上がった蜜璃嬢が駆け出した。
「みんなーみんなーみんなああああ」
うわ、結構元気だな。
「うわあああ勝った勝ったぁ!みんなで勝ったよ!凄いよおお!!生きてるよおおおお!よかったぁああ!」
「よかったねえ」
私が歩いて皆の所に行くと、蜜璃嬢が皆を纏めて抱き締めている。
「「「主」」」
「……ああ」
私も駆け寄ってきた切国達に抱き付いた。
「あんなに氷出したのに……珍しく寒くない」
「そうなのか?」
「うむ……痣が関係しているのやもしれん」
「痣……?」
「左目の周りに雪の結晶の痣が出てたぜ?」
「そうか……そうか」
正面の切国の肩に顔を埋める。
「雫くーーん!雫君の方にも混ざるぅう!」
「……ははは」
駆け寄る蜜璃嬢を、狐面を外して受け止めた。
「「……兄ちゃん!」」
「じゃあ、僕も。雫兄さん!」
「お、おにいちゃん!」
年下達も抱き付いてくる。
「……そういえば、禰豆子嬢。陽を克服したのか?」
「うん。そうみたいなんだ!」
既に夜明けは過ぎていた。
だが、陽の下にいる禰豆子嬢は焼かれていない。
そうか……克服したのか。
「良かったな」
「よかったねぇ」
しかも話せるのか。
「……あのね、思い出したよ」
「?」
「雫が……炯寿郎が僕と兄さんを助けてくれた」
「…………!」
確かに俺だった頃、時透兄弟を助けた事がある。
その後兄は重傷の怪我でずっと眠り続けてると……
「思い出せた…だから、会いに行くよ。そうしたら、兄さんも起きるかもしれないから」
「……そうか」
「うん」
暫く喜びを分かち合った後、私達は里へと戻った。
奇跡的に死者は出なかったらしい。
私が直ぐに動いたのと、氷らせたのが功を奏した様だ。
流石に場所が知られてしまった為、移転はするそうだ。
それから私は切国達を連れて、煉獄の家に戻ると……丸一日睡眠に使った。
数日後、柱合会議が行われるらしく出掛けた杏兄さんを見送って、私達は炭治郎君達の居る蝶屋敷を訪れる。
「あれ」
「「「あ」」」
「ん?」
途中、帰る様子の鋼鐵塚と遭遇した。
「丁度良かった……みたらし団子、君へと見舞品に……」
「しゃあっ!」
みたらし団子の包みを渡したら、凄いテンションで帰っていく。
「あ、炭治郎君。玄弥君。それに伊之助君と後藤殿」
「「「兄ちゃん」」」
「ども」
「プリン作ってきたから、皆で食べよう」
「「「「ぷりん?」」」」
煉獄の家で作って持ってきたプリンを皆に別けた。
他の人の分はアオイ嬢に渡しておいたから、全体に分けられるだろう。
「「うまっ」」
「美味しい!」
「うまいっ……あ、狐兄ちゃん!!」
「何だ?」
「合同強化訓練が始まるぞ!!」
「……へぇ」
合同なんて珍しいな……。
恐らく、鬼舞辻の狙いは太陽を克服した禰豆子嬢に向けられる。
そして、今は鬼を見掛けなくなった。
だから、その間に下の奴を強化させる訳か。
「そうか……頑張れよ」
「「「えっ」」」
「えっ?」
「兄ちゃんは参加しないのか?」
「……そもそも鬼殺の剣士じゃない」
「「「「あっ」」」」
……コイツ等、忘れていたな。
「まぁ、大変だろうが……頑張れ」
「「「おう!」」」
彼等と話し、蝶屋敷の手伝いをしている禰豆子嬢と彼女にくっ付く善逸君とも少し話をしてから、煉獄の家に向かう。
『……そっちも変わってるよな』
『あ?』
『兄と対立してるって聞いた奴は……大体俺に改めろって言って離れる』
『だからなんだよ』
『離れないのが珍しいんだよ……獪岳』
『お前だって珍しいだろ』
『……そうか?』
『大抵、俺のこと知ったら罵るぞ』
『阿呆……獪岳は生きる為の判断をしただけ……それくらい単純な方が、俺は付き合いやすい』
『誰が単純だ』
……昨日、懐かしい夢を見た。
俺が全てを打ち明けた友人……獪岳。
「主?」
「……切国、月近、鶴永」
それが頭の中で、ずっと引っ掛かってる。
「私に付き合ってくれるか」
「「「勿論」」」
「じゃあ、準備して明日発つ」
「「「御意」」」
気になるなら確かめればいい。
自分の目で直接……な。
「それは、本当か……杏寿郎」
「はい…お館様はそう……」
「痣を出した者は……25で死ぬ」
「報告では……今の所、痣を出したのは竈門少年に甘露寺娘、時透少年………そして、雫であると」
「…25で…あの子が……」
「ちょっといいかい?」
「「!!」」
「悪いね、雫の知り合いなんだけど…ちょっと気になる言葉が聞こえたら、お邪魔した」
「俺が死なせるもんか。アイツには長生きして貰わないといけないんだからな。それがシズさんの望みなんだから」
end.