上弦との戦い編
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「お前らは違うなぁ。今まで殺してきた柱たちと違う。お前らは生まれた時から特別な奴だったんだろうなぁ。選ばれた才能だなぁ。妬ましいなぁ、一刻も早く死んでもらいてぇなぁ。でも狐は生かさないといけないんだよなぁ」
思わず天元殿と視線を交わす。
「…才能?ハッ。俺に才能なんてもんがあるように見えるか?
俺と天元殿は……よくお互い才能が無くて大変だと言った仲だった。
「何百年生きてようがこんな所に閉じ込もってりゃあ、世間は知らずのままでも仕方ねえのか」
「……」
「この国はな、広いんだぜ。凄ェ奴らがウヨウヨしてる。得体の知れねぇ奴もいる。刀を握って二月で柱になるような奴もいる。俺が選ばれてる?ふざけんじゃねぇ。俺の手の平から今までどれだけの命が零れたと思ってんだ!」
「……全く、勘違いも甚だしいな。阿呆が」
才能が無いから……自分が傷付いても救えないもの……助けられなかったものもある。
「私なんて、俺が死んだから手に入れたものがある……それでも、場所によっては最弱で、護れるものなんて殆どない。目の前で消えていくのを見ている事しか出来なかった事もある」
「主……」
実際、向こうの世界では私は最弱だ。
切国が居て、漸く私は彼等と戦える程に弱い。
「ぐぬぅう、だったらどう説明する?お前ら、特に体格のいい方、お前がまだ死んでない理由は何だ?俺の“血鎌”には猛毒があるのに。いつまで経ってもお前は死なねぇじゃねぇかオイ。なあああ!!」
「俺は忍の家系なんだよ。耐性つけてるから、毒は効かねぇ」
「忍なんて江戸の頃には絶えてるでしょ!嘘つくんじゃないわよ!」
嘘ではない。
俺と天元殿が出会ったのは……彼が里抜けした直後だったのだから。
「ん?んん?んんんん?ひひっ、ひひひっ、やっぱり毒効いてるじゃねぇか、じわじわと。効かねぇなんて虚勢張ってみっともねぇなああ」
「いいや前々効いてないね。踊ってやろうか。絶好調で天丼百杯食えるわ派手にな!!」
「……さて、切国。舞おうか」
「ああ、参る!」
天元殿の回転する刀の間を私と切国が斬り込んだ。
鎌を受け流し、帯を斬り……兄妹鬼に切国と蹴りを入れる。
「俺の妹まで蹴んじゃねえよなあ」
「この糞野郎!!」
天元殿が爆丸を合間に放り、それを私が斬った。
ドドドン
「ギャッ…」
天元殿の刃が妓夫太郎に向かい、私は花魁鬼の方へと刃を振るう。
ガキイン
「残念……惜しい」
「チッ、全くだ。
「主はちゃんと仕留めたのにな」
「うるせ」
「うううう!!また頚斬られたぁ!!糞野郎!!糞野郎!!絶対許さない!!悔しい悔しい!なんてまアタシばっかり斬られるの!!」
花魁鬼の方は切国が邪魔な帯を斬り刻み、私が頚を落としていた。
「ああああ!」
「……。」
「わあああ!」
「お前ら、もしかして気づいてるなぁ?」
「「「何に?」」」
大体分かっている……この兄妹鬼は同時に頚を落とさないといけない。
それをするには、妓夫太郎が強くて邪魔だな。
「……主!左手」
「ん、ああ……」
切国の言葉に左手を見れば、甲が斬れている。
受け流し切れなかったのが掠ったか?
「……気づいた所で意味ねぇけどなぁ。お前らは段々と死んで行くだろうしなぁあ。こうしている今も俺たちはジワジワ勝ってるんだよなああ」
「それはどうかな!?」
「!?」
声に視線を向ければ、壊れた壁の所に伊之助君と善逸君が居た。
「俺を忘れちゃいけねぇぜ!この伊之助様と!その手下がいるんだぜ!!」
「何だ?コイツら…」
……善逸君、寝ているのか?
そう言えば……彼が戦ってる姿を見た事なかったな。
パラ ドン
そして、上から降り立つ炭治郎君。
「下っぱが何人来たところで幸せな未来なんて待ってねえからなあ。全員死ぬのにそうやって瞳をきらきらさすなよなあぁ」
明らかに苛々している妓夫太郎。
「勝つぜ!俺たち鬼殺隊は!」
「勝てないわよ!頼みの綱の柱や狐が毒にやられちゃあね!」
「!?」
「…………」
炭治郎君の視線が私達に向けられ、切国の殺気が高まったのを感じる。
「余裕で勝つわボケ雑魚がァ!!毒回ってるくらいの足枷あってトントンなんだよ!人間様を舐めんじゃねえ!!」
「まぁ、特に苦痛は感じないからな……」
「……直ぐに消す」
「こいつらは三人共優秀な俺の“継子”だ!雫も元継子だ!」
「私も俺も継子になった記憶はない」
「逃げねぇ根性がある!」
「フハハ!まぁな!」
「手足が千切れても喰らいつくぜ!!」
合間合間に割り込むが、特に気にした様子は無かった。
「そしてテメェらの倒し方はすでに俺らが看破した!」
「……同時にその頚を落とす事で」
「あんた達は倒せる」
「そうじゃなけりゃ、それぞれに能力を分散させて弱い妹を取り込まねぇ理由がねぇ!!ハァーーッハ!!チョロいぜお前ら!!」
「「……悪人の高笑いだ」」
「グワハハハ!!なるほどな簡単だぜ!俺たちが勝ったも同然だな!!」
伊之助君も興奮しているらしい。
猪の鼻から荒い息が出てる様に見える。
「その“簡単なこと”ができねぇで鬼狩りたちは死んでったからなあ。柱もなあ。
「そうよ!夜が明けるまで生きてた奴はいないわ!長い夜はいつもアタシたちを味方するから!どいつもこいつも死になさいよ!!」
帯攻撃が向かってきた。
ドドドドン
「善逸!」
「……善逸君」
それに対し、善逸君が雷の呼吸で対応しつつ花魁鬼と共に外へと消える。
「蚯蚓女は俺と寝ぼけ丸に任せろ!!お前らはその蟷螂を倒せ!!わかったな!!」
「気をつけろ!!」
「おうよ!!」
「……切国」
「分かった」
彼等を伊之助君と切国が追った。
「妹はやらせねえよ」
「…………?」
左目を閉じたら、少し……気配が変わったか?
繋がりが強くなったというか……
「違うな、それは。人にされて嫌だったこと、苦しかったことを、人にやって返して取り立てる。自分が不幸だって分は幸せな奴から取り立てねぇと盛りかえせねえ。それが俺たちの置き方だからなあ。言いがかりをつけてくる奴は皆、殺してきたんだよなあ。お前らも同じように喉笛掻き切ってやるからなああ」
……誰に向けて言ったが分からないが、殺気が強まる。
直後、炭治郎君の喉元に向けて鎌が迫る。
殺気に圧されて動けないのか、炭治郎君を掴んだ天元殿が上に放り、もう片方の鎌は私が押さえた。
「…!!」
そのまま斬り合いをする。
「……!上!!」
「!」
「……!!」
ガガガガ
上から降り注いた無数の帯。
「クククッ、継子ってのは嘘だなあ。お前らの動きは統制がとれてねえ。全然だめだなあ」
上から降り注ぐ帯に、飛ばされる血鎌。
それに建物が耐えられず、倒壊しかける事で瓦礫も降って視界を邪魔した。
ドンドンドン
天元殿が瓦礫を爆破で吹き飛ばし、その合間を縫って迫る鎌を私が捉える。
独特な太刀筋……速いな。
「!」
そんな私達の背後に迫る血鎌。
避けてる暇がない……が、それを炭治郎君が防いで受け流す。
「音の呼吸 伍ノ型“鳴弦奏々”」
「雪の呼吸 漆ノ型“霰”」
……チッ、帯攻撃が邪魔だな。
毒の苦痛は感じないが、確実に体の動きが鈍って来てる……早めに片付けないと。
所々でサポートしてくれる炭治郎君だって、先の戦いで体力を消耗してる筈だし。
ビィン
「…………!」
暫く怒濤の攻防をしている時だった。
天元殿の嫁の一人である雛鶴殿が、無数の苦無を妓夫太郎へと放つ。
確か、あの苦無には藤の……
「血鬼術 跋弧跳梁」
その苦無自体は斬擊による天蓋で防いでいた。
「!?」
私と天元殿は苦無が自分に刺さるのを気にせずに突っ込む。
寧ろ私は自分に刺さったのを妓夫太郎に突き刺し、天元殿は足を斬った。
直ぐに再生せず、動きが鈍る妓夫太郎の頚を三人で狙う。
ドン
「チッ」
「いやあよく効いたぜ、この毒はなあ」
毒を分解したらしく、その足が再生した。
「血鬼術 円斬旋回・飛び血鎌」
「…!!」
腕の振り無しで放たれる回転した血鎌。
炭治郎君を抱えて後退する。
「音の呼吸 漆ノ型“響斬無間”!!」
天元殿の爆破で妓夫太郎の姿が見えなくなるが、その気配が雛鶴殿へと向かったのに気付き、炭治郎君を放って直ぐに跳んだ。
「雛…」
「天元様!私に構わず鬼を捜してくだ…」
「雛鶴姉さん!!」
「炯…「よくもやってくれたなああ」」
「ぐっ……」
「炯寿郎君!!」
咄嗟に彼女を突き飛ばした直後……私の首が掴まれる。
「……ああ、お前は殺しちゃいけねえんだっけかああ」
「……っ……」
「けど結構やられたしなああ…落とすかああ」
強まる力に呼吸が乱れた時……
「汚い手で触れるな」
妓夫太郎の腕が斬られた。
腕を斬ったのは……
「「月の君……!?」」
「あ?」
月の君と呼ばれてあの青年。
彼は太刀を片手に、もう片手で私を抱いている。
「またムカつく色男が出てきやがったなああ」
「君……鯉夏花魁は……」
「他のくノ一に預けて来たぞ……さて」
「雫!!月の!!お前たちに感謝する!!」
跳んできた天元殿。
それに前後から頚を狙った。
「お前らが俺の頚斬るなんて、無理な話なんだよなあ」
刃が鎌で受け止められ、その鎌で変形して刃を捕らえて離さない。
ガキィン
天元殿のもう一つの刃は、妓夫太郎が首を真後ろに回転させ、歯で止める。
「っざけんなよ……!!」
もう少しなのに……!!
妓夫太郎が先の回転血鎌を放とうとして来た。
「それは危なそうだな」
「「!?」」
それを……月の君が吹っ飛ばして止める。
「兄ちゃん!!!宇髄さん!!!」
炭治郎君が駆け付けるのと同時に……私達は妓夫太郎を追い掛けた。
直後、炭治郎君達の元へと切国達が突っ込む。
そして……切国と炭治郎君が入れ替わった。
「来ていたのか!三日月宗近!」
「おお、切国の」
妓夫太郎に斬り掛かる私達を追って来たらしい切国と……三日月宗近?
「……天元殿!!君は花魁鬼を!!」
「はぁあ!?テメェ一人でやる気か!?」
「一人ではない」
「我等が共に戦う」
言ってる間にも切国と彼が妓夫太郎の動きを封じる。
「行け!!終わらせるぞ!!」
「……わかった!!さっさと頚斬れ!!」
天元殿が花魁鬼の方に合流した。
自分でもよく分からないが……彼等が共に戦ってくれるなら、負けない気がする。
「やるぞ!!切国!!……月近!!」
「「!!」」
「舐めんじゃねえよなああ」
「此方の台詞だ!!」
ほぼ無意識に……私はそう呼んでいた。
「(もう一度……そう呼んでくれるのか)うむ!」
「……期待には答えないとな」