上弦との戦い編
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「此処が……刀鍛冶の里だ」
「ひょっとこだらけだな」
「うむ、杏寿郎とやらの言う通り温泉があるのだな」
切国に押され、またしても車椅子で刀鍛冶の里を進む。
月近は私達の後をついて来ていた。
私は無茶をするという事で、隔離体制を取らされる事に。
確かに刀鍛冶の里の情報管理は厳しいから、滅多な事では鬼も来ないだろうしな……。
「主!見てくれ主!」
「「……どこから持って来た」」
道中色々あったが、里長の鉄地河原鉄珍の元を訪れる。
「「「刀?」」」
私を呼んだのは、ある刀を見て貰いたいかららしい。
「いつの間にかあってな。なーんとなく君に渡さなあかん思ってな。まぁ、取り敢えず見てや」
「…………」
布に包まれた刀を手に取った。
「「鶴丸国永……!」」
「……また君達の?」
真っ白な太刀に二人が反応する。
「ああ……俺達の仲間だ」
「うむ……此れで揃ったか」
「?」
揃った……?
彼等の言葉に首を傾げたが、取り敢えずこの刀は私が引き取る事になり、里長に挨拶して外に出た。
何処で顕現しようかと話していると……
「………炯寿郎さん?」
「……玄弥君?」
『そうか……不死川殿は玄弥君の兄だったのか』
『…はい』
『……一つの目的の為に努力してるのは俺も一緒だ。頑張ろうな』
『はい!』
不死川玄弥……あの風柱の弟。
「……今は雫だ」
「え?……あ」
「行冥殿に聞いている……か」
「あ、はい」
玄弥君は心配そうに私を見ている。
……この子は……焦りから荒れているが、本来は優しい子だからな。
「休養中か?」
「はい。雫さんも?」
「私は隔離」
「隔離…」
彼と少し話してから別れて、近くの森に入った。
「主、鶴丸国永を」
「ああ……起きろ、鶴丸国永」
桜が舞う。
「……よっ。鶴丸国永だ。俺みたいのが突然来て驚いたか?」
そんな台詞が聞こえたかと思ったら、抱き締められていた。
「鶴丸国永……?」
「…………」
その刀は、鶴の名の通り……真っ白で綺麗だと思う。
鶴丸国永……丸国じゃおかしいし……
「鶴永」
「!」
鶴永は笑顔でコクコクと頷いた。
「君、喋れないのか?」
「?」
「……そいつにも色々ある」
「まぁ、その内話すさ」
「?……そうか」
複雑そうな表情で見詰める二人。
よく分からんが、気にしない方がいいのだろう。
未だにくっ付く鶴永の頭を撫でながら頷いておく。
それから数日。
漸く車椅子無し(それでも手を引かれてる状態)で里の中を歩ける様になった頃。
「ありがとうございました!!」
「「「…………」」」
「?」
何処かで聞いたような感謝の山彦が聞こえた。
「……あ、そう言えば刃毀れしてたな」
「「ああ……」」
「??」
「雫さん」
「玄弥君……どうした?」
「温泉入りに行きませんか?」
玄弥君は率先して私の面倒を見てくれようとしてくれる。
人に対して警戒心剥き出しな鶴永も、彼には威嚇しないようになってくれた。
「入るのはいいが……多分、蜜璃嬢が入ってるぞ?」
「∑え」
蜜璃嬢は一応年上だが、しのぶ嬢と同じがいいと殿ではなく嬢で呼んでいる。
「少ししたら、上がるだろうから……そうしたら入ろう」
「は、はい…///」
玄弥君は思春期に突入したとの事で、女性への耐性があまりないらしい。
暫くして……
「あ!雫くーん!」
「ああ、蜜璃嬢」
「………///」
温泉から上がったらしい蜜璃嬢と擦れ違いながら挨拶を交わした。
どうやら、この里には蜜璃嬢と無一郎君が居るらしい。
凄い恥ずかしがる玄弥君の為にも早々に話を切り上げ、温泉へ入る。
「「温かい……」」
「うむ、良い温度だ」
「…………♪」
「ん、あ…」
「「「「?」」」」
玄弥君の声に視線を向けると、その手には歯が。
「取れたのか?」
「あ、はい……元々任務で取れやすくなってて」
「今日の稽古で取れたか」
「はい」
最近は昼間の間に玄弥君は月近と鶴永の稽古を受けていた。
私も早く混ざりたい。
とはいえ、何時までも持っている訳もなく、玄弥君はその歯を捨てる。
その時だった。
「不死川玄弥!!」
「死ね!」
やはり来ていたらしい炭治郎君が玄弥君の名を呼び、玄弥も即返す。
……君達、同期とか言ってなかったか?
ペッペッ ザブンスイー
炭治郎君は服を脱ぎ、玄弥君に近付いた。
「久しぶり!!元気でやってた!?風柱と名字一緒だね!!」
「話しかけんじゃねぇ!!」
ドブン!
「「「「…………」」」」
炭治郎君の顔をお湯に押し付ける玄弥君。
「雫さん!!行きましょう!!」
「え、あ……ああ」
「あれ!?兄ちゃん!!」
「馴れ馴れしい!!」
ドブン!
二回目。
私が玄弥君に引っ張られる様に連れ出された事で、切国達も炭治郎君を気にしつつ上がる。
「…すみません…」
「いや……気にするな」
「兄ちゃん……って、呼ばれてるんですか」
「君の同期にはな」
この前蝶屋敷に世話になっていた時も……
『あの…』
『カナヲ嬢……どうした?』
『に、兄さんと呼んでもいいですか…?』
『構わないが』
『!』パァアア
という事があったな。
「……雫兄ちゃん」
「何だ?玄弥君」
「…………///」ホワホワ
それから夕食を用意して、部屋で食べた。
私達と玄弥君の部屋は隣室で、一緒に食べている。
一応里の人が用意してくれるという話だったが、鶴永からの全力拒否があったので私が作っていた。
因みに私、玄弥君、鶴永が極少食で切国と月近が大食いなので、量調整が面倒なのもある。
「松茸ですね」
「里の方から貰ったんだ……松茸ご飯でも良かったが、私達はそんなに食べれないからな……私達のはお吸い物にした」
「成る程」
食事が終われば、玄弥君は隣室へと戻った。
ガタガタッ
「「「「……?」」」」
「…失礼します」
隣室で何か騒がしいと思ったら、炭治郎君と禰豆子嬢がやって来る。
禰豆子は幼い姿で布団の中で起き上がった私に抱き付いてきた。
「煉獄さんが兄ちゃんを隔離したって言ってたけど、ここだったんだね」
「まぁな……それは?」
炭治郎君の頭を撫でながら、持っているお握りを見る。
「あ、兄ちゃんたちと玄弥があまり来ないって聞いたからお握り持ってきたんだ。玄弥には追い出されたけど」
先程の音はそれか……。
「私達は私達で済ませてるんだ」
「そうなんだ……それにもう寝る所みたいだし…どうしよう」
「大丈夫。切国と月近は大食いだから……」
「「夜食として貰う」」
「!良かった!じゃあ、また!」
「ああ、お休み」
「お休み!行こう禰豆子!」
全く、私の弟分達は可愛いな。
そのまま私達は就寝したが、深夜に気配を感じて目覚める。
「……蜜璃嬢?」
「あ!お、起こしちゃったかしら?」
声を掛ければ、蜜璃嬢がそっと襖を開けた。
「気にするな……出るのか?」
「うん、刀が出来たから出るね。でも、挨拶してないと思って…」
「そうだな……鬼殺という仕事は、次会えるか分からないから……」
俺だった頃に痛感した事だ。
遊ぼうと約束した同期が、次の日には訃報という知らせが来る事なんて、珍しくなかったから……。
「……あ、そうだ」
「?」
「お守り」
「わぁ…!」
向こうの世界で手に入れた紐で作った髪紐を差し出す。
「ありがとう!大切にするわ!」
「ああ……行ってらっしゃい」
「行ってきます!」
そのまま蜜璃嬢は出た様だ。
「……行ってらっしゃい、か」
「どうした?」
「何でもない……」
刀鍛冶の里に来て、大分経つ。
何故か炭治郎君は来た初日以降、姿を見せなくなった。
彼が戻ってきたのは、一週間程経った頃で……その頃には私も完全復帰していたので、皆で稽古をしている。
「ということが昨日あってさ。刀の研磨が終わるまで三日三晩かかるらしくて」
煎餅を食べながら語る炭治郎君。
何でも、里の子供と仲良くなり、その子が代々管理してる絡繰人形の中から三百年前の刀が出てきて、その刀の錆を落とす為に鋼鐡塚殿に持ってかれたとの事。
「研ぎ終わるのが明後日になるんだ。その研ぎ方すごい過酷みたいで、死んじゃった人もいるとか言ってて、心配だよ。絶対覗きに来るなって言われてるんだけどさ。見に行ってもいいかな?」
「知るかよ!!出てけお前!友だちみたいな顔して喋ってんじゃねーよ!!」
私の髪に櫛を通している玄弥君が怒鳴る様に言った。
……いや、稽古終わりに温泉行ったら、自然の流れでそうなったんだよな。
「∑えっ、俺たち友だちじゃないの?」
「違うに決まってんだろうが!てめぇは俺の腕を折ってんだからな!忘れたとは言わせねえ!」
「「腕を折った……?」」
「あれは女の子を殴った玄弥が全体的に悪いし、仕方ないよ」
「ほう、殴ったのか」「……」
「下の名前で呼ぶんじゃねぇ!!💢」
「このお煎餅おいしいよ。食べる?」
「クソが!!💢」バリンッ
「「「「…………」」」」」
玄弥君が差し出された煎餅を叩き割る。
……その煎餅、私達が用意した物なんだが。
「いらねーっての!消えろ!!」
「あれ…?歯が。抜けてなかったっけ、前歯…温泉で」
その言葉に玄弥君がピタッと止まった。
「「……」」
「!」
「∑……!?」
沈黙の中、鶴永が足つき折り鶴を見せてきたので、思わず驚いてそれを見る。
「お前の見間違いだろ」
「見間違いじゃないよ。歯とってあるから」
「∑何でとってんだよ!気持ち悪ィ奴だなテメェは!!」
「いや、だって落とし物だし。返そうかと」
「正気じゃねぇだろ捨てろや!!キッショ!!出てけ!!」
そうしている間に玄弥君が炭治郎君を蹴り出した。
「……流石に抜けた歯は」
「拾わない方がいいな」
「うむ……引く、な」
「……」コクコク
「何なんだよ、アイツ」
「お疲れ、玄弥君……彼、頑固だから譲らないぞ?」
「げっ…」
……玄弥君と炭治郎君……出来れば仲良くなって欲しいが……
「…………!」
「雫さん?」
「……ちょっと、散歩してくる」
「あ、はい。冷やさない内に戻って下さい」
「ありがとう」
玄弥君に答え、私は切国達と外へと出る。
「……嫌な気配がする」
「敵か?」
「断定は出来ないが……バラけてくれるか?私は里の中を見て回る」
「俺は鋼鐡塚とかいう奴の所へ行くべきか?」
「頼む」
「ならば、俺と鶴永は長の元へ向かおう。夜戦は我等が振りだが、二人居れば何とかなろう」
「ああ」
「…………」
「大丈夫、ちゃんと気を付ける……じゃあ、朝になったら合流」
「「御意」」
「!」
そして、私達はバラけた。
「……流石に此処で怪我したら怒られそうだな」